茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

葉蓋を想う 一つの命

2021-08-04 19:17:53 | 茶の湯エッセイ
 連日、各地で暑さが続いています。
 日本は風鈴を軒に下げたり、路地の水打ちなど涼を楽しむ工夫を沢山してきました。
大好きな趣向ですが、今やそれらだけでは快適に過ごすのは難しいと感じる今日この頃です。

 さて、何度も書いていますが、裏千家では夏になると、露打ちした梶の葉を水指の蓋
として使う「葉蓋」という涼を味わうお点前を行います。
葉蓋と洗い茶巾
https://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/7c7c3ed76446baaf607ccdc658ef2aab

 今日届いた淡交タイムス8月号の巻頭、お家元のお話は、ちょうど「葉蓋」のお話でした。
いつも「葉蓋」のお点前をする度に、涼し気だなあとか、味わいがあるなあとか思ってはいましたが、
このお話を読んで自己中心的にしか見ていなかった自分にハッとしました。
 葉を使っているということは、葉の命を頂いていることなのだ。
来年は”葉”の気持ちになって、使わせてくれた”葉”に感謝をしてお点前をしたいと思いました。

 淡交会に所属の方は、既に読まれたことと思いますが、他の皆様にもお知らせしたく、
以下にお家元のお話をご紹介します。

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『葉蓋を想う』   千宗室

 暑い夏を少しでも涼しく過ごすための趣向として葉蓋は欠かせない点前です。十一代玄々斎宗匠が七夕の趣向の茶会で末広籠花入の受筒に梶の葉を蓋にして水指に使用したのが始まりとされており、梶のほかにも桐や蓮、芋の葉などを使います。葉に打たれた露、そして葉に顔を近づけてのぞいてみると(これは準備する亭主の楽しみです)、その露の中に取り込まれている世界というのはたいへん美しいものです。
 ところで講習会などで拝見していると、この葉蓋の建水への落とし方が気になります。葉を折りたたんで建水に、という一連の流れの中で、「ささやかな涼を楽しむために葉の命をいただいているのだ」ということを点前している人が忘れてはなりません。点前が進み、建水に茶碗の湯水を空ける時、そこに先ほどまで蓋になってくれていた葉が入っているのだということを意識できているでしょうか。水屋に戻って建水を片付ける際にも、その葉の命のことを思っているでしょうか。これほど簡単に一つの命を頂戴している点前なのだということを認識し、それを感謝して扱うことが茶の湯の味わいです。この点前のために一枚を手折った瞬間から、葉にとっての一つの世界が終わりに向かっていきます。葉は建水に消え、その上に打たれた露もその小さな世界とともに消えていく、その儚さを意識する先にこの点前の答えがあります。空点前であっても葉一枚の命をいただいているのだという気持ちで試してみてください。その気持ちが教則本には書かれていない葉蓋の奥の意味を教えてくれます。

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 どう感じたでしょうか。


 「葉蓋」で使われる梶の葉ですが、
先日、訪ねた諏訪大社の神紋が、梶の葉であることを知りました。

 

 諏訪大社は上社と下社に分かれ、それぞれに二宮ずつ、全部で4社あることを初めて知りました。
ご神紋の梶の葉も、上社と下社で微妙に違うのです。
ちなみに、写真では穀の木となっていますが、昔はこの漢字だったそうです。
梶は、ご神木として神社境内に植えられたり、葉が神様に供物をささげる時のお皿として使われたりしたそうで、昔から日本人の生活の中で身近で大切なものだったのだと改めて感じました。

 諏訪大社で梶の葉に出会ったこと、お家元の葉蓋のお話に今日出会ったこと、何かご縁を感じました。
 来年の葉蓋のお稽古では、梶の葉の扱いに特に心を籠めたいと思います。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
梶の葉 (そうこう)
2021-08-06 08:39:27
梶の葉を使って、葉蓋点前を7月にしました。
「葉」を頂いているという発想・・・何でも「頂いている」という感謝の気持ちが大切ということですね。建水に捨てるときも「ありがとう」・・・と。
返信する
梶の葉 (m-tamago)
2021-08-06 21:33:13
そうこう先生、コメントをありがとうございます。
おっしゃる通り、「頂いている」という感謝の気持ち、大切にしたいと思いました。
色々な場面で感じる心を。
返信する

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