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「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」

なぜ朝鮮学校は裁判をおこしたのか――(3)朝鮮学校への社会支援の拡大

2013-06-05 | 北朝鮮バッシングに抗して

*朝鮮学校の処遇の改善が始まる

 1960年代後半になると、朝鮮学校を学校として社会的に承認する運動が市民の間に広がっていきました。民族教育権を保護する法制度が存在しないもとでは朝鮮学校を保護するための唯一の道は各種学校の資格を取ることでした。
 その結果、1966年~1975年、 各都道府県知事によって、すべての朝鮮学校が各種学校として認可されていきました。
 1970年代には、地方自治体による教育助成金拠出の動きが始まります。東京、大阪、神奈川、愛知県などがいち早く助成金の給付を開始しました。1980年代に助成金の給付が一般化し、都道府県だけでなく、市町村にも広がっていきました。
 1995年の時点で、朝鮮学校に助成金を出している地方自治体は、27都道府県154市23区33町となり、1997年には、朝鮮学校が設置されている29都道府県の全てで助成がおこなわれるようになりました。(ただし、一般の私立学校への補助金に比べるとかなり低額です。)
 1990年代には、朝鮮学校を社会的に認知する動きがさらに強まっていきました。高校野球連盟が大会への参加を承認し、JR各社が通学定期の割引格差を是正しました。

*大阪府・大阪市の補助金支給

 大阪府では1974年度より朝鮮学校への公的補助(設備補助金交付)が始まり、1991年度より経常費への補助(私立外国人学校振興補助金)が開始されました。2009年度には1億2100万円が支給されています。これは生徒一人あたりにすると69,300円となり、私立学校に対する補助金が生徒一人あたり275,528円であるのに比べると、決して多いものではありません。
 大阪市からも1990年度より教具・施設等への補助が開始されており、2010年度には2650万円支給が支給されていました。

 これらの補助金支給は、次のような理念を財政的に裏打ちするものでした。
 2002年に大阪府は「大阪府在日外国人施策に関する指針」を策定し、そこで次のように述べています。
「在日外国人教育については、異なる文化、習慣、価値観等を持った児童・生徒が、互いに違いを認めあい、本人のアイデンティティを保ちながら、自己実現を図ることができるよう、共に生きることのできる教育を進める」、「外国人学校の振興を図り、国庫補助制度の創設及び国立大学等の受験資格の改善等について、引き続き国に働きかける」。
 大阪市もまた2004年に「大阪市外国籍住民施策基本指針」を策定し、外国人学校への助成を継続するという方針を打ち出しました。

 にも関わらず、大阪府も大阪市も、朝鮮学校に対する補助金を全てストップしてしまいました。それは、この自ら掲げた理念に泥を塗ることに他なりません。民族教育を求める子どもたちの権利を踏みにじると同時に、マジョリティの側にいる日本人の精神を排外主義という毒で蝕むものになります。
 次回は大阪府・市の補助金停止に至った過程について述べていきます。これには、あの人物が関わっています。(続く)
(鈴)


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