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50億ドルのアフガン支援は、米の占領政策に加担し、混乱に拍車をかけるもの。絶対やめるべき。

2009-11-13 | 日々のニュース
 鳩山政権は、5年間で50億ドル(約4500億円)というアフガニスタンへの支援策を決定した。13日からのオバマ大統領の来日にむけ、急いでとりまとめたものである。インド洋での給油活動に代わるものとして提出されている。一時は検討されていたISAFへの自衛隊員の派遣などは、社民党の反対によって盛り込まれなかった。しかし、この50億ドルというアフガン支援策は、民生支援と聞こえがいいが、給油活動に劣らず犯罪的な性格を持っていると言わなければならない。

・まずこの支援策なるものは、詐欺と不正によって大統領職にしがみつくことに成功したカルザイ政権維持のための援助に他ならないということだ。現時点でアフガニスタンへのいかなる援助も米国の傀儡政権であるカルザイ政権への援助、したがって米国への援助になる。だから民生であれ、軍事であれアフガン政府へのいかなる援助にも反対である。

・50億ドルの援助の中身は「反政府勢力タリバン元兵士の社会復帰に向けた職業訓練」や「警察官の給与負担」などが柱とされている。きわめて政治的な内容である。
 まず、「警察官の給与負担」の反人民的性格は明確である。カルザイ政権の行う治安弾圧を担う「警察官」の給与の半分を日本政府が持つというのはどう考えてもおかしい。アフガニスタンの警察官の給与を負担するということは、アフガン人民に敵対する側に回るということだ。
 しかも、最近アフガン警察官の死亡率の異常な高さが大問題になっている。素人の住民が大量に集められ、訓練もそこそこに「反政府勢力」の弾圧に動員されるため、多大な犠牲が出ているのである。警官増員は治安を改善するのではなく、治安を悪化させている。
 現在82000人の警官を大幅に増やすというのが、米やEUの方針である。警官増員のためといえば援助がもらえるため、カルザイ政権は警察への援助を要請する。カルザイ政権の不正官僚の給与横領用の「幽霊」警察官がいるため、実際の警官の数はもっと少ないとも言われる。日本政府は、何の吟味もすることなく米の要請と言うだけで、カルザイ政権の腐敗横領のために、何十億ドルものカネをつぎ込もうというのである。
※Afghan police hit by high death rate and 'quick fix' training, says EU(Guardian.UK)
http://www.guardian.co.uk/world/2009/oct/01/afghan-police-high-death-rate

・また、「反政府勢力タリバン元兵士の社会復帰に向けた職業訓練」も許されない。「タリバン兵士」に対して「職業訓練」をエサにして、タリバンから引き離すというきわめて政治的な援助である。しかもタリバンは住民から孤立しているのではなく住民そのものであるはずだ。だから社会復帰というのもおかしい。タリバンは社会の中にいるのだから。タリバンをアフガン社会から孤立した陰謀武装組織のように描こうとしている。「社会復帰」とは、カルザイがカブール周辺だけで作り上げている腐敗社会へ組み入れることを指すのか。ペシャワール会の中村哲医師は、「職業訓練と言うが、アフガニスタンに農業以外の職業があるのか」と問うている。
 とすれば「職業訓練」とは政府の小役人か警察官になるための訓練しか意味しないだろう。つまりタリバン兵を警官にするための訓練、「寝返り」を促すための資金なのである。

・日本政府の支援金50億ドルとは、カルザイによるタリバン切り崩しと治安弾圧のための軍資金に過ぎない。この中には、日本の専門家がインドネシアなどの第三国でテロ対策訓練などの研修を実施し、警察官養成に協力するという内容もあるという。紛れもなくこの資金は、「対テロ戦争」への資金援助なのである。しかも、この援助金は、NATO基金への拠出だという報道もある。アフガニスタンで治安活動を行うNATOの下に設置された基金から国軍への資金が出されており、そこへの拠出だというのである。とすれば、この援助というのはNATO援助、米軍援助そのものではないか。

・援助の中には、「農業分野では、水利施設を造って農地開発を進める」という項目もあり、中村哲医師はそれを一定評価している。だが、治安悪化の中で援助活動ができず、アフガンから一時撤退しなければならないのではないかという懸念とセットの発言である。政府の農業支援とは、国連機関やNGOにカネだけだして水利施設を作ってもらうという、日本のハコモノ建設のような発想だ。中村医師の発言の中には、そもそも安心して農業や農地開発ができる環境、農業支援が出来る環境が存在しない状態で、水利施設へのカネだけを付けてどんな意味があるのかという思いがにじみ出ていると思う。

・治安悪化の最大の原因は米軍の駐留である。本当にアフガニスタンの人々の農業支援を口にするのであれば、混乱の最大の原因である米軍を撤退させることが何よりも急務である。
 日本政府は、アフガニスタンへのあれこれの援助を言うのではなく、米軍の即時撤退をオバマ大統領に要求すべきである。

※アフガン支援に評価と注文 中村哲医師が帰国報告(共同通信)
http://www.47news.jp/CN/200911/CN2009111001000780.html
※ペシャワール会 アフガン 治安悪化続けば 中村医師 来春撤退も 現地病院、診療できぬ状態(西日本新聞)
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/133717
※アフガン支援:軍を財政支援 数十億円、NATO基金に--政府方針(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20091107dde001010003000c.html
※アフガン 政府が50億ドル支援策決定 職業訓練などが柱(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091110/plc0911101130009-n1.htm

(ハンマー)

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