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さまざまな問題点が指摘されている施設一体型小中一貫校が大阪市に

2012-04-12 | 学校選択制

 大阪市で初めて施設一体型小中一貫校がついに開校してしまいました。東住吉区の市立矢田小学校が矢田南中学校の校内に移転し開校したものです。
 
※大阪で市立の小中一貫校 初の施設一体型 橋下市長が推進(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120405/lcl12040512180002-n1.htm
 
 施設一体型小中一貫校は、さまざまな問題が指摘されています。
 現在の6-3-3制は子どもの身体と心の発達に合わせた根拠のあるものです。6年生までは教科担任ではなくクラス担任で一人の教師による日常的な指導と学級運営で子どもの成長が促され、6年生になると最高学年として小学校の低学年の面倒を見てリーダー的役割を担うなど精神的自立が育まれることになります。
 しかし施設一体型の小中一貫教育では6年生は9年間の通過点に過ぎず、いつまでたっても子ども扱いされ、最高学年としての自覚をする機会が奪われます。にもかかわらず5年生から定期試験が始まり、テスト学力だけは早期から要求され、試験勉強に駆り立てられることになります。
 また小学1年生と中学3年生という心身の発育が著しく違う者同士が同じ運動場で運動会をするなど、子どもの身体的精神的発達を全く無視したことが強要されていくことになります。
 単純に運動会では自分の子どもの出番がなかなかまわってこないなど保護者の苦情も多いといいます。

 品川区の小中一貫校での問題点については以下で詳しく展開されています。 
 
『これでいいのか小中一貫校―その理論と実態』(山本由美著 新日本出版社)
『品川の学校で何が起こっているのか―学校選択制・小中一貫校・教育改革フロンティアの実像』(佐貫浩著 花伝社)

 重要なポイントの一つは、小中一貫校が子どもにとっていいという教育学的な検証は全く行われいないにもかかわらず、ブームのように各地で生まれていっているということです。
 それはつまるところ、学校の敷地と設備を節約する、教職員の人件費を節約するという財政的な理由以外に、推進の根拠がみあたらないということです。大阪では、橋下市長が小中学校の学校選択制を導入し統廃合していくという学校つぶしの一つの手段としてでてきているに過ぎないということです。
 
 子どもたちはひとりひとりかけがえのないものであり、「失敗したからやり直す」「この子はダメだったから代わりを見つける」というようなことは許されません。このような「実験」に子どもたちを供することはできません。

 大阪の施設一体型小中一貫校が、東京品川区のような、子どもの成長を無視した教育にならないよう監視していかなければなりません。

(ハンマー)

 


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