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自民党「特定秘密保護法の新聞報道への反論・23」が明らかにする特定秘密保護法の危険(その二)

2014-01-08 | 秘密保護法

リブインピースホームページ自民党「特定秘密保護法の新聞報道への反論・23」が明らかにする特定秘密保護法の危険よりの転載

 

以下Qは「特定秘密保護法の新聞報道への反論・23」による

 

Q2 宇宙開発や感染症など、安全保障やテロ対策と強く関わる研究に特定秘密の「網」が広くかぶせられ、悪影響がおよぶ可能性がある。

 回答は、「民間の研究機関が特定秘密を取り扱うことになるのは・・・行政機関と締結したときのみ」として「宇宙開発や感染症などの研究に悪影響が及ぶ可能性はありません」としている。
 だが、「秘密保全のための法制の在り方について(報告書)」(2011年8月8日)は、次のように書いている。
 「独立行政法人等例えば人工衛星の研究開発、大量破壊兵器に転用可能なロケットに係る機微技術の研究開発等に関して・・・その独立性、業務の多様性等にも配慮しつつ、独立行政法人等が作成・取得する情報についても本法制の適用対象に含めることが適当である。」
 そして、政府とは直接関係を有しない民間事業者や大学が作成・取得する情報は、経済活動の自由や学問の自由の観点から本法制の適用対象とはしない。

 「ただし、民間事業者及び大学が行政機関等から事業委託を受ける場合には、当該事業において作成・取得される情報は・・・特別秘密の保全義務を課すことも許容される。したがって、このような場合に限っては、民間事業者等が作成・取得する情報も本法制の適用対象とすることが適当である。」
 つまり、行政機関から事業委託を受けた民間事業者や大学は、独自に作成・取得した情報も特定秘密保護の対象となる。

 また、【逐条解説】では「特別秘密の指定の対象は・・・個々の文書、物件ではない。・・・指定の効果は、個々の文書や物件にとどまるものではなく、客観的に同一性がある限り、事項を記録又は化体する媒体の異動にかかわらず、いわば無限に及ぶものである。すなわち・・・表現上の異動や、媒体、表現形式によって影響を受けるものではなく、ひとえに内容が同一であるか否かによって判断される。」(11ページ)
 すなわち、ある情報が秘密指定を受けたら、それと内容が同一とみなされた一切合切のものが自動的に秘密指定の対象となり、その広がりは無限なのである

Q3 原発の作業員が、使用済み核燃料に関する情報や、汚染水漏れが起きている原発周辺の様子などをツイッターで情報発信したところ、警察官に、特定秘密漏洩により処罰の対象になりうると警告された。(12月1日 朝日新聞・朝刊)

 回答は、「使用済み核燃料に関する情報や、汚染水漏れが起きている原発周辺の様子は本法の別表にはないので、特定秘密に指定されることはありません」である。
 だがそもそも、「使用済み核燃料に関する情報や、汚染水漏れが起きている原発周辺の様子」が別表にあたらないかどうかも疑わしい。なぜなら、別表の4は「テロリズムによる被害の発生若しくは拡大の防止(以下この号において「テロリズムの防止」という。)のための措置又はこれに関する計画若しくは研究」とあり、使用済み核燃料や汚染水タンクは、MOX燃料輸送や燃料冷却プールと同様十分テロの標的となりうるからだ。「使用済み核燃料に関する情報や、汚染水漏れが起きている原発周辺の様子は特定秘密ではない」というのは現在の自民党閣僚の答弁・私的見解でしかない。

 ここで注目しなければならないことは、「処罰の対象になりうると警告された」という新聞報道に対して、「処罰対象にはならない」と反論するのではなく、「特定秘密ではない」と答えているのみだということである。原発の作業員が仮に、別表に含まれる可能性がある原発の警備状況や原発の構造などについてツイッターで情報発信した場合は処罰の対象になるということは、否定していない。
 秘密取扱者でもなんでもない原発の作業員が原発情報を取得し情報発信したら罪を問われる可能性があるというのは、市民は罪に問われないという回答(Q8、Q6など、『3つのポイント』ほか)と明らかに矛盾する。それとも原発の作業員はすべて「特定秘密取扱者」であり、厳しい「適性検査」受けた者だけが作業員になれるのだろうか。

 ここでの結論は、原発の作業員が、作業で得た情報をツイッターで発信したら、その内容によっては罪に問われる可能性があるということだ

Q4:市民団体の集会で「秘密を明らかにしよう」と呼びかけ(中略)特定秘密保護法違反(煽動)の容疑で逮捕・起訴された。(12月5日 朝日新聞・朝刊)

 回答は、「市民団体の集会で単に『秘密を明らかにしよう』とよびかけることは、煽動にあたらない」という理由で反論している。ここでもまた「単に」という限定が入っているのがいかがわしい。市民集会で「明らかにしよう」というのが煽動にあたらないのであれば、集会・デモで「石破防衛相は今すぐ明らかにせよ」というのはどうなのか。石破氏を名指し、情報公開を迫っている。これは「単なる呼びかけ」とは言えないのではないか。

 【逐条解説】では、「煽動」の定義について「当該行為を実行する決意を生ぜしめ又は既に生じている決意を助長させるような勢いのある刺激を与えること」とされている。その場合、「実際に決意を生じせしめたか、あるいは、決意を助長させることを必要としない」。石破氏が「決意はしなかったが、決意させる勢いのある刺激であった」と言えば成立するのではないのか。
 デモ参加者の多くは「決意を助長させるような勢いのある刺激を与え」ようとしているだろう。「決意させるために刺激を与えようとしたか」と問えば、おそらくほとんどの人が間違いなく「イエス」というだろう。
 さらに「煽動」には以下の記述がある。「煽動の内容たる意思表示が相手方の認識又は了解し得べき状態に置かれたことをもって足り、相手方が現実に認識又は了解することを必要としない」。これは、たとえばテレビやインターネット、雑誌等で「石破氏は明らかにせよ」と訴えることも含むのではないか。石破氏が実際にテレビや雑誌を見る必要はない。それらを見ることが可能な状態に置かれるだけで足りるのである。

 市民団体の集会で「秘密を明らかにしよう」と呼びかけることは、特定秘密保護法の「独立教唆」「煽動」の規定にぴったり当てはまる

エ 「煽動」
 漏えい行為等を実行させる目的をもって、人に対して、当該行為を実行する決意を生ぜしめ又は既に生じている決意を助長させるような勢いのある刺激を与えることを言う。
 客観的に人に実行を決意させるか既存の決意を助長させるような性質の刺激を与えれば成立し、実際に決意を生じせしめたか、あるいは、決意を助長させることを必要としない。煽動の内容たる意思表示が相手方の認識又は了解し得べき状態に置かれたことをもって足り、相手方が現実に認識又は了解することを必要としない。煽動の相手方は、特定少数者では足りず、不特定又は多数人であることを要する。(【逐条解説】より)

(参考)
※「特定秘密保護法の新聞報道への反論・23」は以下のホームページに掲載
  秘密保護法報道?自民党反論文書の中身」(GoHoo)
「特定秘密の保護に関する法律Q&A」(自民党)
「特定秘密保護法 ―3つのポイント―」(自民党)
「特別秘密の保護に関する法律案【逐条解説】」(内閣官房 2013年11月)
「秘密保全のための法制の在り方について(報告書)」(秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議)
 (なお、法律案の制定過程で「特別秘密」が「特定秘密」に変わったため、古い文書では「特別秘密」と表記されている場合がある)

「特定秘密の保護に関する法律(全文)」

 

(つづく)

(ハンマー)


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