母親語
読書も滞りがちな今日この頃。
そんな中で、やっと読んだエッセイ
三浦しをんさんの『ビロウな話で恐縮です日記』。
エッセイというよりは、ブログの形で綴ったものをまとめた
日記的なものでした←だからタイトルに…
以前、日経新聞の夕刊にエッセイが連載されていて
そこそこ楽しみに読んでいたのですが
この人、男性?女性?という不思議な文体。
そういうわけで、興味のある人物ではありましたが
必死で探して読むという気はなかったようで…
さっき調べたら、連載していたのは2007年の1月~
放置するにも程があると自分に呆れました。
そんなことが発覚しつつも、本題へ
(前置きが長い)
あまりにマニアックでついて行けない話もありつつ
あはは!私と一緒だわ、と笑ってしまう話もあり
小さめの活字であるにもかかわらず
久々に眼鏡なしでサクサク読めました。
その中で、『おっ!』と思ったのが
言葉談義というタイトルで語られている内容。
友人と喫茶店で会話をしている中で発覚する
家でしか通じない言葉…
多くは親の出身地の方言だったりするわけで、
著者の場合は母親の小田原弁がメインで
友人は北九州の方言と話が盛り上がる中、
『母親って自分だけの言葉遣いをしますよね』
という結論に達するふたり。
母親の造語を『母親語』と命名したようで
妙に納得してしまった私。
東京出身の私の母、かれこれ50年近く
関西に住んでいるにもかかわらず
いまだに、いわゆる関西弁のアクセントが下手で
『お願い、使わないで!』状態…
別にアンチ関西弁というわけではない
みたいなのだけど、とにかく下手。
一方、父は九州出身で
大阪弁は他人を馬鹿にしているように聞こえる
と主張していたので←友人の母も言ってた…
(昔はね、今はOKらしい…)
家ではNHKのアナウンサー張りの標準語を使い
友達と遊ぶときは大阪弁という非常に
ややこしいことをしてました。
父の九州弁(あえてどこかは書きませんが)は
実家から電話がかかってきたときぐらいしか
聞く機会はありませんでしたが、
母からは江戸弁(←自分でそう言っていた)の
シャワーを浴びせ続けられました。
私は早い時期に東京弁は標準語ではないと
認識したのであまり被害はなかったものの、
(話し言葉と書き言葉は違うぐらいの認識だったかも)
妹は気付くのが遅かったようで
低学年の頃はテストで度々×を喰らってました。
『ひ』と『し』がひっくり返るのは日常茶飯事だったので
『人』の読み仮名を『しと』と書いて×
父の名前がヨシト(かな書きにしておきます)なので
『人』は『しと』と読むと勘違いしていた節もあるケド。
で、母親語の最高傑作(?)は『のぞ』
話の脈絡から察するに母の言う『のぞ』は
『喉』だとわかっていた私は普段から
訊き返すこともせずいたのだけど…
またしても妹、何かのテストで『のど(喉)』と
書くところを『のぞ』として『?』がついた×
そりゃ先生も『?』でしょうよ。
たぶんサービス問題だったでしょうに
それ以来、妹も少々賢くなりましたが
『のぞ』事件は話題に上るたびに大爆笑です。
で、その母親語の件を読んだあと、洗濯物を
取り込みながら思い出した母の言葉…
『よくほろってから取り込んでね』
子どもの頃よく言われたなぁ…
『テーブルクロス、ベランダでほろっといて』
パン屑目当てにスズメがよく来てたっけ…
ところで『ほろう』って何だ?
前後の文脈、母の日頃の行動から
『ほろう』は『バサバサする』ことと理解…
察しのいい子どもでした、私
『払う』とか『はたく』とか…
そういう意味なんだろうな…
こういうときはネットで検索!
北海道・北東北で使われている言葉らしい
そうだったのか…
って、身内に北海道の人も北東北の人も
いないんですけど???
母方の祖父の生まれが山形と聞いているけど
北東北とは言わない、よね。
どこから出てきたんだろう???
謎が謎を呼んでしまいました~
『もっかく』(足を挫く、捻挫するの意味)も
母親語なのかなぁ…どこかの方言?
『オリヅルラン、持って帰る?もっかいてあげようか?』とか
『ミニトマト、ちょっともっかいて来てよ』とか
いうふうにも使ってるなぁ…
雰囲気としては伝わるんだけど…
母親語も数知れずだけど
言い間違いも数知れずの母。
修正しているとキリがないということに
気がついて以来、他人様に迷惑をかける
言い間違いでない限りは放任の方針にしました。
言い間違いのまま定着してしまったのは
『アルツハンマー』…正解はアルツハイマーです。
指摘してもどうしても直りません。
というか、私もいつかどこかで口走ってしまいそうです
恐るべし、母親語!
母は『日本語が不自由な日本人』ということに
私と妹の間では認定したのだけど、
人間、取り柄はあるもので
母の特技は英語。
アメリカに移住することを夢見て
英語の習得に励んだ学生時代…だそう。
時々父が家に連れてくる会社の取引先の
外国人にもテキパキ対応…のように見えた。
子ども心に、『英語は得意なんだ…よかった』
と、思ってました。
父がアメリカに転勤で行くことになったとき
(私は社会人だったので家で留守番)
母も当然ウキウキとついて行き、水を得た魚?
私も休みを取って
何回か遊びに行ったのだけど…
以下、英会話です…
友人『あら、髪型変わった?』
母『午前中、saloonに行ってね…』
友人『え?saloon?朝から?』
母『そう、saloonよ』
さすがの私も母の言い間違いに
気がついたので袖を引っ張って
『saloonじゃないでしょ!行ったのはsalon!』
saloonは酒場であります。
危うく酒浸りの人になるところでした。
外国語を勉強すると母国語の癖が出るというけど
こういう癖も漏れなく踏襲されるのね…
と怖いものを見てしまいました。
ん、これは母親語ではない???
いずれにせよ、母親が独自の道をひた走っているのは
我が家だけではなかったと、少しだけ安心した一文でした。
私も無意識のうちに発してるのかな…
怖くて娘に確認できない
そうそう、三浦しをんさんの
『ビロウな話で恐縮です日記』という
タイトルのブログは、まだ存在してました。
…って、何の報告だろ?