空飛ぶ自由人・2

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映画『ファーザー・スチュー』

2024年08月30日 23時00分00秒 | 映画関係

[映画紹介]

ボクサーから司祭になったスチュアート・ロング神父の実話。
スチューはスチュアートの愛称。

アマチュアボクサーのスチュアートは、
ドクターストップがかかり、断念。
俳優を目指してハリウッドに行くが、鳴かず飛ばず。
バイト先のスーパーで一目ぼれした女性・カルメンの歓心を買うために
洗礼を受けたが、告悔室でも問題発言。
そんないい加減な男だったが、
バイクの飲酒運転で交通事故に遭って、命拾いをした時、
自分の人生を見直し、
生かされた神の意思を感じて、
司祭となって、
人々が道を見いだす手助けをする運命にあると確信する。
司祭は一生独身
結婚できなくなるカルメンも
父母も必死で止めるが、
スチュアートの決心は固い。

離婚した父はトレーラー生活をしており、
妻と共に、子どもの頃、もう一人の息子を病気で失ったことが
心の傷として残っていた。


前歴が悪くて、神学校から入学を拒否されたが、
学長を説得して、潜り込む。
身を慎み、順調に司祭への道を歩むものの、
難病である筋萎縮症を発症。
やがて歩けなくなり、
最後は自分の身の始末も出来なくなると宣告される。                「なぜですか」と泣きながら神に問いかけるスチュアート。
卒業間近、身障者では、
教会の秘跡(聖餐式や洗礼など)を
ほどこすことが出来ないのではと
危惧した教会上層部は
スチュアートへの叙階(聖職者を任命すること)をしないことを決める。
しかし・・・

いい加減な男が心を入れ替えて聖職者を目指す。
という話の表現は難しいのだが、
マーク・ウォールバーグはその変化を見事に表情だけで表した。
やっぱり、マークは素晴らしい。

両親に扮するのは、メル・ギブスンジャッキー・ ウィーヴァー


子供を一人失い、
もう一人の子が身体の自由を奪われるのを見る辛い
父母の心情をよく演じた。
神学校の学長役のマルコム・マクダウェル
スチュアートの情熱と上層部との間で悩む聖職者をうまく演ずる。
アメリカの俳優の層の厚さその巧さがつくづく分かる。
終盤、スチュアートのライバルで仲が悪かった神学生の
告悔のシーンは胸がつまる。

よくこんなに宗教的な内容を
今のハリウッドで取り上げたものだと思うが
マーク・ウォールバーグが製作に名を連ねているから、
彼の熱意が作らせたのだろう。
マークも若い頃、不良で、逮捕者の常連だったが、
家が熱心なカソリック信者だったそうだ。
そういう背景も後押ししているのかもしれない。
役作りのための肉体改造がすさまじく、
引き締まったボクサー時代と
病魔を得て腹が出て、
顔つきにも障害の出た姿をさらす。
13㎏くらい増量したようだ。
熱演だが、オスカーには縁がなかった。
メル・ギフソンも助演賞ものの味のある演技。

エンドクレジットで、
スチュアート・ロング神父の実映像が流れる。
50歳で亡くなるまで、
地域の人々の魂の救済に励んだという。

日本未公開。
Netflixで配信。

期待しないで観たが、
意外な拾い物だった。

 



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