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「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」

自民党「特定秘密保護法の新聞報道への反論・23」が明らかにする特定秘密保護法の危険(その一)

2014-01-07 | 秘密保護法

 リブインピースホームページ自民党「特定秘密保護法の新聞報道への反論・23」が明らかにする特定秘密保護法の危険よりの転載

 2013年12月13日(秘密保護法成立1週間後)自民党は、「特定秘密保護法の新聞報道への反論・23」なる文書を自民党各議員に配布した。各紙が12月18日に報じた。特定秘密保護法を危惧する朝日新聞、東京新聞、毎日新聞の記事に対して反論を行ったものだ。このような文書を配布すること自体が異例であり、世論の反対を押し切って強行可決させた自民党が、依然高まる反対の声を押し殺し、党内の動揺を押さえようとするものだ。自民党はホームページに「特定秘密の保護に関する法律Q&A」、「特定秘密保護法 ―3つのポイント―」など、次々と特定秘密保護法についての弁明書ともいうべき文書を出している。
秘密保護法:自民党が批判的報道への「反論指南書」(毎日新聞)
秘密法報道に反論文書 自民、本紙など27カ所批判(東京新聞)
秘密法報道に自民が反論文書 批判的記事挙げ「解説」(朝日新聞)

 そこで彼らが主張しようとしているのは、特定秘密保護法が市民をターゲットにしたものでないこと、「偶然秘密を知ってしまった市民」などを処罰するものでないこと、「暴力」や「脅迫」を用いて情報を入手しようとする、「テロリスト」、「スパイ」、特異な「活動家」をターゲットにしたものであることなど、「一般の方の生活には、全く影響はありません」(『3つのポイント』)ということである。だが彼らの期待する「一般の方の生活」とは、よけいなことを考えず、政府の政策に疑問や反発ももたず批判もせず、ひたすらお上の言うことを聞いてせっせと税金を納め続ける「良き国民の生活」にほかならないだろう。
 この論法は、戦前の治安維持法と全く同じである。治安維持法は、国体の転覆と私有財産制の廃止を主張する共産主義者をターゲットにしたもので一般人の生活には全く関係がないと喧伝されたが、実際には、全く無実の市民を冤罪によって逮捕し、拷問・投獄・虐殺し、暗黒社会をつくり出したのであった。

 自民党文書は「一部の新聞は誤情報を流して国民を不安に陥れている」「事実に反する」などとしているが、全くずさんで反論になっていない。それでもなお私たちがこの文書を問題にするのは、ウソとねじ曲げ、すり替えばかりの「回答」の中から、いっそう特定秘密保護法の危険が浮かび上がるからだ。軍艦の写真撮影さえままならないこと、原発の作業員が作業で得た情報を発信したら処罰される可能性があること、一般人が原発や米軍基地の状態を危惧し情報を得ようとしただけでも罪に問われる可能性があること、外国人やその友人は「スパイ予備軍」とみなされ監視下に置かれる危険があること、特定秘密取扱者とつながる家族や親族にまで冤罪の危険が及ぶこと、官僚の汚職や不祥事を隠蔽するために特定秘密が指定される可能性があること、等々である。政府から情報を得ようとする市民は不当に追及を受け処罰される危険な状況にさらされる。その範囲は広く一般市民にまでおよぶ。市民は萎縮させられる。
 以下、「特定秘密保護法の新聞報道への反論・23」を中心に、必要に応じて他の自民党文書、「秘密保全のための法制の在り方について(報告書)」、「特別秘密の保護に関する法律案【逐条解説】(2013年11月)」なども参考にしながら、自民党の回答の問題点を明らかにしたい。

  特定秘密保護法は強行成立・公布されたが、施行までは時間がある。法律廃止のための国会請願署名も開始された。野党は通常国会に「廃止法案」を提出する構えだ。反対世論と運動をつよめ、特定秘密保護法をなんとしても廃止に追い込もう。

(参考)
※「特定秘密保護法の新聞報道への反論・23」は以下のホームページに掲載
  秘密保護法報道?自民党反論文書の中身」(GoHoo)
「特定秘密の保護に関する法律Q&A」(自民党)
「特定秘密保護法 ―3つのポイント―」(自民党)
「特別秘密の保護に関する法律案【逐条解説】」(内閣官房 2013年11月)
「秘密保全のための法制の在り方について(報告書)」(秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議)
 (なお、法律案の制定過程で「特別秘密」が「特定秘密」に変わったため、古い文書では「特別秘密」と表記されている場合がある)

「特定秘密の保護に関する法律(全文)」

以下Qは「特定秘密保護法の新聞報道への反論・23」による

Q1:米軍や自衛隊の艦船の写真撮影は罪に問われるのか。(11月24日 朝日新聞・朝刊) 

 回答は「民間人が、通常の範囲で行った米軍や自衛隊の艦船の写真撮影は、特定秘密保護法により処罰されることはありません」「通常の方法で行った写真撮影はこれに該当しません」となっている。逆に言えば、「通常の範囲」「通常の方法」を逸脱した写真撮影は処罰される可能性があるということだ。処罰されるのは「外国の利益を図るなどの目的の下」という取得目的と、「違法行為等により取得する」という取得方法だが、「外国の利益を図るなど」「違法行為等」と「など」「等」が付くことで、必ずしも「外国の利益のため」「違法行為」である必要はない。

 Q23でも言及されるが、西山太吉氏が政府の沖縄密約をスクープした事件では、「外国の利益のため」でも「違法行為」でもなかった(第1審では「公共性」を認定、無罪)が、「社会通念上是認できない行為」によって取得されたとして、最高裁で有罪判決が確定している。 
 民間人が軍艦の写真をとろうとしたら、かならず「通常の範囲かどうか」を考えなければならなくなる。海岸から、山の上から、マンションの屋上から、ボートに乗って接近して、あるいは、公開時の艦上で等々。このQは、艦船に限定されているが、戦闘機や戦車を含む一切の兵器、軍事施設が問題になる。

 復帰前の沖縄では、米軍基地は黒塗りされ、市民や報道機関がそれを撮影したり公表したりすることは許されなかった。
 那覇市情報公開訴訟で争われた対潜水艦戦作戦センター(ASWOC)は、建物が那覇基地の外からも見えるにもかかわらず、「場所を知らせることで第三国に狙われる可能性がある」「自衛官でも許可を得なければ入れない。通知により、通常は撮影どころか場所を知らせることもできない」とされ、写真撮影を拒否されたという記事が、沖縄タイムスに掲載された。すなわち、民間人がカメラを向けさえすれば自由にとれる条件にありながら、写真撮影が拒否され続けたのである。沖縄タイムス記者が強行したらどうなったか。

 ホームページやブログ、あるいは雑誌等々に自ら撮った艦船の写真を掲載した場合、目的や方法が「通常の範囲」「通常の方法」で撮影したものなのか否かが問題になり、処罰される、あるいは家宅捜索を受けたり、検挙され起訴される可能性がある。結果的に裁判で無罪になるとしても、起訴され長期の裁判を強いられる危険があることは、それで十分に萎縮効果を生む。
 軍事訓練の騒音で悩む米軍基地周辺などでは、地域住民による監視活動が日夜続けられている。ここでの結論は、検挙・逮捕・起訴・処罰される危険を冒さずには米軍や自衛隊の艦船を写真撮影することはできないということだ
自衛隊施設 外から見えても撮影不可(沖縄タイムス) 
復帰前の空撮、米軍基地は黒塗り 秘密法で時代逆戻り(琉球新報)

(つづく)

(ハンマー)


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