またまた所要ついでに美術画廊に立ち寄りました。
ちょうど茶箱が2,3日で片付けるタイミングで、秋のお道具に入れ替わりつつありました。
ゆっくり拝見していたら、画廊の方が親切に声をかけて下さって、色々と教えて下さいました。
写真撮影のご了解も頂きましたので、今日は茶杓について、ご紹介します。
茶杓には銘(名前)がついていて、取り合わせの際の大事な言葉のひとつになります。
まだ残暑厳しい時期ですが、茶の季節は確実に移りかわっていました。
茶道具 -茶杓ー
https://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/f675ea286bba45cd61781b69ef9b20b4
茶杓の銘
https://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/5089b953f9ea030708353dd38853487c
招春寺 福本積應師書付 銘「小男鹿」
”さおしか”と読みます。
8月~10月にかけてが鹿の交尾の時期。
牡鹿が雌鹿を呼ぶのに、ピーと高く長く強い声で鳴く。
この哀愁ある声が愛でられ、古来、秋の風情として紅葉を背景に描かれた鹿の絵や和歌がのこされている。
「奥山に紅葉踏み分けなく鹿の声聴くときぞ 秋はかなしき」 猿丸太夫
人里離れた奥山で、散り敷かれた紅葉を踏み分けながら、雌鹿が恋しいと鳴いている牡鹿の声を聞くときこそ、いよいよ秋は悲しいものだと感じられる。
秋に牡鹿が雌鹿を求めて鳴くことに、遠く離れた妻や恋人を恋い慕う感情を重ねています。
中置の侘びた時にこのお茶杓を使うといいかしら?と思いました。
大徳寺黄梅院 小林太玄 銘「芋の葉露」
芋の葉露とは、サトイモの葉に置いた露のこと。
この露を硯の水に用いて梶の葉に詩歌や願い事を書いて七夕の星にたむける風習があった。
七夕に字が上手になるようにと芋の葉の露で墨をすって字を書く。
俳句にも芋の露はよく読まれているようです。
いもの葉の露や銀河のこぼれ水 続明烏
輝きて芋の葉の露こぼれたり 秋川泉
七夕と芋の葉、習字の上達がどうつながるのか、と思いますね。
調べていたらこれらの繋がりはとても興味深かったです。長くなるので、また別にまとめてご紹介したいと思います。
芋の葉の露と言えば、祖母の家で、夏の終わり、朝に畑に行くと大きなサトイモの葉の真ん中に露が溜まっていて、真ん丸の露がユラユラ動くのが楽しくてこぼさないように葉っぱを揺らしたことを懐かしく思い出します。
祖母は短歌を詠む人で、この露で墨をすって字を書くとね、上手になるのよ、と教えてくれました。
その時は揺らす方が楽しくて、ふーん位に聞いていたのですが、こんなところで繋がりました。
祖母は、その露を使っていたわけではないと思いますが、よくさらさらと短冊に自分の短歌を書いていて、今もそれが我が家に残っていて、私の宝物です。
茶道を習っていると、茶会で芳名帳に名前を書くことがあったり、点前では花月で和歌や俳句を短冊に書くことがあったり、七事式の記録を奉書に書き留めることもあったり、と実は、書のたしなみも必要になります。
芋の葉の露=秋の季語になるので、茶杓も秋に使うか、七夕とも繋がりがあるので取り合わせ次第では七夕の時期にも使えるかもしれませんね。
招春寺 福本積應師書付 銘「小夜衣」
こちらの銘については、お話を聞きそびれてしましました。
小夜衣とは、夜寝る時に体を覆うもの。夜着。
小夜衣(さよごろも)という中世の物語もあるようです。
兵部卿宮と山里の姫君(対の君)の恋に継子いじめ譚を絡ませた物語。
想像するに、秋の夜長、寝ている時間が増えることからの言葉かしら?と。
「小男鹿」と「芋の葉露」は見た目も茶色っぽくて、茶杓自体も秋を感じさせるけしきでした。
茶を掬うだけの道具である茶杓にも名前を付ける。
日本人の、茶人のセンスに改めて感じ入ります。
ちょうど茶箱が2,3日で片付けるタイミングで、秋のお道具に入れ替わりつつありました。
ゆっくり拝見していたら、画廊の方が親切に声をかけて下さって、色々と教えて下さいました。
写真撮影のご了解も頂きましたので、今日は茶杓について、ご紹介します。
茶杓には銘(名前)がついていて、取り合わせの際の大事な言葉のひとつになります。
まだ残暑厳しい時期ですが、茶の季節は確実に移りかわっていました。
茶道具 -茶杓ー
https://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/f675ea286bba45cd61781b69ef9b20b4
茶杓の銘
https://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/5089b953f9ea030708353dd38853487c
招春寺 福本積應師書付 銘「小男鹿」
”さおしか”と読みます。
8月~10月にかけてが鹿の交尾の時期。
牡鹿が雌鹿を呼ぶのに、ピーと高く長く強い声で鳴く。
この哀愁ある声が愛でられ、古来、秋の風情として紅葉を背景に描かれた鹿の絵や和歌がのこされている。
「奥山に紅葉踏み分けなく鹿の声聴くときぞ 秋はかなしき」 猿丸太夫
人里離れた奥山で、散り敷かれた紅葉を踏み分けながら、雌鹿が恋しいと鳴いている牡鹿の声を聞くときこそ、いよいよ秋は悲しいものだと感じられる。
秋に牡鹿が雌鹿を求めて鳴くことに、遠く離れた妻や恋人を恋い慕う感情を重ねています。
中置の侘びた時にこのお茶杓を使うといいかしら?と思いました。
大徳寺黄梅院 小林太玄 銘「芋の葉露」
芋の葉露とは、サトイモの葉に置いた露のこと。
この露を硯の水に用いて梶の葉に詩歌や願い事を書いて七夕の星にたむける風習があった。
七夕に字が上手になるようにと芋の葉の露で墨をすって字を書く。
俳句にも芋の露はよく読まれているようです。
いもの葉の露や銀河のこぼれ水 続明烏
輝きて芋の葉の露こぼれたり 秋川泉
七夕と芋の葉、習字の上達がどうつながるのか、と思いますね。
調べていたらこれらの繋がりはとても興味深かったです。長くなるので、また別にまとめてご紹介したいと思います。
芋の葉の露と言えば、祖母の家で、夏の終わり、朝に畑に行くと大きなサトイモの葉の真ん中に露が溜まっていて、真ん丸の露がユラユラ動くのが楽しくてこぼさないように葉っぱを揺らしたことを懐かしく思い出します。
祖母は短歌を詠む人で、この露で墨をすって字を書くとね、上手になるのよ、と教えてくれました。
その時は揺らす方が楽しくて、ふーん位に聞いていたのですが、こんなところで繋がりました。
祖母は、その露を使っていたわけではないと思いますが、よくさらさらと短冊に自分の短歌を書いていて、今もそれが我が家に残っていて、私の宝物です。
茶道を習っていると、茶会で芳名帳に名前を書くことがあったり、点前では花月で和歌や俳句を短冊に書くことがあったり、七事式の記録を奉書に書き留めることもあったり、と実は、書のたしなみも必要になります。
芋の葉の露=秋の季語になるので、茶杓も秋に使うか、七夕とも繋がりがあるので取り合わせ次第では七夕の時期にも使えるかもしれませんね。
招春寺 福本積應師書付 銘「小夜衣」
こちらの銘については、お話を聞きそびれてしましました。
小夜衣とは、夜寝る時に体を覆うもの。夜着。
小夜衣(さよごろも)という中世の物語もあるようです。
兵部卿宮と山里の姫君(対の君)の恋に継子いじめ譚を絡ませた物語。
想像するに、秋の夜長、寝ている時間が増えることからの言葉かしら?と。
「小男鹿」と「芋の葉露」は見た目も茶色っぽくて、茶杓自体も秋を感じさせるけしきでした。
茶を掬うだけの道具である茶杓にも名前を付ける。
日本人の、茶人のセンスに改めて感じ入ります。
学生たちのお稽古をしていて、一番緊張するのが拝見の問答らしいです。
相手の顔を見ながら、きちんと問答するように・・・これが学生たちは苦手のようです。
「こうしてね。相手の顔を見ながら話をするのは、就活の時役に立つから・・・」とこんな風に言いくるめながらやっております。
特に茶杓の銘は、自分で考えるようにしておりますから、面白い問答になります。
学生のお稽古、懐かしいです。
拝見の問答や、半東の練習など、お客さんに向けて話す時、私も緊張したのを覚えています。
先生のご指導の通り、きちんと相手の顔を見て話すって大事ですね。
茶道って色々な場面で役に立つことがいっぱい。
茶杓の銘、それぞれの個性がでるのはいいですよね。
私の社中では、先生のお宅に来るまでの間に茶杓の銘を考え、更に、その銘にちなんだ短歌を検索して披露される方がいます。
その歌がなかなかよくて、私は楽しみになっております。
色々な勉強の仕方がありますね、見習わなくては。