某寄席(演芸)
いろいろ寄席の形はあれど、定席以外にも、地域や企業、個人が主催して行われるものがある。
毎年恒例の●●●●寄席もその一つ。
落語、講談、漫才、漫談、マジック、音曲など、通常の寄席をコンパクトに楽しませてくれる。
これが年に一度の楽しみの一つ、といえるのも、おおっという演者の本物の芸が身近に聞ける見られるからだ。
ここのところはコロナ禍で、少人数、人数制限アリで、当時トリを取った小游三師匠に「私だったら来ませんねえ」と言われる状況でした。
でも、今回は少し改善して100名までとなったようです。
さて、今年のトリは講談の神田松鯉師匠。最近では伯山の師匠として知られるが、傘寿を迎え、その記念で9月には歌舞伎座で伯山と講談を披露するなど、まだまだ現役。
この寄席もトリが落語ではなく講談というのも、やはり講談ブームなんでしょうかね。
トリの話をする前に、まずは最初から。
前座は神田鯉花さん。最近は他の寄席でも前座が女性落語家というのが珍しくなくなりましたね。
この方は、講談師。演目は「狼退治」で、犬の鳴き声と狼の鳴き声を使い分けて拍手をもらっていました。
女性講談師にしても落語家にしても、たまーにキンキン声の人がいて聞きづらい。自分が発している声と聴かれている声にギャップがあることもあるので、録音してみるといいですな。
お次は、二つ目の春風亭かけ橋さん。
コロナ禍真っ盛りでガラガラだった2年前もこの高座に上がったそうですが、ちょっと演目を覚えていません。
まずは枕が出身地の横浜ネタで、かけ橋の名前の由来を説明。
続けて横浜国立大学出身…ではないんですと笑いを取りに。「ほお、さい(せい)ですか」、と答えたいところ。
そして演目「黄金の大黒」へ。
まだ、ストーリーを語っているという感じでした。
そして仲入り前は落語の大御所・三笑亭夢太郎師匠。
まず、枕で三遊亭圓楽(楽太郎)師匠との思い出を、艶笑騒動をネタにおもしろおかしく話してくれました。
当方も昨年、圓楽(楽太郎)師匠が最初の闘病復帰直後、職場のイベントで講演されるのを聞きましたが、ずっと立って動きながら講演されたので、復活されるとばかり思っていました。それが、再度倒れられて車いすに座られて。でも国立演芸場で話されたので、まさかすぐお亡くなりになるとはと衝撃を受けたことが思い出されました。
本編は「死神」。落語としてだけでなく、よくショートショート的な小説のオチでもよく聞いたようなことがある話ですが、話し方がやはり違うのですね。声色や呼吸というか。一人で話すのですが、対話や複数人での会話しているのが違和感なく聞こえてきて、強弱や声色で、その人物や異形のものがリアルに頭に浮かんでくるというか。
布団の四隅を持って180度方向を変えるなんていう情景を、下手な人だと単なる解説・説明になってしまいます。
やっぱり聞き手の頭に情景が素直に浮かぶというのが、また、さらに笑わせるというのが、名人ならではと思います。
大爆笑の後、少々ここで休み時間。
ちなみに、お囃子も生演奏で、森本規子社中が奏でます。
中入り後は漫才。この枠が毎年、ふり幅がある。例えば、ねずっちの年は熱演で大爆笑、ザ・ニュースペーパーのうち2人が出た年は、時事ネタ以外の体を使った芸が意外なことに面白く、大爆笑で涙が出るほどだった。半面、ナイツは前半ファミリー向きでないネタで、後半に野球ネタになってホッとしたという記憶がある。
知名度があっても、場にそぐわないとなかなか厳しいのである。
今回は宮田陽・昇が登場。
陽が金髪で赤と青の縞柄の派手ないでたちで奇抜なことを言い、昇が受けるという形。
でも、陽さんはプロフィールを見ると結構年配と分かり、苦節ウン年、受賞歴も並び、花開いたというところか。
内容は、地名ネタや出身地ネタでボケて笑わせる。大汗をかいての熱演。
さて、最後のトリはいよいよ神田松鯉師匠だ。
枕で述べたが、80を越えというからすごい。その中で、役者などいろいろな仕事を経て、講談師になられたそう。でも天職ですね。
さて、歌舞伎がお好きということで、歌舞伎にちなんだお話をと始まった。
やっぱり声の張り、深さが違う。
おまけに、中村歌右衛門、中村勘三郎など、もちろん今の時代ではないけれどお馴染みの役者の名が出てきて、こちらも歌舞伎好きなので大変楽しめた。江戸っ子ならではの、義理人情の話で、歌舞伎見物の江戸っ子たちも巻き込んで、為政者の横暴に対しギャフンと言わせる話のつくりも粋で聞き入ってしまった。
最後に師匠が「男の花道」と、きちんと題を言ってくれたので忘れることはないでしょう。
ホント、どんないい人が出ていても、なかなかこのレベルの話芸は聞くことができません。至高の芸だったと思います。
帰り道中、感動に包まれて帰りました。
ありがとう!
いろいろ寄席の形はあれど、定席以外にも、地域や企業、個人が主催して行われるものがある。
毎年恒例の●●●●寄席もその一つ。
落語、講談、漫才、漫談、マジック、音曲など、通常の寄席をコンパクトに楽しませてくれる。
これが年に一度の楽しみの一つ、といえるのも、おおっという演者の本物の芸が身近に聞ける見られるからだ。
ここのところはコロナ禍で、少人数、人数制限アリで、当時トリを取った小游三師匠に「私だったら来ませんねえ」と言われる状況でした。
でも、今回は少し改善して100名までとなったようです。
さて、今年のトリは講談の神田松鯉師匠。最近では伯山の師匠として知られるが、傘寿を迎え、その記念で9月には歌舞伎座で伯山と講談を披露するなど、まだまだ現役。
この寄席もトリが落語ではなく講談というのも、やはり講談ブームなんでしょうかね。
トリの話をする前に、まずは最初から。
前座は神田鯉花さん。最近は他の寄席でも前座が女性落語家というのが珍しくなくなりましたね。
この方は、講談師。演目は「狼退治」で、犬の鳴き声と狼の鳴き声を使い分けて拍手をもらっていました。
女性講談師にしても落語家にしても、たまーにキンキン声の人がいて聞きづらい。自分が発している声と聴かれている声にギャップがあることもあるので、録音してみるといいですな。
お次は、二つ目の春風亭かけ橋さん。
コロナ禍真っ盛りでガラガラだった2年前もこの高座に上がったそうですが、ちょっと演目を覚えていません。
まずは枕が出身地の横浜ネタで、かけ橋の名前の由来を説明。
続けて横浜国立大学出身…ではないんですと笑いを取りに。「ほお、さい(せい)ですか」、と答えたいところ。
そして演目「黄金の大黒」へ。
まだ、ストーリーを語っているという感じでした。
そして仲入り前は落語の大御所・三笑亭夢太郎師匠。
まず、枕で三遊亭圓楽(楽太郎)師匠との思い出を、艶笑騒動をネタにおもしろおかしく話してくれました。
当方も昨年、圓楽(楽太郎)師匠が最初の闘病復帰直後、職場のイベントで講演されるのを聞きましたが、ずっと立って動きながら講演されたので、復活されるとばかり思っていました。それが、再度倒れられて車いすに座られて。でも国立演芸場で話されたので、まさかすぐお亡くなりになるとはと衝撃を受けたことが思い出されました。
本編は「死神」。落語としてだけでなく、よくショートショート的な小説のオチでもよく聞いたようなことがある話ですが、話し方がやはり違うのですね。声色や呼吸というか。一人で話すのですが、対話や複数人での会話しているのが違和感なく聞こえてきて、強弱や声色で、その人物や異形のものがリアルに頭に浮かんでくるというか。
布団の四隅を持って180度方向を変えるなんていう情景を、下手な人だと単なる解説・説明になってしまいます。
やっぱり聞き手の頭に情景が素直に浮かぶというのが、また、さらに笑わせるというのが、名人ならではと思います。
大爆笑の後、少々ここで休み時間。
ちなみに、お囃子も生演奏で、森本規子社中が奏でます。
中入り後は漫才。この枠が毎年、ふり幅がある。例えば、ねずっちの年は熱演で大爆笑、ザ・ニュースペーパーのうち2人が出た年は、時事ネタ以外の体を使った芸が意外なことに面白く、大爆笑で涙が出るほどだった。半面、ナイツは前半ファミリー向きでないネタで、後半に野球ネタになってホッとしたという記憶がある。
知名度があっても、場にそぐわないとなかなか厳しいのである。
今回は宮田陽・昇が登場。
陽が金髪で赤と青の縞柄の派手ないでたちで奇抜なことを言い、昇が受けるという形。
でも、陽さんはプロフィールを見ると結構年配と分かり、苦節ウン年、受賞歴も並び、花開いたというところか。
内容は、地名ネタや出身地ネタでボケて笑わせる。大汗をかいての熱演。
さて、最後のトリはいよいよ神田松鯉師匠だ。
枕で述べたが、80を越えというからすごい。その中で、役者などいろいろな仕事を経て、講談師になられたそう。でも天職ですね。
さて、歌舞伎がお好きということで、歌舞伎にちなんだお話をと始まった。
やっぱり声の張り、深さが違う。
おまけに、中村歌右衛門、中村勘三郎など、もちろん今の時代ではないけれどお馴染みの役者の名が出てきて、こちらも歌舞伎好きなので大変楽しめた。江戸っ子ならではの、義理人情の話で、歌舞伎見物の江戸っ子たちも巻き込んで、為政者の横暴に対しギャフンと言わせる話のつくりも粋で聞き入ってしまった。
最後に師匠が「男の花道」と、きちんと題を言ってくれたので忘れることはないでしょう。
ホント、どんないい人が出ていても、なかなかこのレベルの話芸は聞くことができません。至高の芸だったと思います。
帰り道中、感動に包まれて帰りました。
ありがとう!