ベネズエラ・ラテンアメリカ短報No.83
( 2023年5月11日)
(ベネズエラ要点)
・ 4月にベネズエラについて連続して報告したが、それ以外にも報告したいものが多々あり、その中から今回は「コミューンの前進」「CLAPの発展」「マドゥーロ時代」の3つを報告する。
<コミューンの前進 要点>
・ チャベスは、2012年10月の大統領選に勝利した直後の閣僚会議で、それまでの国家運営の不十分点を自己批判しつつ、コミューンを前面に押し出す方針を宣言した。そのときの有名な言葉が「コミューンか、無か」である。 / コミューンを通じて人民権力を強化し、社会主義社会の政治的経済的基盤を形成していくこと、コミューン国家を構築していくこと、それを明瞭な形で提起したのである。
・ 現在、「コミューン・人民権力省」は3,600のコミューンを登録している。だが、本当にしっかりした活動ができているコミューンは500ほどだという。それでもコミューン運動は巨大な前進を遂げてきた。2022年3月には、有力なコミューンを中心に約60のコミューンが全国組織「コミューン連合」を設立した。【「コミューン連合」設立については「ベネズエラ・ラテンアメリカ短報No.46」で報告している。】
・ 最も有力なコミューンのひとつ「エル・マイサル」コミューンで、基本的な生活必需品の生産と流通を集団管理して食料主権の確保に成功したことが示されている。 / ブラジルの「土地なし農村労働者運動(MST)」のメンバー・グループが2005年からベネズエラで活動してきた。そのMSTのグループが、「エル・マイサル」コミューンで3年間「チェ・ゲバラ農業学校」の運営を支援したという。
・ 農村の有力コミューン「エル・マイサル」以外に、「最も進んだ都市コミューンのひとつ」として、「3月5日 社会主義コミューン」についても紹介されている。学生運動として誕生した組織が「エル・マイサル」コミューンと接触したことからコミューンの形成へ進んだという。 / 2017~18年に、他のコミューンの経験を学ぶための旅団をつくり全国を回った。そこから「コミューン連合」の構想が生まれた。
<CLAPの発展 要点>
・ 地産地消と直接的な流通の新しいシステムをつくろうとする食料配給プロジェクトが、2014年に人民の中から始まった。それは2016年に国家政策のCLAP(供給・生産の地域委員会)となった。 / 当初はまだかなり外貨収入があり、また生産はすぐには増加しないため、配給物資の90%以上を輸入に頼っていた。米制裁・封鎖によってCLAPも重大な打撃を被った。 / 生産が強化され、現在では95%が国内生産によるものとなっている。全国に4万5,000以上のCLAPがあり、その70%以上が女性中心に管理・運営されているという。 / CLAPも社会主義の基盤建設として位置づけられている。
<マドゥーロ時代 要点>
・ チャベスの死後に大統領に選出されてから10年、マドゥーロは、再植民地化や暴力的な政権交代の企てを撃破し、独立した共和国として主権を守り通し、ベネズエラの新しい政治・経済の時代を形成してきた。 / マドゥーロは、3つの首尾一貫した戦術的な作戦で対応した。1)憲法上の合法性を踏み外すことなく、暴力を封じ込めるという観点から、断固とした態度で対応。 2)紛争後の安定を築くための対話と交渉。 3)チャビスモの一枚岩の結束を維持。 / 米帝による制裁・封鎖の中で、ボリバル革命の基本的な社会政策を維持しながら、現実的かつ統制のとれた軌道修正で、生産の多様化と経済活動の活性化、歳入調達能力の拡大に成功した。 / コミューン、CLAP、その他、組織化されたチャビスモに直接権限を与え、官僚主義やさまざまな非効率性によって侵食された国家機構の外に、計画と管理を委ねていった。 / マドゥーロ時代は、レンティア的経済基盤の変革を基本的に実現し定着させたことによって特徴づけられる。
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<コミューンの前進>
Peoples Dispatch April 10, 2023 by Maurizio Coppola
The advance of the commune in Venezuela
(ベネズエラにおけるコミューンの前進)
コマンダンテ、ウゴ・チャベス・フリアスの死から10年、「コミューンか、それとも無か」は、ボリバル革命を進めるベネズエラの人々の闘いの叫びであり続けている。 / 2012年10月20日、ウゴ・チャベス・フリアスが出席した最後の閣僚会議で、チャベスは、ボリバル革命の社会主義へ向けた政策の、歴史に残る「golpe de timón(方向転換)」を宣言した。ミラフローレス宮殿での演説で、チャベスは、国家運営の自己批判といっそう高度の効率化を訴えた。単に省庁の財源や組織力を高めるだけでなく、コムーナ(コミューン)を通じて人民権力を強化することによっても、それをおこなうことを訴えた。 / ボリバル革命は、ブルジョア国家の奪取と、支配階級の交代にとどまるものではなかった。その中心には常に、コミューンが将来の社会主義社会の政治的・経済的基盤を形成し、組織化された人々が自らのニーズを満たすための条件を構築するコミューン国家への転換を導くという志があった。 / チャベスが閣僚会議での最後の演説で提起した問題は、あらゆる革命運動の中心的な問題の一つである、社会主義建設の過程における党、政府、組織された人民の関係であった。チャベスは、歴史上の革命の経験を丹念に研究した上で、社会主義の政治過程を国家の作用を越えて、民衆と直接的に構築する方法を自問したのである。 / 10年前のチャベスのスローガンは、その後、具体的なプロジェクトへと発展し、組織化されたベネズエラ人民は、社会主義革命の道を進むために必要なあらゆる手段を用いて守り続けている。 / ボリバル革命の大衆基盤を強化する コミューンは、社会主義を構築するための主要な手段である。ホルヘ・アレアサが率いる「コミューンと社会運動のための人民権力省」は、3,600のコミューンを登録した。しかし、ララ州の「エル・マイサル」コミューンの創設者の一人で「コミューン連合」の全国指導部のメンバーであるアンヘル・プラドによれば、「全国で本当に活動しているコミューンは500ほどしかない」という。 / 2022年の3月4~5日、ベネズエラの5つの地域から約60のコミューンが、「エル・マイサル」コミューンで開かれた最初の大会で、「コミューン連合(Union Comunera)」を設立した。「コミューン連合」はコミューンの労働組合のようなもので、数年前に始まった組織化のプロセスの結果である。過去15年間に蓄積されたコミューンの経験を調整し増殖させる役割を果たし、組織の政治方針を練り上げ内外に広めるとともに、地域のニーズに応じて政治、思想、技術トレーニング・プログラムを構築している。「コミューン連合は、この国のコミューンという考え方を安定させるための重要な一歩だった」とプラドは付け加えている。 / 「エル・マイサル」コミューンでも農業生産の強化 「エル・マイサル」コミューンは、この国で最もダイナミックなコミューンのひとつである。2009年3月5日に設立されたこのコミューンは、同国西部のララ州とポルトゥゲサ州の間にある2,300ヘクタールの領土と3,500世帯以上、合計14,320人を包含している。 / この地域は、ボリバル革命が始まる前、公的機関から見捨てられ、人々は不安定な住居と、自分たちが消費するのがやっとの農業生産で絶対的な貧困にあえいでいた。余剰生産物は、仲介業者によって買い取られ、わずかな値段しか支払われなかった。これは、直接生産者が中間業者、大地主、多国籍企業の恣意性に従属することを再生産した。 / しかし、チャベス主義の台頭により、状況は一変した。「エル・マイサル」コミューンの開始は、社会主義指向政府とコミューンの人民の力との間の弁証法を示す模範的なものである。 / チャベスの選挙での勝利と、この国の政治・経済構造の民主化に後押しされ、自主的に組織された人々は、自分たちのニーズを満たすための条件を自律的につくり出した。一方、チャビスタ政府は、コミューンが必要とするところに支援を提供し、領土自治の形態を尊重する。政府が上からの政策で人民をコントロールするのではなく、人民が下から参加を拡大するための枠組みを提供するのである。 / コミューン活動家たちは、自治の構築とは、コミューンによって領土の完全な自治を永久に追求することであると主張している。 / 食料主権と国際主義的連帯 「エル・マイサル」コミューンの設立から14年経った現在、約120の直接生産組織が、白トウモロコシと黄トウモロコシ、牛肉と豚肉、卵、牛乳とチーズ、コーヒー、各種野菜など、14の食品生産ユニットを運営している。また、2011年に設立された会社が、コミューン全体のガス配給を管理している。このように基本的な生活必需品の生産と流通を集団で管理することで、コミューンは食料主権を確保することに大きく成功している。このことは、特に2015年から2021年にかけてベネズエラの人々に深刻な影響を与えた米国による制裁に対する基本的な武器であると活動家たちは述べている。 / 米帝国主義が生み出す政治的・経済的孤立に対する第二の基本的な武器は、国際連帯である。ブラジルの「土地なし農村労働者運動(MST)」は、2005年以来、ベネズエラの国際主義旅団の一員としてメンバーを派遣してきた。彼らの機能は、「知識を技術化し、意識を高める」というスローガンに集約されている。MSTは、ブラジル国内のさまざまな農業生産地において、土地を占拠し、ブラジル全土にキャンプを建設し、労働者を搾取し領土を破壊するアグリビジネスに対抗して持続可能な農業を発展させてきた過去40年間の経験と知識を生かして、ベネズエラの生産者を支援している。 / 特に「エル・マイサル」コミューンでは、国際派旅団が、3年間「チェ・ゲバラ農業学校」の運営を支援してきた。MSTが常駐しているおかげで、この学校では技術だけでなく、政治的、思想的なコースも提供されており、この地域の数十人の若者が農業技術の習得を完成させ、社会主義建設における領土生産の深い意味を詳しく説明することができる。この学校は、公立学校に取って代わるものではなく、それにプラスするものである。 / 「3月5日 社会主義コミューン」:大衆の自己組織化を拡大 「エル・マイサル」コミューンが農業コミューンの理想的な例だとすれば、社会主義コミューン「永遠の司令官3月5日」は、地域に根ざしたコミューンという点で、最も進んだ都市コミューンの一つである【3月5日はチャベスの命日】。エル・バジェ地区に位置し、市内の11ヘクタール以上の丘を占め、約6,000人の住民が集まり、19の社会主義的な生産ユニットがある。革命以前には、多くの家には水道がなく、電気は不安定で、高い家に行くには何百段もの階段を登らなければならず、公共交通機関を利用することもできないなどの問題が存在していた地域である。それは現在に至るまで続いている。 / バリオで活動する若い戦闘的な活動家は、ほとんどが「左翼文化戦線(FCI)」に組織されている。FCIは、2010~11年に学生運動として誕生した。当初、「エル・マイサル」コミューンのおかげでコミューンの世界と接触し、政治的・思想的なトレーニングに取り組み始めた。そして、2017~18年には、コミューンの経験を結集するために、全国を回る旅団をつくった。そこから「コミューン連合」の構想が生まれた。 / コミューンは、与えられた領土における政治的組織的な構造であるだけでなく、独自の経済的生産基盤をつくる必要がある。都市部では、社会的企業は農村部のコミューンのように食料を生産することはできないが、サービスや流通の分野で活躍し、近隣で基本的な役割を果たす店舗を持つこともある。 / 「3月5日コミューン」の少なくとも他の2つのプロジェクトは注目に値する。1つはリサイクル・システムで、持続可能なゴミ収集の構築に貢献する一方で、この地域に住む人々に仕事を提供している。「エコ社会主義のための人民権力省」と共同で、リサイクル訓練校を開設し、作業技術を学べるようにした。人民の社会主義への道を強化することを目的とした政府と人民権力の弁証法の別の例である。この「モラル・エコノミー」は、単に交換価値に基づくのではなく、自己組織化、相互主義、持続可能性といった概念に基づく労働者の意識形成に不可欠な要素である。 / フェミニストの自己組織化の一例 2つ目の政治活動の領域は、「La Ruta de las Flores(花の道)」と呼ばれている。これは、この地域の女性、子ども、青少年のニーズに答えるフェミニストのコミューン的政策である。ジェンダーと階級の矛盾を組み合わせたコミューン的なフェミニストの路線を確立しようとする、理論的な方向性を示すテキストの起草に取り組んでいる。 / 社会主義は経済的な財産関係を変えることに限定することはできない。社会主義は文化的、道徳的な問題でもある。「3月5日コミューン」で始まったこのフェミニスト・プロジェクトは、現在、スクレ州、ララ州、ミランダ州、タチラ州の他の4つのコミューンに存在する。 / 独立、コミューン、社会主義 ウゴ・チャベスの死後10年、人民の政治参加、自己組織化、下からの自治は、チャビスモの魂、身体、心臓を構成し続けている。しかし、社会主義の建設は、地域の活動に限定されるものではない。 / コミューンのもう一つのスローガンである「独立、コミューン、社会主義」は、この国際主義の視点を要約している。 / <独立>: 外国の干渉、特に米帝国主義からだけでなく、多国籍企業や特別な利益を持つ国家ブルジョアジー(大規模地主、個人投資家など)からも独立。この独立は、食料、政治、経済の主権も意味する。 / <コミューン>: 「コミューンか無か」。トップダウンではない革命的プロセスで、コミューンが党や政府の官僚化に対抗する道具として機能することができるという信念を持つ。 / <社会主義>: 地元で行動するだけでは不十分で、明確な構造もなく、政府もなく、社会主義政策もないコミューンは、小ブルジョア的な地元主義に成り下がる。 / ベネズエラをコミューンの社会主義国家に変えるために、国内のさまざまな地域の戦闘的な人々はコミューンのために闘っている。
<CLAPの発展>
Orinoco Tribune MARCH 20, 2023
President Maduro: Venezuela Produces 95% of Products Distributed in CLAP Program
(マドゥーロ大統領: ベネズエラはCLAPプログラムで配布される物資の95%を生産)
3月17日、ミランダ州で開催された「CLAPプログラム創設7周年記念イベント」において、ニコラス・マドゥーロ大統領は、現在ベネズエラは「供給・生産地域委員会(CLAP)」プログラムを通じて流通する製品の95%を生産していると発表した。 / また、750万世帯がこの計画から月に1回以上、食料品やその他の日用品を受け取っていると付け加えた。【ベネズエラ人口は、国連統計、世銀統計、外務省・ベネズエラ基礎データでは2021年で約2800万人。ただし、Jetroでは2022年予測が約3300万人。いずれにしても「750万世帯」だから、1世帯平均4人とすれば約3000万人ということになるので、ほぼ全家庭に近いものと思われる。】 / 経済戦争と食料戦争から、食料に関する国民のプログラムが生まれた。CLAPは、人々の経験から生まれた」とも。 / このプログラムを開発するために、ヤラクイ州とコヘデス州の人々の食料生産の経験が研究された。「それは、地産地消と直接流通の新しいシステムをつくるという使命を持って、人民の力の底辺から現れた。」「それらの取り組みを検討し、2016年にこのプログラムを開始した。」 / 当時、ベネズエラにはまだ外貨収入があったので、CLAPの物資の93%を輸入した。ブラジル、パナマ、メキシコ、ドミニカ共和国、トルコから400万箱のCLAPが購入された。 / その後、帝国主義がCLAPプログラムを制裁し、製品を提供した企業を米国が迫害し、口座凍結までした。そのような状況に対応するため、国内生産を強化した。2020年から今日まで、CLAPの製品の95%を自国生産することに成功した。これは間違いなく、大きな成果だ。」 / 「今日、私たちは45,000以上の供給・生産地域委員会があり、その73%が女性によって運営されていると言える。そして、CLAPはこれからが本番」と大統領は付け加えた。CLAPは増殖し、CLAPの7年間で奇跡は可能になった。 / 国産化のための資金調達 ベネズエラのデルシー・ロドリゲス副大統領は、CLAPプログラムのための国民生産が経済財務省の設立した資金調達ファンドを通じて資金と資源を受け取ることを発表した。 / 大統領は、レアル・テレリア食料相とロドリゲス副大統領に、「12月31日までに、国内のCLAPの50%、すなわち食料生産CLAPのうち22,755が完全に機能するようにしなければならない。2025年までに75%、2026年までに100%という目標を達成するための資源を提供しなければならない」と指示した。 / ミランダ州のエクトル・ロドリゲス・カストロ知事は、CLAPが全国レベルで政府の力学をも変えたことを強調した。「今日、CLAPのおかげで、食料問題の解決に役立つだけでなく、社会主義の基盤が確立されつつある」「将来を見据えて、CLAPプログラムは人々のエンパワーメントの基本的な要因になるだろう」と述べた。
<マドゥーロ時代>
Misión Verdad 8 Mar 2023 (スペイン語・機械翻訳)
LAS CLAVES Y LOS HITOS DE LA ERA MADURO
(マドゥーロ時代の鍵とマイルストーン)
ウーゴ・チャベスの死という前代未聞の衝撃的な状況で大統領に選出されてから約10年、ニコラス・マドゥーロは、ベネズエラの新しい政治・経済時代を形成してきた。 / 再植民地化や暴力的な政権交代の企てをかわし、「何としても主権を守る」というチャビスタの信条に則り、独立した共和国としての存在を維持している。
1.統一のための権威とリーダーシップの構築 マドゥーロは、さまざまな課題に対して、3つの首尾一貫した戦術的な作戦で対応した。1)憲法上の合法性を踏み外すことなく、暴力を封じ込めるという観点から、断固とした態度で対応する。 2)紛争後の安定を築くための対話・交渉の選択肢を構築する。 3)チャビスモの一枚岩の結束を維持するために、チャビスモの階層を動員し、再軍事化する。 / 2015年の議会選挙の敗北以降に行われたチャビスモの政治的、社会的、選挙的な再構成は、マドゥーロの戦略の一つであり、不利な状況に直面しながらもプロセスを導く能力を発揮した。それ以降、段階的に不安定化する新たな衝動に抵抗しながら、制度的安定を保つために国家の調和と協調行動を維持し、選挙であれ政治であれ、自分の戦略的決定に従って政府およびチャビスモの政治全体を整列させた。 / 2.新しい経済管理または封鎖された国を収入なしで管理運営する方法 ベネズエラのように、歴史的に国際市場から獲得した石油収入に経済の新陳代謝を依存してきた国にとって、この変数の急激な変化は地震に近いものがある。これは、2014年以降、ワシントンが同国に対して適用した広範な経済・金融・商業封鎖の結果として同国で起こったことで、石油収入は2020年に7億ドルという破滅的な最低水準に落ち込んだ。 / 石油輸出から得られる資源が、富の再分配や国民所得のバランスのとれた社会的配分といった観点から実施される公共政策の範囲と影響を決定するため、石油輸出からの収入は経済問題だけでなく政治問題でもある。 / 経済的に言えば、マドゥーロ時代とチャベス時代とでは、この国は大きく異なっている。石油収入の破壊、国際決済システムからのベネズエラの隔離、信用ルートと海外資産の凍結(Monomeros、Citgoなどの企業、イングランド銀行に預けられた金、国際銀行にある保証金など)という執拗な追求は、混沌としたインフレ、商品とサービスの不足、景気後退の時期をもたらした。 / ボリバル革命の基本的な社会政策を維持しながら、民間資本の投入、商業活動の活発化、外国為替市場の規制解除、外貨建て取引の代表化などに基づく経済マトリックスの現実的かつ統制のとれた修正と並行して、新しい計算を洗練されたものにしなければならなかった。 / マドゥーロの短中期ビジョンは、経済活動の成長を加速させることを目的とした現実的な対策が、生産の多様化と歳入調達能力の拡大の基礎を作り、公共政策の中心的な歳入経路としての石油収入に取って代わるというものだった。 / ベネズエラは、2017年以降のハイパーインフレと経済不況から2021年末に正式に脱却した。 / 所得基盤の変化は、ベネズエラ経済を成長、生産性の向上、多様化という新たな枠組みへと導き、封鎖の悪影響やウクライナ紛争を踏まえた国際石油貿易の変化にもかかわらず、中期的に存続できる基盤を固めた。 / 3.憲法精神の再実現 2017年半ばの全国制憲議会の設置は、その年の武力・暴力、テロ、不安定化のサイクルに終止符を打っただけではない。 / 平和と安定を救うための選挙での正当性と社会的動員に基づき、対立のシナリオを完全に秩序づけることによって、全権委任的な性質を持つ、政府行動のための新しい政治的・制度的枠組みを構築するという戦略的決断は、その目的に尽きただけではなく、ここ最近のマドゥーロの政治革新の教義的型となった。 / ベネズエラ国家の情報化戦略の成熟を象徴する「Carnet de la Patria(祖国カード)」の創設によって、大統領は公的資源を最適かつバランスの取れた方法で活用し、公的管理の慣性と官僚化の障害を解消し、住民の実際的要求と再接続することに成功した。 / 希少な財源を政治的に管理することを再考する鍵は、組織化されたチャビスモに直接権限を与えたことであり、チャビスモは今やより効率的な調整のためのプラットフォームを手に入れたのである。ボリバル政府は資源を最適化する手段を得ただけでなく、コミューン評議会、コミューンなどチャビスモの下流組織は、領土におけるその力を強化し、社会政策の主要路線の調和を図ることになった。 / 流通業者の内部抗争、価格の高騰、輸入の封鎖によって混乱した危機の最悪の瞬間に、食料への権利にとって重要な生命線を象徴するCLAPsは、行政府が形作った憲法制定議会政府の新しい技術の一部でもある。 / マドゥーロは、この民衆組織の方式によって、官僚主義やさまざまな非効率性によって浸食された国家の外に、食料の分配と供給のための補完的な選択肢を見出し、計画の方法論と地域の詳細の管理をコミュニティの集合体に委ね、食料分野の国家機関は、食料と基本物資の流れが破壊されないように連携して活動した。 / マドゥーロ時代は、経済的には、レンティア的基盤の変化の定着に依存する経済的アプローチのための教義の復活と新しい枠組みによって特徴付けられる。達成された良い結果によって、政治的には、リーダーシップと権限の拡大によって特徴付けられる。そして、公共経営においては、時代に合った統治術を確立するという長期的な展望のもと、対話と社会的・民衆的つながりという代替手段を確立する、権力と政府の近代的技術の構成と革新によって特徴付けられる。
( 2023年5月11日)
(ベネズエラ要点)
・ 4月にベネズエラについて連続して報告したが、それ以外にも報告したいものが多々あり、その中から今回は「コミューンの前進」「CLAPの発展」「マドゥーロ時代」の3つを報告する。
<コミューンの前進 要点>
・ チャベスは、2012年10月の大統領選に勝利した直後の閣僚会議で、それまでの国家運営の不十分点を自己批判しつつ、コミューンを前面に押し出す方針を宣言した。そのときの有名な言葉が「コミューンか、無か」である。 / コミューンを通じて人民権力を強化し、社会主義社会の政治的経済的基盤を形成していくこと、コミューン国家を構築していくこと、それを明瞭な形で提起したのである。
・ 現在、「コミューン・人民権力省」は3,600のコミューンを登録している。だが、本当にしっかりした活動ができているコミューンは500ほどだという。それでもコミューン運動は巨大な前進を遂げてきた。2022年3月には、有力なコミューンを中心に約60のコミューンが全国組織「コミューン連合」を設立した。【「コミューン連合」設立については「ベネズエラ・ラテンアメリカ短報No.46」で報告している。】
・ 最も有力なコミューンのひとつ「エル・マイサル」コミューンで、基本的な生活必需品の生産と流通を集団管理して食料主権の確保に成功したことが示されている。 / ブラジルの「土地なし農村労働者運動(MST)」のメンバー・グループが2005年からベネズエラで活動してきた。そのMSTのグループが、「エル・マイサル」コミューンで3年間「チェ・ゲバラ農業学校」の運営を支援したという。
・ 農村の有力コミューン「エル・マイサル」以外に、「最も進んだ都市コミューンのひとつ」として、「3月5日 社会主義コミューン」についても紹介されている。学生運動として誕生した組織が「エル・マイサル」コミューンと接触したことからコミューンの形成へ進んだという。 / 2017~18年に、他のコミューンの経験を学ぶための旅団をつくり全国を回った。そこから「コミューン連合」の構想が生まれた。
<CLAPの発展 要点>
・ 地産地消と直接的な流通の新しいシステムをつくろうとする食料配給プロジェクトが、2014年に人民の中から始まった。それは2016年に国家政策のCLAP(供給・生産の地域委員会)となった。 / 当初はまだかなり外貨収入があり、また生産はすぐには増加しないため、配給物資の90%以上を輸入に頼っていた。米制裁・封鎖によってCLAPも重大な打撃を被った。 / 生産が強化され、現在では95%が国内生産によるものとなっている。全国に4万5,000以上のCLAPがあり、その70%以上が女性中心に管理・運営されているという。 / CLAPも社会主義の基盤建設として位置づけられている。
<マドゥーロ時代 要点>
・ チャベスの死後に大統領に選出されてから10年、マドゥーロは、再植民地化や暴力的な政権交代の企てを撃破し、独立した共和国として主権を守り通し、ベネズエラの新しい政治・経済の時代を形成してきた。 / マドゥーロは、3つの首尾一貫した戦術的な作戦で対応した。1)憲法上の合法性を踏み外すことなく、暴力を封じ込めるという観点から、断固とした態度で対応。 2)紛争後の安定を築くための対話と交渉。 3)チャビスモの一枚岩の結束を維持。 / 米帝による制裁・封鎖の中で、ボリバル革命の基本的な社会政策を維持しながら、現実的かつ統制のとれた軌道修正で、生産の多様化と経済活動の活性化、歳入調達能力の拡大に成功した。 / コミューン、CLAP、その他、組織化されたチャビスモに直接権限を与え、官僚主義やさまざまな非効率性によって侵食された国家機構の外に、計画と管理を委ねていった。 / マドゥーロ時代は、レンティア的経済基盤の変革を基本的に実現し定着させたことによって特徴づけられる。
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<コミューンの前進>
Peoples Dispatch April 10, 2023 by Maurizio Coppola
The advance of the commune in Venezuela
(ベネズエラにおけるコミューンの前進)
コマンダンテ、ウゴ・チャベス・フリアスの死から10年、「コミューンか、それとも無か」は、ボリバル革命を進めるベネズエラの人々の闘いの叫びであり続けている。 / 2012年10月20日、ウゴ・チャベス・フリアスが出席した最後の閣僚会議で、チャベスは、ボリバル革命の社会主義へ向けた政策の、歴史に残る「golpe de timón(方向転換)」を宣言した。ミラフローレス宮殿での演説で、チャベスは、国家運営の自己批判といっそう高度の効率化を訴えた。単に省庁の財源や組織力を高めるだけでなく、コムーナ(コミューン)を通じて人民権力を強化することによっても、それをおこなうことを訴えた。 / ボリバル革命は、ブルジョア国家の奪取と、支配階級の交代にとどまるものではなかった。その中心には常に、コミューンが将来の社会主義社会の政治的・経済的基盤を形成し、組織化された人々が自らのニーズを満たすための条件を構築するコミューン国家への転換を導くという志があった。 / チャベスが閣僚会議での最後の演説で提起した問題は、あらゆる革命運動の中心的な問題の一つである、社会主義建設の過程における党、政府、組織された人民の関係であった。チャベスは、歴史上の革命の経験を丹念に研究した上で、社会主義の政治過程を国家の作用を越えて、民衆と直接的に構築する方法を自問したのである。 / 10年前のチャベスのスローガンは、その後、具体的なプロジェクトへと発展し、組織化されたベネズエラ人民は、社会主義革命の道を進むために必要なあらゆる手段を用いて守り続けている。 / ボリバル革命の大衆基盤を強化する コミューンは、社会主義を構築するための主要な手段である。ホルヘ・アレアサが率いる「コミューンと社会運動のための人民権力省」は、3,600のコミューンを登録した。しかし、ララ州の「エル・マイサル」コミューンの創設者の一人で「コミューン連合」の全国指導部のメンバーであるアンヘル・プラドによれば、「全国で本当に活動しているコミューンは500ほどしかない」という。 / 2022年の3月4~5日、ベネズエラの5つの地域から約60のコミューンが、「エル・マイサル」コミューンで開かれた最初の大会で、「コミューン連合(Union Comunera)」を設立した。「コミューン連合」はコミューンの労働組合のようなもので、数年前に始まった組織化のプロセスの結果である。過去15年間に蓄積されたコミューンの経験を調整し増殖させる役割を果たし、組織の政治方針を練り上げ内外に広めるとともに、地域のニーズに応じて政治、思想、技術トレーニング・プログラムを構築している。「コミューン連合は、この国のコミューンという考え方を安定させるための重要な一歩だった」とプラドは付け加えている。 / 「エル・マイサル」コミューンでも農業生産の強化 「エル・マイサル」コミューンは、この国で最もダイナミックなコミューンのひとつである。2009年3月5日に設立されたこのコミューンは、同国西部のララ州とポルトゥゲサ州の間にある2,300ヘクタールの領土と3,500世帯以上、合計14,320人を包含している。 / この地域は、ボリバル革命が始まる前、公的機関から見捨てられ、人々は不安定な住居と、自分たちが消費するのがやっとの農業生産で絶対的な貧困にあえいでいた。余剰生産物は、仲介業者によって買い取られ、わずかな値段しか支払われなかった。これは、直接生産者が中間業者、大地主、多国籍企業の恣意性に従属することを再生産した。 / しかし、チャベス主義の台頭により、状況は一変した。「エル・マイサル」コミューンの開始は、社会主義指向政府とコミューンの人民の力との間の弁証法を示す模範的なものである。 / チャベスの選挙での勝利と、この国の政治・経済構造の民主化に後押しされ、自主的に組織された人々は、自分たちのニーズを満たすための条件を自律的につくり出した。一方、チャビスタ政府は、コミューンが必要とするところに支援を提供し、領土自治の形態を尊重する。政府が上からの政策で人民をコントロールするのではなく、人民が下から参加を拡大するための枠組みを提供するのである。 / コミューン活動家たちは、自治の構築とは、コミューンによって領土の完全な自治を永久に追求することであると主張している。 / 食料主権と国際主義的連帯 「エル・マイサル」コミューンの設立から14年経った現在、約120の直接生産組織が、白トウモロコシと黄トウモロコシ、牛肉と豚肉、卵、牛乳とチーズ、コーヒー、各種野菜など、14の食品生産ユニットを運営している。また、2011年に設立された会社が、コミューン全体のガス配給を管理している。このように基本的な生活必需品の生産と流通を集団で管理することで、コミューンは食料主権を確保することに大きく成功している。このことは、特に2015年から2021年にかけてベネズエラの人々に深刻な影響を与えた米国による制裁に対する基本的な武器であると活動家たちは述べている。 / 米帝国主義が生み出す政治的・経済的孤立に対する第二の基本的な武器は、国際連帯である。ブラジルの「土地なし農村労働者運動(MST)」は、2005年以来、ベネズエラの国際主義旅団の一員としてメンバーを派遣してきた。彼らの機能は、「知識を技術化し、意識を高める」というスローガンに集約されている。MSTは、ブラジル国内のさまざまな農業生産地において、土地を占拠し、ブラジル全土にキャンプを建設し、労働者を搾取し領土を破壊するアグリビジネスに対抗して持続可能な農業を発展させてきた過去40年間の経験と知識を生かして、ベネズエラの生産者を支援している。 / 特に「エル・マイサル」コミューンでは、国際派旅団が、3年間「チェ・ゲバラ農業学校」の運営を支援してきた。MSTが常駐しているおかげで、この学校では技術だけでなく、政治的、思想的なコースも提供されており、この地域の数十人の若者が農業技術の習得を完成させ、社会主義建設における領土生産の深い意味を詳しく説明することができる。この学校は、公立学校に取って代わるものではなく、それにプラスするものである。 / 「3月5日 社会主義コミューン」:大衆の自己組織化を拡大 「エル・マイサル」コミューンが農業コミューンの理想的な例だとすれば、社会主義コミューン「永遠の司令官3月5日」は、地域に根ざしたコミューンという点で、最も進んだ都市コミューンの一つである【3月5日はチャベスの命日】。エル・バジェ地区に位置し、市内の11ヘクタール以上の丘を占め、約6,000人の住民が集まり、19の社会主義的な生産ユニットがある。革命以前には、多くの家には水道がなく、電気は不安定で、高い家に行くには何百段もの階段を登らなければならず、公共交通機関を利用することもできないなどの問題が存在していた地域である。それは現在に至るまで続いている。 / バリオで活動する若い戦闘的な活動家は、ほとんどが「左翼文化戦線(FCI)」に組織されている。FCIは、2010~11年に学生運動として誕生した。当初、「エル・マイサル」コミューンのおかげでコミューンの世界と接触し、政治的・思想的なトレーニングに取り組み始めた。そして、2017~18年には、コミューンの経験を結集するために、全国を回る旅団をつくった。そこから「コミューン連合」の構想が生まれた。 / コミューンは、与えられた領土における政治的組織的な構造であるだけでなく、独自の経済的生産基盤をつくる必要がある。都市部では、社会的企業は農村部のコミューンのように食料を生産することはできないが、サービスや流通の分野で活躍し、近隣で基本的な役割を果たす店舗を持つこともある。 / 「3月5日コミューン」の少なくとも他の2つのプロジェクトは注目に値する。1つはリサイクル・システムで、持続可能なゴミ収集の構築に貢献する一方で、この地域に住む人々に仕事を提供している。「エコ社会主義のための人民権力省」と共同で、リサイクル訓練校を開設し、作業技術を学べるようにした。人民の社会主義への道を強化することを目的とした政府と人民権力の弁証法の別の例である。この「モラル・エコノミー」は、単に交換価値に基づくのではなく、自己組織化、相互主義、持続可能性といった概念に基づく労働者の意識形成に不可欠な要素である。 / フェミニストの自己組織化の一例 2つ目の政治活動の領域は、「La Ruta de las Flores(花の道)」と呼ばれている。これは、この地域の女性、子ども、青少年のニーズに答えるフェミニストのコミューン的政策である。ジェンダーと階級の矛盾を組み合わせたコミューン的なフェミニストの路線を確立しようとする、理論的な方向性を示すテキストの起草に取り組んでいる。 / 社会主義は経済的な財産関係を変えることに限定することはできない。社会主義は文化的、道徳的な問題でもある。「3月5日コミューン」で始まったこのフェミニスト・プロジェクトは、現在、スクレ州、ララ州、ミランダ州、タチラ州の他の4つのコミューンに存在する。 / 独立、コミューン、社会主義 ウゴ・チャベスの死後10年、人民の政治参加、自己組織化、下からの自治は、チャビスモの魂、身体、心臓を構成し続けている。しかし、社会主義の建設は、地域の活動に限定されるものではない。 / コミューンのもう一つのスローガンである「独立、コミューン、社会主義」は、この国際主義の視点を要約している。 / <独立>: 外国の干渉、特に米帝国主義からだけでなく、多国籍企業や特別な利益を持つ国家ブルジョアジー(大規模地主、個人投資家など)からも独立。この独立は、食料、政治、経済の主権も意味する。 / <コミューン>: 「コミューンか無か」。トップダウンではない革命的プロセスで、コミューンが党や政府の官僚化に対抗する道具として機能することができるという信念を持つ。 / <社会主義>: 地元で行動するだけでは不十分で、明確な構造もなく、政府もなく、社会主義政策もないコミューンは、小ブルジョア的な地元主義に成り下がる。 / ベネズエラをコミューンの社会主義国家に変えるために、国内のさまざまな地域の戦闘的な人々はコミューンのために闘っている。
<CLAPの発展>
Orinoco Tribune MARCH 20, 2023
President Maduro: Venezuela Produces 95% of Products Distributed in CLAP Program
(マドゥーロ大統領: ベネズエラはCLAPプログラムで配布される物資の95%を生産)
3月17日、ミランダ州で開催された「CLAPプログラム創設7周年記念イベント」において、ニコラス・マドゥーロ大統領は、現在ベネズエラは「供給・生産地域委員会(CLAP)」プログラムを通じて流通する製品の95%を生産していると発表した。 / また、750万世帯がこの計画から月に1回以上、食料品やその他の日用品を受け取っていると付け加えた。【ベネズエラ人口は、国連統計、世銀統計、外務省・ベネズエラ基礎データでは2021年で約2800万人。ただし、Jetroでは2022年予測が約3300万人。いずれにしても「750万世帯」だから、1世帯平均4人とすれば約3000万人ということになるので、ほぼ全家庭に近いものと思われる。】 / 経済戦争と食料戦争から、食料に関する国民のプログラムが生まれた。CLAPは、人々の経験から生まれた」とも。 / このプログラムを開発するために、ヤラクイ州とコヘデス州の人々の食料生産の経験が研究された。「それは、地産地消と直接流通の新しいシステムをつくるという使命を持って、人民の力の底辺から現れた。」「それらの取り組みを検討し、2016年にこのプログラムを開始した。」 / 当時、ベネズエラにはまだ外貨収入があったので、CLAPの物資の93%を輸入した。ブラジル、パナマ、メキシコ、ドミニカ共和国、トルコから400万箱のCLAPが購入された。 / その後、帝国主義がCLAPプログラムを制裁し、製品を提供した企業を米国が迫害し、口座凍結までした。そのような状況に対応するため、国内生産を強化した。2020年から今日まで、CLAPの製品の95%を自国生産することに成功した。これは間違いなく、大きな成果だ。」 / 「今日、私たちは45,000以上の供給・生産地域委員会があり、その73%が女性によって運営されていると言える。そして、CLAPはこれからが本番」と大統領は付け加えた。CLAPは増殖し、CLAPの7年間で奇跡は可能になった。 / 国産化のための資金調達 ベネズエラのデルシー・ロドリゲス副大統領は、CLAPプログラムのための国民生産が経済財務省の設立した資金調達ファンドを通じて資金と資源を受け取ることを発表した。 / 大統領は、レアル・テレリア食料相とロドリゲス副大統領に、「12月31日までに、国内のCLAPの50%、すなわち食料生産CLAPのうち22,755が完全に機能するようにしなければならない。2025年までに75%、2026年までに100%という目標を達成するための資源を提供しなければならない」と指示した。 / ミランダ州のエクトル・ロドリゲス・カストロ知事は、CLAPが全国レベルで政府の力学をも変えたことを強調した。「今日、CLAPのおかげで、食料問題の解決に役立つだけでなく、社会主義の基盤が確立されつつある」「将来を見据えて、CLAPプログラムは人々のエンパワーメントの基本的な要因になるだろう」と述べた。
<マドゥーロ時代>
Misión Verdad 8 Mar 2023 (スペイン語・機械翻訳)
LAS CLAVES Y LOS HITOS DE LA ERA MADURO
(マドゥーロ時代の鍵とマイルストーン)
ウーゴ・チャベスの死という前代未聞の衝撃的な状況で大統領に選出されてから約10年、ニコラス・マドゥーロは、ベネズエラの新しい政治・経済時代を形成してきた。 / 再植民地化や暴力的な政権交代の企てをかわし、「何としても主権を守る」というチャビスタの信条に則り、独立した共和国としての存在を維持している。
1.統一のための権威とリーダーシップの構築 マドゥーロは、さまざまな課題に対して、3つの首尾一貫した戦術的な作戦で対応した。1)憲法上の合法性を踏み外すことなく、暴力を封じ込めるという観点から、断固とした態度で対応する。 2)紛争後の安定を築くための対話・交渉の選択肢を構築する。 3)チャビスモの一枚岩の結束を維持するために、チャビスモの階層を動員し、再軍事化する。 / 2015年の議会選挙の敗北以降に行われたチャビスモの政治的、社会的、選挙的な再構成は、マドゥーロの戦略の一つであり、不利な状況に直面しながらもプロセスを導く能力を発揮した。それ以降、段階的に不安定化する新たな衝動に抵抗しながら、制度的安定を保つために国家の調和と協調行動を維持し、選挙であれ政治であれ、自分の戦略的決定に従って政府およびチャビスモの政治全体を整列させた。 / 2.新しい経済管理または封鎖された国を収入なしで管理運営する方法 ベネズエラのように、歴史的に国際市場から獲得した石油収入に経済の新陳代謝を依存してきた国にとって、この変数の急激な変化は地震に近いものがある。これは、2014年以降、ワシントンが同国に対して適用した広範な経済・金融・商業封鎖の結果として同国で起こったことで、石油収入は2020年に7億ドルという破滅的な最低水準に落ち込んだ。 / 石油輸出から得られる資源が、富の再分配や国民所得のバランスのとれた社会的配分といった観点から実施される公共政策の範囲と影響を決定するため、石油輸出からの収入は経済問題だけでなく政治問題でもある。 / 経済的に言えば、マドゥーロ時代とチャベス時代とでは、この国は大きく異なっている。石油収入の破壊、国際決済システムからのベネズエラの隔離、信用ルートと海外資産の凍結(Monomeros、Citgoなどの企業、イングランド銀行に預けられた金、国際銀行にある保証金など)という執拗な追求は、混沌としたインフレ、商品とサービスの不足、景気後退の時期をもたらした。 / ボリバル革命の基本的な社会政策を維持しながら、民間資本の投入、商業活動の活発化、外国為替市場の規制解除、外貨建て取引の代表化などに基づく経済マトリックスの現実的かつ統制のとれた修正と並行して、新しい計算を洗練されたものにしなければならなかった。 / マドゥーロの短中期ビジョンは、経済活動の成長を加速させることを目的とした現実的な対策が、生産の多様化と歳入調達能力の拡大の基礎を作り、公共政策の中心的な歳入経路としての石油収入に取って代わるというものだった。 / ベネズエラは、2017年以降のハイパーインフレと経済不況から2021年末に正式に脱却した。 / 所得基盤の変化は、ベネズエラ経済を成長、生産性の向上、多様化という新たな枠組みへと導き、封鎖の悪影響やウクライナ紛争を踏まえた国際石油貿易の変化にもかかわらず、中期的に存続できる基盤を固めた。 / 3.憲法精神の再実現 2017年半ばの全国制憲議会の設置は、その年の武力・暴力、テロ、不安定化のサイクルに終止符を打っただけではない。 / 平和と安定を救うための選挙での正当性と社会的動員に基づき、対立のシナリオを完全に秩序づけることによって、全権委任的な性質を持つ、政府行動のための新しい政治的・制度的枠組みを構築するという戦略的決断は、その目的に尽きただけではなく、ここ最近のマドゥーロの政治革新の教義的型となった。 / ベネズエラ国家の情報化戦略の成熟を象徴する「Carnet de la Patria(祖国カード)」の創設によって、大統領は公的資源を最適かつバランスの取れた方法で活用し、公的管理の慣性と官僚化の障害を解消し、住民の実際的要求と再接続することに成功した。 / 希少な財源を政治的に管理することを再考する鍵は、組織化されたチャビスモに直接権限を与えたことであり、チャビスモは今やより効率的な調整のためのプラットフォームを手に入れたのである。ボリバル政府は資源を最適化する手段を得ただけでなく、コミューン評議会、コミューンなどチャビスモの下流組織は、領土におけるその力を強化し、社会政策の主要路線の調和を図ることになった。 / 流通業者の内部抗争、価格の高騰、輸入の封鎖によって混乱した危機の最悪の瞬間に、食料への権利にとって重要な生命線を象徴するCLAPsは、行政府が形作った憲法制定議会政府の新しい技術の一部でもある。 / マドゥーロは、この民衆組織の方式によって、官僚主義やさまざまな非効率性によって浸食された国家の外に、食料の分配と供給のための補完的な選択肢を見出し、計画の方法論と地域の詳細の管理をコミュニティの集合体に委ね、食料分野の国家機関は、食料と基本物資の流れが破壊されないように連携して活動した。 / マドゥーロ時代は、経済的には、レンティア的基盤の変化の定着に依存する経済的アプローチのための教義の復活と新しい枠組みによって特徴付けられる。達成された良い結果によって、政治的には、リーダーシップと権限の拡大によって特徴付けられる。そして、公共経営においては、時代に合った統治術を確立するという長期的な展望のもと、対話と社会的・民衆的つながりという代替手段を確立する、権力と政府の近代的技術の構成と革新によって特徴付けられる。