空飛ぶ自由人・2

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映画『はたらく細胞』

2024年12月25日 23時00分00秒 | 映画関係

[映画紹介]

人間の体内には37兆個もの細胞が存在するという。
37兆。
すごい。
卵子と精子が結合して、
細胞分裂して、そんなに増えたとは。
一細胞1円に換算しても、37兆円。
すごい価値だ。
(その換算には、あまり意味がないが。) 
皮膚や組織を作る細胞以外に、
赤血球や白血球や血小板や神経細胞など
無数の細胞たちが、
人間の健康を守るため日夜はたらいている。

その細胞たちを擬人化したのが、この話。
もちろん、原作はコミックで、
「月刊少年シリウス」(講談社)に、
2015年から2021年まで連載された、
清水茜の漫画「はたらく細胞」と


スピンオフ漫画「はたらく細胞 BLACK」が原作。
アニメにもなった。
それを「翔んで埼玉」「テルマエ・ロマエ」の武内英樹監督が実写で映画化

高校生の漆崎日胡は、父の茂と2人暮らし。
健康的な日胡と不摂生な茂。

その現実生活の父娘の生活と
その体内で働く細胞たちを交互に描く。

特に、体中に酸素を運ぶ役割の赤血球の一人と、
侵入した細菌と闘う白血球の一人を中心に描かれる。

永野芽郁が赤血球役、
佐藤健が白血球役、


その他、T細胞やNK細胞や化膿レンサ球菌や肺炎球菌など
いろいろ登場するが、
メイクがきつくて、誰が誰やら分からない。


人間の漆崎(うるしざき)茂を阿部サダヲ
その娘・日胡(にこ)を芦田愛菜が演じ、


体内パートと現実パートが交互に描写される。

日胡が白血病になり、
それを治療するため、
体内と体外で奮闘する。
日胡は助かるが、
体内には、細胞たちの死体が死屍累々の様となる。

ピクサーの「インサイド・ヘッド」を想起するが、
脳内ホルモンの話よりも体内全体だからスケールアップ。
その表現はCGだが、
何やらテーマパークのよう。


アニメではなく、実写でやったことに
志を感ずる。
その設定に最初に乗れない観客は取り残されるだろう。
ある場面で、「ワルキューレの騎行」がかかるが、
こんな場面で自分の音楽が使われようとは、
ワーグナー先生も知らなかっただろう。

観終わると、
健康に気をつけなきゃな
という気持ちになるのは教育効果だ。
日頃、気にもしていない体内細胞、
見ることも話すことも交流することもない幾多の細胞たちが
頼まれもしないのに、
一生懸命健康維持のために働いてくれているのだ。
感謝の念を持つしかあるまい。
そして、自分という存在は
沢山の(37兆の)細胞の集合体なのだと改めて思わされる。
そう考えると、
人間の死とは、
その37兆の細胞たちが
まとめて死に至るということ。
荘厳な、生命の死。
脳に蓄積された記憶も知識も、
全て消え失せてしまう。
豊富な経験も失われ、
宇宙の中から消滅してしまう。
うわ、哲学的にもなる。

5段階評価の「3.5」

拡大上映中。

 


電動アシスト自転車

2024年12月24日 23時00分00秒 | 身辺雑記

電動アシスト自転車を買いました。

以前、レンタサイクルで
柴又に行ったり、
沼津から戸田へ、
また、しまなみ海道を走破したりで、
その性能は知っていましたが、
市内のホームセンターに安価なもの↓が出ていたので、

購入しました。

左のハンドル近くに切り換えるところがあり、
バッテリーの残量表示と
エコ・平坦・坂道の3つのモードの切り換えスイッチがあります。


エコモードで40㎞の走行が可能だと書いてあります。

こいでみると、スイッと前に出ます。
初動の力が強すぎて車道に出てしまう、
という危険が言われていましたが、
そこは改善されたようで、
あまり強くは出て行きません。
後ろから押されるよりは、
前に引っ張られる感じで
スイスイと快適。
とにかく楽。

時速10㎞までは、
ペダル対モーターの比は1対2。
時速10㎞を過ぎると
補助力は徐々に減少し、
時速24㎞を越えると、
補助力はゼロになります。

毎日の買い物に使い、
10日ほど乗ると、
バッテリーの表示が一つになり、点滅。


バッテリーは取り外せて、


↓の充電器につなげて充電。

赤いランプ点灯は、充電中。

消えると、充電終了。

インジケーターに表示されます。

このタイプでは充電に3時間30分かかります。

あと、盗難保険が自動的についており、
1年以内に盗難にあった場合は、
半額で同製品を提供してくれるそうです。

NHKの「新・プロジェクトX」
取り上げられた時の録画があったので、
観てみました。


これが感動モノ。

開発したのはヤマハ
当時の事業開発主任の菅野信之という人が着想。
ただ、既に類似の商品があった。
それは電動自転車


こがずにモーターの動力だけで運転でき、
「原動機付き自転車」に分類されるため、
免許が必要で、今一つ売れなかった。
なにしろ、バイクがありますからね。

菅野は自動車の電動パワーステアリングに着目。
人が回すと、
モーターの力で合力して、
車輪を動かす。
そこで、パワーステアリングに使うモーターを取り寄せて
自転車に装着。
1年ほどして試作機が完成。
乗ってみると、快適で感動する。
「感動を届けてこそ」という
物作りする者の心に響く出來だった。
試しに乗った事業開発室長の藤田武男は、
「これはすごいことになりそうだ」
と直感。

道筋が見えたのを見定めて菅野は
「新しいことをやりたい」と、身を引き、
仕事は新しい事業開発主任の小山裕之にバトンタッチされた。
(菅野は後に電動アシスト車椅子を開発)

しかし、周囲は
「原付だ」「売れない」と否定的。
指摘のように、原付とは違うかどうかという、
乗り越えるべき大問題があった。

「道路交通法」には、
自転車は「人の力により運転する」と定義されている。
モーターが付けば、
それは原則「原動機付き自転車」に分類されてしまう。


その問題の大きな山場を迎えた。
1961年6月28日、
運輸省・警察庁合同試乗会を開催。


ネクタイ姿のお役人たちが試乗。

坂道に来た時、笑みがこぼれた。
「これは楽だ」と。

ほどなく、「自転車の範疇ではある」との見解が出され、
難題をクリアした。


免許なしに乗れるのだ。

しかし、もう一つ難題があった。
製造コストが高すぎる
それでは、買い物帰りに坂道を難儀して上る
主婦層には買えない。


そこで、藤田が事業開発部長の長谷川武彦に申し出た。
「特許は独占しません」


様々な企業が参入し、価格が下がれば、
必要とされる人に、きっと届く。
しかし、それは、会社としての利益を優先しないことだ。
すると、開発部長は「分かった」と。
「俺も行くぞ」。
そして、二人はブリジストンを訪ねる。


自転車の圧倒的な製造ラインとノウハウを持っている会社だ。
その相手を前に長谷川は
「世のため人のため、どうか力を貸して下さい」
と頭を下げた。


(この長谷川という方、
 後にヤマハの社長になる人物。
 やはり器が大きい。)

この特許の公開には前例がある。
オランダのフィリップス社は、
自社が開発したオーディオカセット
互換性厳守を条件に基本特許を無償公開したため、
多くのメーカーの参入を得て事実上の標準規格となり、
世界的に普及した。


辛子明太子を開発したふくやの社長・川原俊夫は、
製造法を独占せずに他企業へ教えたことから
辛子明太子は様々なメーカーが参入し、
福岡の一大産業になった。


(ついでに言うと川原俊夫は、
 節税の方法を伝授する会計士に対して、
 そんなことをするな、と、こう言ったという。
 「橋は誰が作るんですか。
  道路は誰が作るんですか。
  税金でしょう。
  会社が利益を上げて税金を納めて、
  それが橋になり、道路になる。
  これほど名誉なことはない」)

1993年、新車発表会


予想に反して、1000台の予定が3000台売れた。


翌年には3万台。
開発者たちを何より喜ばせたのは、
購入者からの手紙だった。
「拝啓 社長様
 おじいさんのお墓は
 坂が続く丘の上にあり、
 登ることができませんでした。
 この自転車を買ってから、 
 毎日おじいさんに会えるようになりました」

今では年間80万台が作られ、
普通の自転車より多いという。
町でも、主婦層やママたちが
使っているのをよく見かける。
日本発の発明品は世界に広がっている。

世のため、人のためになるもの、
それまでに無かった製品を作る。
それこそものづくりの人の冥利だろう。

安価になり、
21年たって、ついに我が家にも届いた。
来年の菖蒲の季節には、
水元公園に遠征しようと思っています。

 


短編集『今日も町の隅で』

2024年12月22日 23時00分00秒 | 書籍関係

[書籍紹介]

作者の小野寺史宜(ふみのり)の小説によく登場する
ミツバ市に住む10人の人々の物語。
「小説すばる」に掲載された短編8篇に
書下ろしを2篇加えたもの。

「梅雨明けヤジオ」

小学校4年の少女が
クラスで無視されて引きこもっていた夏休み、
その原因を作ったクラスメートの男子と共に、
高校野球地区予選の試合に出かけ、
ヤジをする青年に出会う。

「逆にタワー」

中三男子の少年は、学友と作ったバンドで
サイドギター、ベースと「格下げ」され、
くさっていたが、
隣の席の女子と初デートで東京タワーに出かける。
しかし、女子はタワーに上りたくないといい、
二人で道路を歩くことになり・・・

「冬の女子部長」

三者面談の場で、奔放な母にへきえきした男子が、
夜、酔った母を迎えに行った場で、
実は弟がいる、と伝えられ・・・

「チャリクラッシュ・アフタヌーン」

一度はデビューしたものの鳴かず飛ばずで解散した
バンドのミュージシャンは、
恋人ともめて、別れて腐っている時、
小学生の乗った自転車に衝突され、捻挫。
小学生の家に行くと、出て来た母から
意外なことを言われる。

「君を待つ」

電車の事故で卒論提出が遅れて受理されず、
一年を棒に振った男が、
就職した地ビール販売会社で出会った
女子社員に好意を持つ。
初めての食事で
女子社員との間の不思議な因縁に気づかされ・・・

「リトル・トリマー・ガール」

小説家志望で、応募した文学賞に落ち続け、
節約生活をしている男が
近所のトリミングサロンになぜか関心を持つ。
いきつけのディスカウントストアで
1万円を拾い、ストアに届けた後、
サロンの前を通ると・・・

「ハグは十五秒」

結婚1年で、今だ朝晩妻をハグしている男が
妻から昔の元カレを泊めていいかと言われる。
泊めてやるが、出勤した後、
元カレの後をつけてみると・・・

「ハナダソフ」

40歳になった同窓会で
級友たちと再会した男は、
子供の頃、マンションの管理人との「戦争」の話題になり、
昔付き合った同級生の祖父が
その管理人だったことを知ってびびった過去の話の
真相を知って・・・

「カートおじさん」

中高生の頃、将来スーパーのレジのおばちゃんにはなるまい、
と思っていたが、今はレジをしている主婦。
その日常に起こる様々な出来事をつづる。

「十キロ空(から)走る」

引っ越しの荷物を整理していた時、
出て来た古いDVD。
試しに再生してみると、
昔、テレビ番組で
元カノとよりを戻すために
ハーフマラソンをさせられた素人参加番組の
録画が出て来た。
その放送の後、元カノと結婚したのだが、
物語には、まだ続きがあった。

11歳から42歳、
順に年齢があがる人々の
人生の小さな出来事に向き合う男女を描いた、
著者初の短編集
どの作品も、特に劇的な事件は起こらないが、
いつでもどこでもありそうな庶民の哀歓を描いて、
心が温まる。
登場人物が全員いい人
それにしても10作中7作が離婚に関わる話とは。
引っ越しも多い。

「冬の女子部長」「チャリクラッシュ・アフタヌーン」
「君を待つ」「リトル・トリマー・ガール」
「ハグは十五秒」「十キロ空(から)走る」
オススメ

 


映画『セキュリティ・チェック』

2024年12月21日 23時00分00秒 | 映画関係

[映画紹介]

Netflix の映画は当たり外れが激しいが、
これは、「当たり」

ロサンゼルス空港で保安検査の仕事をしているイーサンは、
警察の採用試験に落ちて鬱々とした日を過ごしていた。
そのイーサンに災厄が降りかかる。
客から渡されたイヤホン越しに司令されたのは、
ある乗客の荷物を見過ごして通過させろというのだ。
荷物はロシアが作った神経ガスで、
飛行機に手荷物で持ち込み、
空中で爆発させて、墜落させようというのだ。
そうでなければ、空港で爆発させ、
何万人も犠牲者が出るという。
命令に従わなければ、
同じ職場で働く妊娠中の恋人を殺すと脅迫する。
イーサンは、何とか同僚に事態を知らせようとするが
ことごとく阻止される。
接触してきた犯人と虚々実々の駆け引きと知恵比べが始まる・・・

クリスマス休暇で賑わうロサンゼルス空港が舞台というのが新鮮。
まさか空港の現場で撮影許可が降りるはずもなく、
セットを組むか似た建物で撮影したとき思われるが、
沢山の乗客が行きかう空港の様子が
スケール感大きくリアルに捕えられている。
荷物配送レーンの場所はああなっているのかと驚きもある。
そして、飛行機の荷物格納庫も。

傷心のイーサンが初めの方では頼りないが、
次第にたくましくなっていくのも面白い。
途中、市警で捜査する女警察官のくだりが出て来るが、
疾走する車中での格闘のカメラワーク、
衝突し、横転する車中の撮影はどうやったのだろう。

巨大な陰謀に一人で立ち向かうというのは、
「ダイハード」を思わせるが、
ハラハラドキドキは最後まで継続する。
伏線回収もちゃんとするし、
ラストのオチもなかなかのものだ。

イーサンを演ずるのは、「キングスマン」のタロン・エガートン


恋人役はソフィア・カーソン
犯人役はジェイソン・ベイトマン
監督はジャウム・コレット=セラ
脚本はT・J・フィックスマンマイケル・グリーン

Netflix で12月13日から配信中。
劇場で公開してもよかったと思うが、はて。

                                        


浦安・境川沿い通路

2024年12月20日 23時00分00秒 | わが町浦安

市の広報↓に、こんなお知らせがあったので、

行ってみました。

境川というのは、浦安市を東西に隔てる川。

↑の地図で青いところ。

名所江戸百景にも描かれています。

旧江戸川の支流で、今は実質運河。

この水門で旧江戸川とつながっています。

漁師町であった浦安は、
早朝、獲れた魚介類を
境川から旧江戸川を経由し、
小名木川を通って
当時日本橋にあった魚河岸に運びました。

今は漁業権を放棄して、
漁師町ではありません。
魚市場も6年半前に閉鎖され、
今はスーパーとマンションに。

新しい道は、
この橋の脇から入ります。

これが新しい川沿いの道。

左に見える建物は、市役所

これが反対側の入り口。

境川は、昔の漁師町の風情を残しています。