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インランドエンパイア (映画)

2008年04月21日 | 映画
映画「インランド・エンパイア

デヴィッド・リンチの「インランド・エンパイア」を遅ればせながらDVDで観ました。映画館で観てもいいんだけど、色々チェックしながらじっくり観たかったので今回はパスしておりました。

前作「マルホランド・ドライブ」が、なぜか熱い涙が頬を伝ったりしたので、今作はどうかなーっと。今回もある意味テーマ的には似ていますね。大体、愛情と憎悪の連鎖というか、その中で善か悪かを緋色のカーテンの向こうで選ぶことでラストが救われるか救われないかっていういつも一貫したリンチ監督のテーマのように個人的には思います。
今回は主人公が役者というところがキーポイント。劇中の不倫の女性、劇の脚本の元になったポーランドの女性など、他人を演じることによって演じられた人を救済できるか、そしてその演じ方によって自分の運命が良い方か悪い方かどちらに導かれるかというストーリーと私はとりました。

導入部から、近所に住むといういわくありげな老婦人がやってきて、話し出します。そのときのカメラの撮り方が技巧を感じます。ほんと嫌悪感漂うおばあさんになっていきますよ。ローラ・ダーン演じる良いとこの若奥様も唖然。

そこから話なのか、劇なのか、はたまた異次元なのかわからなくなるところが難解と呼ばれるD・リンチ作品の由縁ですが。
あっちから見るとこっち、こっちから見ると向こうの世界という風に、メビウスの輪状態のお話が進んでいきます。

今回は「ツイン・ピークス」や前作などの常連さんの小人さんは出ず、ウサギの着ぐるみ君が出てきます。どうやらコメディを演じているらしく、何度も観客の笑い声が入るんだけど、やっていることは普通の芝居です。
それと、娼婦たちが急に踊りだすのもへんてこりん。ハリウッドのスターを夢見ていたけど堕ちてしまった女性の魂たちなんでしょうか?
そして、「マルホランド・ドライブ」でもいきなり飛び出てきた悪の顔。主役のローラ・ダーンの顔を歪めただけなんだけど、コワッ。

しかし、最後の選択で…。結局、この話は主人公がカウチに座っていたほんの少しの時間の間のことなのでしょう。そして、彼女自身の運命の分岐点だったのかもしれません。

<Story>
ニッキー(ローラ・ダーン)とデヴォン(ジャスティン・セロー)は、キングスリー・スチュワート監督(ジェレミー・アイアンズ)が手がけるいわくつきの映画に出演することになる。役にのめりこむに従い、ニッキーは次第に、役柄と私生活を混同していく。<彼女>はいったい何者なのか? 
物語はロサンゼルス、ポーランド、そしてインランド・エンパイアへと行き来し、世界は混沌に飲み込まれていく・・・。

「インランド・エンパイア」Inland Empire
監督・脚本・プロデューサー: デイヴィッド・リンチ
出演:ローラ・ダーン、ジェレミー・アイアンズ、ジャスティン・セロー、ハリー・ディーン・スタントン
製作年:2006年/製作国:アメリカ
2006年ベネチア映画祭 栄誉金獅子賞 受賞
2007年全米映画批評家協会賞 実験的作品賞 受賞

 



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