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「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」

性懲りもなく「発達障害」への偏見をまき散らす人々――「親学推進議員連盟」(上)

2012-06-13 | 日々のニュース

 大阪維新の会が市議会に提出しようとした「家庭教育支援条例」が、わずか一週間で「発達障害」への偏見を煽ると抗議を受け、白紙撤回に追い込まれたのは5月7日の出来事でした。しかし5月末には、今度は、安倍晋三元首相(自民)を会長とする超党派の国会議員で結成された「親学推進議員連盟」が、「発達障害を予防する伝統的子育て」をテーマに勉強会を開いたということが、毎日新聞の報道で明らかになりました。

l親学議連:「発達障害、予防は可能」…抗議殺到し陳謝- (毎日新聞2012年6月12日)

 報道によれば、勉強会は5月25日、衆院第2議員会館で開かれ、民間団体「さいたま市教育相談センター」の金子保所長と高橋史朗・明星大教授が資料をもとに講演し、その配付資料には、発達障害児の育児環境を「(子どもへの)声かけが少ない」とした表や「発達障害児は笑わない」「予防は可能」などの記述もあったということです。大阪維新の会の「家庭教育支援条例」と同様、発達障害は子育ての問題だと受け取られかねない内容に関係者の抗議が殺到し、議連側は最終的に陳謝したということです。

 ここで「親学」というのが登場しますが、これは一体何なのか?「家庭教育支援条例」との関係は? 講演者の高橋史郎氏とは何者なのか? ということを述べていきたいと思います。

 まずは、「家庭教育支援条例」が「白紙撤回」に追い込まれた過程についておさらいをしていきたいと思います。

 2012年5月1日、大阪維新の会の市議団が5月議会に「家庭教育支援条例」の提出を予定しているという報道がなされました。翌2日、その条例案の全容がネット上で公開されると、それが「発達障害」に関するきわめて非科学的で偏見を煽るデマゴギーに満ちたものであることが明らかになり、ツイッター、ブログ等でたちまち批判が沸騰しました。橋下市長は、自分が代表を務める会が出してきたものでありながら、「市議団の方針について(市長である)僕には決定権はありません」などと無責任を決め込みました。
 しかし、批判の広がりを押さえることはできず、ついに5月7日、維新の会は「白紙撤回」を表明しました。「発達障害」の子どもを持つ保護者などの13団体の代表らが抗議に来たのに対して、市議団の幹事長が陳謝しましたが、条文については「ある県で議論された案を参考として議員に配っただけで、我々の案ではない」などと言い訳がましいことを述べて恥の上塗りをしました。

 「家庭教育支援条例」案に、これほど多くの批判が集中したのはどうしてでしょうか。

 この条例案は、まずもって「発達障害」についての誤った認識に基づいて差別・偏見を振りまき、「発達障害」の当事者とその家族をいっそう追い込む、いわば「発達障害排除条例」ともいうべきものだからです。
 条文の前文では、「軽度発達障害と似た症状の『気になる子』が増加」、「『新型学級崩壊』が全国に広がっている」、「ひきこもりや不登校、虐待、非行等と発達障害との関係も指摘されている」などと述べられ、「発達障害」があたかも子どもをめぐる問題の元凶であるかのように扱われています。
 特に多くの批判が集中したのは次の文言です。

「乳幼児期の愛着形成の不足が軽度発達障害またはそれに似た症状を誘発する大きな要因であると指摘され、また、それが虐待、非行、不登校、引きこもり等に深く関与していることに鑑み、その予防・防止をはかる」(第15条)
「わが国の伝統的子育てによって発達障害は予防、防止できるものであり、こうした子育ての知恵を学習する機会を親およびこれから親になる人に提供する」(第18条)

 これに対して「発達障害」の当事者や関係者からは即座に「発達障害は予防できるものではないのに、これはいったい何だ?」という声が湧き起こりました。(鈴)

(つづく)


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