茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

淡交タイムス 2020年7月号

2020-07-06 12:05:59 | 茶の湯エッセイ
 裏千家には、「淡交会」という会員組織があります。

 簡単に言うと、
 お家元の指導方針を遵守し、基本的な点前作法を全国的に統一し、茶道文化に関する研究を行うとともに、同門の相互協力や親睦をはかり、日本文化の発展に寄与することを目的とした会です。

 「淡交会」の名称は、十四代家元淡々斎宗匠の斎号に因み命名されたもので、荘子の「君子之交淡若水」 (君子の交わりは、淡きこと水の若し)に典拠するもの。
 淡々としてあたかも水が流れるようになにごとにも執着せず、 どんなときにも感情に流されない平常心の交わりを意味し、茶禅一味の精神を根本とする、
と裏千家HPにあります。

 詳細は以下より御覧下さい。 
淡交会
http://www.urasenke.or.jp/textc/tan/


 「淡交会」に入会すると、毎月、冊子が送付されてきます。
1-5月、7-11月は”淡交タイムス”、6月と12月は”裏千家グラフ”。


 今月の淡交タイムスの表紙のお菓子、涼しそうで、美味しそうですね~。
これを書いた後は絶対抹茶飲むな~。

 さて、巻頭は毎回、お家元のお話、その次のページには鵬雲斎大宗匠のお話が書かれています。
 毎回感じ入ることがあるのですが、今回は今の時代、シンプルだけど本当に大切なことだなと思いました。

 坐忘斎お家元の話
先日発表された各服点について書かれており、その最後にこうありました。

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 私は昔からこの点前を広くご紹介したかったのですが、なかなか機会がありませんでした。
新型コロナウィルス騒動の中、この窮地を転換させていく手法のひとつとして暫くは各服点を大いに活用していく心づもりです。
 皆さん、各服点の他にもいろいろ工夫してみませんか。案外面白いことを思い付くかもしれません。考えることも稽古の一環なのですから。
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「各服点」の発表
https://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/a99e502773157d0178672b022dd2b123

『いろいろ工夫する、考える』

 みんな苦しい。辛い。でも、何もしなければ進化できない。
 小さなことでも、どんなことでも、
 どうしたらいいか、何ができるか、工夫する、考える。
 ピンチはチャンス!
 これこそ、今、新しい生活様式、大事なことと思います。


 そして、大宗匠の話

 ウィルスとの闘いは感染予防だけでなく、経済の立て直しなど多面的な様相となってきた。
政府へのしっかりした取り組みを期待するとして、このような話を紹介されていました。

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 今から二十年以上前、奈良県が明日香村に「万葉文化館」を造るとき、そこから日本で最も古い貨幣とされる「富本銭」がたくさん出土しました。どうやらここは今でいう造幣局の跡地だったようです。
「富本」とは紀元前一世紀の漢の時代に馬援という人が
「人民を豊かにする根本は食物とお金である(「富民之本、在於食貨」)」と政府に提出した意見書に由来する言葉です。経済とは「経世済民」を略したもので、「世を経め民を済う」ことであります。
そのためには民を豊かにせねばなりません。そこで流通機構を確立させ、売る方も買う方も手を取り合ってこそ国が成り立っていくという考え方なのです。中国古代からのこうした経済に対する考え方を我が国はどれほど用いてきたか、今更ながら疑問です。
 江戸時代の陽明学者 中江藤樹は、己の利益ばかりでなく、少しでも他の人が平和で豊かになれるようにと考えました。このことを改めて肝に銘じる必要が今の日本にはあると考えております。

 今年も厳しい暑さにありそうですが、夏の風情と取り入れたお茶を楽しんでください。何事もすべて前向きの姿勢が大切であります。
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 『自分だけでなく、皆が平和で豊かになれるように』
 『何事もすべて前向きの姿勢』


 この言葉を聞いて、ペシャワール会の中村哲さんを思い出しました。
 人は、水があれば病気や様々な問題は解決できる、三度の食事が食べられ、家族が一緒に暮らせることが人間の幸せだとして尽力されました。

 政府として最低限必要なのは、食物とお金をどう分かち合うかの仕組みづくり、
 個人として最低限必要なのは、食物を得る事と、家族との時間をどう作り出すか、ということなのかなと。
 
 コロナで、人間が、この地球で、食物連鎖の中の一員としての意識をもって、
もっと謙虚に生きていくことを考えなおしなさいといわれているような気がします。
 自分だけでなく、世界中の人々、地球中の生き物が豊かになれるように。

 一人前の濃茶を心静かに点て、頂きました。
 自分がすべきことな何か。
 自問自答しつつ、祈る気持ちをこめて。


 ご参考までに。
 奈良にこのような施設があること、富本銭というものがあること、初めて知りました。
 奈良は大好きな場所です。今度訪問した時には行ってみたいと思いました。

奈良県立 万葉文化館
http://www.manyo.jp/about/
 
富本銭について
https://www.bk.mufg.jp/csr/contribution/kids/gallery/exhibit/fuhonsen/index.html


 

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