茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

茶道具 ‐掛物‐

2005-08-10 21:58:04 | 茶道具
 床の間には、掛物、花が飾られる。まず、中心となる掛物について。
 掛物とは、書や絵画などを表具して床や壁に掛けられるようにしたもので、茶席にかける為に作られたものと、そうでないものとがある。いずれも茶会の趣旨に適していれば使用してよいが、茶席用に書かれたもの種類としては、書、絵画、画賛(絵画にそれに関連する詩・歌・文等を書き添えたもの)がある。
①書には、墨蹟、古筆切、消息、記録類がある。
②絵画には、唐画、漢画、水墨画、仏画、諸派のもの(土佐派、琳派など)がある。
③画賛には、詩画軸、自画賛、白紙賛がある。

 掛物を拝見する際は、書いてある文字や絵(本紙)はもちろんのこと、それを飾る表装にも注目する。表装にも真・行・草の三種があり、それは本紙を縁取る幅の狭い布、一文字の表装の仕方によって決められている。本紙の四方全部を一文字で囲む(総縁)ものを真、本紙の上と下に一文字をつけるものを行、一文字のないものを草としている。
 また、本紙が上下に長いものを縦物(たてもの)、横に長いものを横物(よこもの)と呼ぶ。一般的には縦物を多くみるが、いずれも、花とのバランスをよくみて飾る必要があるだろう。
 掛物を下げる為のおもしとなる軸木や軸木の両端に付けられた、掛物の巻き上げ下ろしの際に扱う軸にも素材や塗によって様々な種類があり、本紙の紙も色や厚さなど様々で、一言に掛物といっても見るべきところはたくさんある。
 茶席で掛かっている掛物では、文字として読めないものも多いが、そういう場合は筆の走りや文字の形などから筆者の人柄や心境を感じ取るということだけでも大切だと思う。あとは正客と席主の間でやりとりを聞けば、掛物の意味、その茶席に込められた思い等もはっきりしてくるでしょう。
 茶道の世界では、特に禅語の書かれた墨蹟が大切にされることが多い。墨蹟とはそもそもは墨の跡を意味する言葉だったが、現在では高僧(特に禅宗)の書をいい、家元が大徳寺で修行をする縁もあって、大徳寺の高僧の書は特に大切に用いられる。
 軸飾りというお点前もあって、軸の掛け方、下ろし方を習うのですが、これが結構難しいです。慣れの問題もあるのでしょうが、軸をまっすぐ巻くということだけでも一仕事です。

 先生のお宅で使われる軸で印象に残っているのは、2つ。
お正月に“松樹千年翠”(しょうじゅせんねんのみどり)。
炉開きの際に“関”(旧字体が思い出せないが、いちじかん)、ひと文字の際はわざとバランス上“いちじ”という言葉をつけて読むそう。
お正月は、松のように青々といつまでも栄えあるようとの願いを込め、炉開きの際には、ひとつの区切りとして関所をくぐるように、また気持ちを新たに進みましょうとの願いを込めて。
 今まで自分の点前に必死でしたが、掛物の大切さに気持ちを傾ける余裕が生まれてきました。これからひとつずつ掛物の言葉を覚えていきたいと思います。
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