地上を旅する教会

私たちのすることは大海のたった一滴の水にすぎないかもしれません。
でもその一滴の水があつまって大海となるのです。

【み心にかなう人々】「祈りよ力に」(38) 「中国」 47NEWS(よんななニュース)

2015-01-12 00:27:34 | 今日の御言葉

「いと高きところでは、
神に栄光があるように、

地の上では、み心にかなう人々に
平和があるように」。


「ルカによる福音書」 2章14節
( 新約聖書 口語訳 )




愛は身近な人―家族―を
気づかうところに始まります。

私たちの夫、妻、子供たち、
または親たちが、

一緒に住んでいながら、
十分に愛されていないと感じ、
孤独な生活をしているのではないかと
反省してみましょう。


そのことに
気づいているのでしょうか?。

年老いた人々は今日、
どこにいるのでしょう?

介護施設
(あればの話ですが)の中です。

なぜ?

それは彼らが邪魔だから、
厄介者だから、そして……。


マザーテレサ
(『愛と祈りのことば』より)




◆「祈りよ力に」(38) 「中国」

★47NEWS(よんななニュース)2015年1月9日

http://www.47news.jp/47topics/inori/2015/01/post_20150105161942.html



絶望の末に地下教会へ 偽物でない神を求めて 陳情活動で不条理味わう



▲中国・上海市の中心部にある政府公認の教会「徐家匯天主教堂」を見つめる丁英源。ウエディングドレス姿の女性が幸せそうに記念撮影していた(撮影・矢辺拓郎、共同)

ホテルの結婚式場には青いビニール製の家庭用プールがあった。どこか不釣り合いな光景の中、白い長衣に身を包んだ61歳の丁英源(ちょう・えいげん)(仮名)ら7人は牧師が読む聖書の一節にじっと耳を傾けた。

中国浙江省(せっこうしょう)で7月に行われた洗礼式。当局に踏み込まれることはないか―。教会の世話役も一抹の不安を感じるなかで式は始まった。

賛美歌の合唱の中、丁は牧師に支えられ、背中から全身プールの水に漬かった。「生まれ変わった感覚だった」と丁。非公認キリスト教「地下教会」の信者7人が新たに誕生した瞬間だった。

西洋のキリスト教会が醸し出す荘厳な雰囲気とはほど遠い中での質素な儀式は、地下教会の置かれた危うい立場を象徴する。この教会が活動拠点を置く上海では、積極的な布教活動をしない限り普段の活動は黙認されているが、信者拡大を意味する洗礼式は取り締まりの対象になり得る。洗礼式に列席した信者約100人は仲間うちの団体旅行を装って来た。

▽陳情

農村出身の丁は長年、工事現場で働き、既に退職した身だ。中国の経済発展を底辺で支えたとの自負がある。だが「社会は腐敗し、自分のような金も力もない庶民は常に虐げられる」と鬱屈(うっくつ)した思いを抱き続けてきた。

そんな丁は「訪民」と呼ばれる陳情者の顔を併せ持つ。初めて陳情活動をしたのは2009年。1980年代に上海市から優秀な労働者と表彰された際に割り当てられるはずだった住居を受け取れなかったこと。やむを得ず自己資金で家を建てようとしたが「賄賂を渡さなかったために」建設許可が10年間放置され続けたこと。これを不当と上海市当局に訴えた。

行政は過去の過ちを認めてほしい。上海中心部の人民広場で丁は陳情活動を繰り返したが、当局は取り合わなかった。

昨年春。思いを共にする陳情仲間が不当逮捕されたとき、丁は釈放を求めて大声で叫んだ。

すると、警察官が丁をパトカーに押し込み、殴りつけた。さらに後部座席の床にはいつくばった丁の脇腹を容赦なく踏みつけて叫んだ。「二度と陳情に来るんじゃないぞ」

肋骨(ろっこつ)が折れた痛みと恐怖で声も出なかった。別の陳情仲間を助けようとした際、右目が腫れてふさがるほど警官に殴打されたこともある。



▲光が差し込む自宅で目を閉じ、静かに祈る丁英源。赤い十字架が描かれたカレンダーが壁に掛かっていた=中国・上海市(撮影・矢辺拓郎、共同)

▽刻まれた言葉

「なぜ政府に陳情するだけでこんな扱いを受けなければならないんだ」「なぜ不条理なことばかり自分に起きるのか」。嘆きの中で、ふと頭に浮かんだのは約30年前に好奇心から古本屋で手にした聖書から得た教えだった。「神の下では皆が平等である」

当時は改革派の共産党総書記・胡耀邦(こ・ようほう)(故人)の下で思想解放運動が進み、禁書扱いだった聖書も出回り始めていた。読んでも意味が分からず、すぐに興味を失ったが、その言葉だけは心に刻まれていた。

救いを求め、丁は政府公認の教会に通い始める。しかし陳情活動のことが知られると、陳情をやめるか、教会に来るのをやめるかを迫られた。別の公認教会でも同じだった。「権利を主張することはキリスト教の精神に反しない」と考える丁は一つの結論に達する。「公認教会は政府に管理された偽のキリスト教だ」

宗教にも自分の居場所はないのか。絶望しかけた時に、陳情仲間から紹介されたのが地下教会だった。「偽物ではない本物の神に近づきたい」。その一心で上海市の地下教会に片道2時間のバスを乗り継いで通うようになる。

日曜日の午前8時、上海市内の古いオフィスビルに信者が次々と吸い込まれていく。ビルの外はもちろん共用部分にも教会を示すものはない。十字架すらない一室で、牧師は「私たちが信じるのは唯一の神のみ。間違った神を信じれば全てが無と帰す」と約150人の信者に語りかける。

地下教会では丁の陳情行動は問題視されなかった。初めて教会に受け入れられた丁は洗礼を受けることを決心する。

▽家族の反対

だが、思わぬ障害に出くわす。35歳の娘の反対だ。妻を亡くした丁にとって娘は数少ない肉親だったが「公認教会はいいが、地下教会は駄目」と娘は譲らなかった。

「陳情で警察に尾行されるなど家族は嫌な思いを何度も経験してきた。政治的に敏感なことにかかわってほしくない」

そう語る娘の気持ちは親として痛いほど分かった。丁は娘や孫に迷惑をかけないよう今後、丁の方から娘には連絡を取らないと決めた。

冷ややかな視線は親戚や近所の人も同じだった。中国の道教は信じないと伝えると「先祖を裏切ることだ」と非難された。周囲から人が次第に離れていった。しかし、丁の信仰は揺らがなかった。

腐敗、表現の自由の制限、広がる格差など中国社会の問題の根幹には「政治的指導者こそ神という中国人の意識がある」と丁は解き明かす。「本物の神を信じるようになり、当局への恐怖心が消えた」。真の自由と平等―。いつか中国でも、それが尊重される時が来ると丁は信じている。(敬称略、共同通信上海支局 一井源太郎)=2014年09月17日



メモ



憲法上だけの信教の自由

中国は憲法で信教の自由を認めているが、実際には厳しい規制があり、全てのキリスト教会は政府管理下の愛国的宗教団体に所属することが義務となっている。それらの団体に属さない教会は地下教会などと呼ばれ、弾圧を受けることもある。

中国でのキリスト教は大半がプロテスタント系。6千万人以上との見方もある地下教会信者を含めると、キリスト教の信者数は全体で9千万人以上ともいわれる。上海や浙江省など沿岸部に信者が比較的多い。文化大革命の1960年代には徹底的に弾圧された。中国当局は今でも、地下教会の信者らが民主化運動など反共産党的な動きと連動することを警戒している。

(「祈りよ力に」(38) 「中国」
47NEWS(よんななニュース)2015年1月9日)



▲2014.4.28 中国浙江省温州市 (資料)

政府の弾圧で
破壊された三江教会堂

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