2週間近く前になるが、朝日新聞に、「尖閣列島戦時遭難者遺族会」会長である慶田城用武(けだしろ・ようたけ)さんの談話が掲載された。
8月に、右翼的な国会議員などが「慰霊祭」と称する行事を尖閣諸島周辺で行い、そのうち10名が魚釣島に上陸するという“事件”があった。慶田城さんは、「尖閣諸島は日本の領土」という立場を取りながらも、「慰霊祭」をこのような目的にに利用されたことに、憤っている。
8月に、右翼的な国会議員などが「慰霊祭」と称する行事を尖閣諸島周辺で行い、そのうち10名が魚釣島に上陸するという“事件”があった。慶田城さんは、「尖閣諸島は日本の領土」という立場を取りながらも、「慰霊祭」をこのような目的にに利用されたことに、憤っている。
こちらに掲載されているので、ぜひお読みいただきたい。その中から、印象的な言葉をいくつか引用させていただく。
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「8月18日に石垣島の慰霊碑前で慰霊祭を開いておられますが、遺族会に案内はなかった。沖縄本島から神職3人を伴ってきて神道形式で行い、最後は「君が代」を斉唱した、と。報道で知り、驚きました。
私たちの慰霊はずっと仏式です。しかもなぜ「君が代」なんでしょうね。翌朝には約150人が21隻の船に乗って洋上慰霊祭を行い、その後、10人が泳いで魚釣島に上陸したと。それではっきりしたんですね。ああ、彼らの政治的なアピールに慰霊は利用されたんだなと」。
私たちの慰霊はずっと仏式です。しかもなぜ「君が代」なんでしょうね。翌朝には約150人が21隻の船に乗って洋上慰霊祭を行い、その後、10人が泳いで魚釣島に上陸したと。それではっきりしたんですね。ああ、彼らの政治的なアピールに慰霊は利用されたんだなと」。
「中国・台湾が領土を主張し、偏狭なナショナリズムの思想をもつ活動家たちが、過激な行動で挑発しあっている不穏なこの時期に、慰霊祭をするというのは紛争の火種になりかねないと懸念さえしております。ひとたび紛争がおきれば、八重山諸島の住民生活はたちどころに崩壊していくでしょう」。
「魚釣島への上陸に反対だというと、「国や領土を守ることになぜ反対するのか、おかしいんじゃないか」と、一部の人から非国民のように見られることもあります。そう言われますとね、答えようがないんですよ。国を守るか守らないか、さあどっちだという二者択一ではそもそもないはずなのに、領土が絡むと必ずそうなってしまう」。
「石垣は国境の島だからこそ、守るのではなく、開いていった方がいい。交流が進めば信頼関係が生まれ、それが結果的に守ることになるはずです」。
「石原慎太郎都知事の尖閣諸島購入を支持する人たちは、日本の主権を守るためだと言っていました。だけど米軍に治外法権的な特権を与えている日米地位協定によって、米軍人や軍属による事件や事故の被害者は泣き寝入りさせられてきました。主権が侵されている、改定してほしいと私たちはずっとお願いしてきましたが、主権を声高に言う人たちは本気で動いてくれたでしょうか。地元の反対を押して強行されるオスプレイの配備に反対の声をあげてくれたでしょうか。万が一、中国と事を構えることになった時、国境を接する私たちの生活がどうなるのかを本当に考えてくれたことがあるのか」。
「石垣は国境の島だからこそ、守るのではなく、開いていった方がいい。交流が進めば信頼関係が生まれ、それが結果的に守ることになるはずです」。
「石原慎太郎都知事の尖閣諸島購入を支持する人たちは、日本の主権を守るためだと言っていました。だけど米軍に治外法権的な特権を与えている日米地位協定によって、米軍人や軍属による事件や事故の被害者は泣き寝入りさせられてきました。主権が侵されている、改定してほしいと私たちはずっとお願いしてきましたが、主権を声高に言う人たちは本気で動いてくれたでしょうか。地元の反対を押して強行されるオスプレイの配備に反対の声をあげてくれたでしょうか。万が一、中国と事を構えることになった時、国境を接する私たちの生活がどうなるのかを本当に考えてくれたことがあるのか」。
「遠くにいる人ほど、大きな声で勇ましいことを言える。その結果生じた「ツケ」はまた、私たちに回ってくるのでしょう」。
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「尖閣上陸」という行為に拍手した人も少なくないだろう。しかし、そういう人は、そもそも尖閣近海で戦時中に何があったのか知っているのだろうか?
「漁業のため」とか「慰霊のため」とか様々な口実を使っているが、要は中国敵視と領土ナショナリズムをあおりたいだけだということが、よく分かるお話だ。
by ウナイ