渡辺京二さんの言葉の抜粋です。
自分が生きていくということ、これが一番大事で、
この宇宙、この自然が
あなた方に生きなさいと命じているんです。
リルケという詩人が、
人間は何のために存在しているんだろう
と考えたのね。
その時に彼は世界が美しいからじゃないかと考えたんです。
空を見てごらん。山を見てごらん。
木を見てごらん。花を見てごらん。
こんなに美しいじゃないか。
ものが言えない木や石や花やそういったものは
自分の美しさを認めてほしい、
誰かに見てほしい、そのために人間をつくった、
そうリルケは考えたのね。
宇宙は、自然という存在は、
自分の美しさを誰かに見てもらいたいために
人間を作ったんだというふうに考えたんだねえ。
そう思ったら、
この世の中に存在意義のがない人間なんか
一人もいないわけ。
社会のために役立ちなさいなんて、いらんことです。
社会のためになんか役立たんでよろしゅうございます。
だいたいこの人間の歴史のいろんな災いは、
社会に役立ってやろうと思ったやつが
引き起こしてきたわけでございます。
自分からまず出発する。
自分をどうするか考えると、当然他者がでてきますから、
他者との間にどういう関係があったら望ましいか
ということを考えるようになる。
そこで初めて他者が出てくるんです。
つまりそれが
社会のために役立つということにつながるんでございます。
慎ましく自分の隣人を大切に