[ドラマ紹介]
Netflixで9月20日から配信されたドラマ。
私が観るジャンルの作品ではないと思っていたが、
評判が良いので、視聴した。
1980年代の女史プロレスリング全盛期、
家庭に問題を抱える、心優しい少女・松本香が、
オーディションに合格して新人養成のメンバーに入り、
落ちこぼれ状態から
あることをきっかけに
稀代のヒール(悪役)レスラー、ダンプ松本となって
女子プロ界を席巻、
引退するまでの軌跡を描く。
当時人気だった「ビューティ・ペア」の
ジャッキー佐藤、マキ上田や
「クラッシュギャルズ」の長与千種、ライオネス飛鳥 などが実名で登場する。
(本人が演じているわけではない)
やはり実名だからリアリティがあるので、
これが良く似た仮名だったら、
これほどの迫力あるドラマにはならなかっただろう。
ただ、描かれる世界は人を選ぶ。
私も力道山時代、プロレス中継を見た人間だが、
やがて、それがショーアップされたエンタメだと分かってからは興味を失った。
繰り出される高度な技も、
相手の協力がなければ、かかるものではない。
まして、反則や凶器などが横行すると、
あれはスポーツではない、と断じざるを得なかった。
しかし、人の趣味は多様であって、
プロレスに夢中になる人がいてもいいし、
「ビューティ・ペア」に始まる「歌うレスラー」作戦も面白い。
ドラマとしては、脚本が優れており、
松本を取り巻く家族の問題、
新人寮での生活、
本物を指向するライオネスらとの葛藤、
テレビ局と結託した興行主の事情など、
しっかりと丁寧に描かれる。
出色なのは、リング上の試合の描写で、
手を抜かず、しっかりと描く。
さぞ撮影は大変だっただろう。
Netflixオリジナルだから、
製作費は潤沢らしく、
ホールに詰めかけた観客も満員。
リングの上に降り注ぐテープもすさまじい量。
どよめく観客、あふれる歓声。
リング以外の描写も手を抜かない。
クラッシュギャルズを演ずる
剛力彩芽(ライオネス飛鳥役)、唐田えりか(長与千種役)の2人も、
文字通り、体を張った演技。
トレーナーをつけて体作りをし、10㎏増で撮影に挑んだという。
ダンプ松本役のゆりやんレトリィバァは、オーディションに自ら志願して
この役を掴んだ。
演技といえるほどのものではないが、
まさに適役。
ぴったりの配役をした時、映画の成功は確定する。
女子プロレス会長の
松永兄弟を演ずる村上淳、黒田大輔、斎藤工、
悪徳レフェリーの阿部四郎を演ずる音尾琢真も
役柄を良く理解して好演。
新人寮の二段ベッドにあるジャッキー佐藤のサインに
長与千種と共に自分の名前を書き込み、
後で消し、更に修復させる描写は秀逸だし、
引退試合の描写は胸を打つ。
最後に、
女子プロレス会長の松永高司が、
チケットのない少女を中に入れてやるエピソードもなかなかいい。
企画・脚本・プロデュースは鈴木おさむ、
監督は白石和彌、茂木克仁、
脚本は池上純哉。
まあ、覚悟して観て下さい。
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