デタラメ答弁を繰り返している金田勝年法相は4月28日の衆院法務委員会で、桜並木を歩く行為について、単なる花見か犯行現場の下見かの判断基準として、“ビールと弁当を持っていたら「花見」、地図と双眼鏡を持っていたら「犯行現場の下見」”と発言しました。金田法相はこれまで「客観的に判断する」と答弁していましたが、捜査当局や検察が共謀罪を立件する上での「証拠」の例を明らかにしたことになります。
※ビールと弁当は花見、地図と双眼鏡は… 「共謀罪」例示(朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/ASK4X7SG1K4XUTFK01L.html
これほど恐ろしいことはありません。これは、捜査当局が「犯罪組織」として目を付けて共謀罪でメンバーを逮捕しようとすれば、いかなる理由でも逮捕できるという危険を明らかにしたものに他なりません。
地図と双眼鏡をもって花見に行く人もいるでしょう。それだけでなく、スマホを持っていたら共謀罪になるのではないかという危機感を持ちました。
というのも、最近のスマホは進化しています。スマホで撮ったピースをした記念写真から人差し指の指紋が鮮明に分かることが大問題になっています。そんなスマホで写真を撮っていれば、双眼鏡で見るのと同じかそれ以上の情報を得ることができるでしょう。またスマホには地図機能がついているし、グーグルのストリートビューでは極めて鮮明な家屋などの写真が見られます。
金田法相の言葉がほんとうなら、スマホをもっているだけで、写真を撮っただけで、共謀罪の十分な証拠になるのです。
スマホをもっているだけで犯罪なんてバカな?と思われるかもしれません。しかし、とんでもない冤罪、誤認逮捕が起こっています。
今年の3月8日、ヌンチャクを車内に隠し持っていたとして軽犯罪法違反(凶器の隠匿携帯)の罪に問われ、一審で有罪とされた整体師の男性が、広島高裁逆転無罪判決になっています。無罪を勝ち取るまで1年以上かかっています。
※ブルース・リーの影響…車内にヌンチャク 逆転無罪判決(朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/ASK385RS6K38PPZB00L.html
2013年にガソリンスタンドで偽造カードを使ったとして逮捕された男性は85日間も拘留されています。防犯カメラ画像の解析などで甚大な労力をかけた結果、ようやく無罪が証明されました。
※誤認逮捕は違法 検察の起訴も「違法」 国と大阪府に620万円賠償命令(産経新聞)
http://www.sankei.com/west/news/150615/wst1506150055-n1.html
NHKクローズーアップ現代は、不鮮明な防犯カメラ映像だけを根拠に自白を迫り、犯人をでっち上げていく警察のすさまじい手法を問題にしています。
※防犯カメラの落とし穴 ~相次ぐ誤認逮捕~(2014年10月14日(火)放送)
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3564/1.html
報道を見る限り、これらの事例は、無実の人がたまたま犯人と間違えられ、「物証」なるものを根拠に自白をせまられたものです。まさしく、練習用のヌンチャクをもっているだけで、ガソリンを入れただけで、街を歩いているだけで、犯罪者に仕立て上げられようとしました。これだけでも大変な人権侵害です。
しかし、共謀罪の場合は、警察が一方的に「犯罪団体」と決めたつけてターゲットをねらい打ちするわけですから、どんな行為や物でも「準備行為の証拠だ」と言われたらひとたまりもありません。
いかなる組織や団体やグループともかかわらず、会費納入も募金も署名もしたこともないという人はいないでしょう。
スマホを持って花見に行くだけで犯罪者になるというのが、共謀罪の危険を何よりも表しています。
(ハンマー)