ブルームバーグ4月4日付
ゴールドマン・サックス・グループによると、3月に月間ベースで約7年ぶりの大幅高を記録したアジア通貨は、今が売り時だ。
ゴールドマンの新興市場マクロ担当チーフストラテジスト、カマクシャ・トリベディ氏(ロンドン在勤)はインタビューで、中国と日本で追加緩和が見込まれるため、人民元と円は少なくとも2008年以来の安値まで下げる可能性が高く、アジア通貨は下落に転じると予想した。同氏は昨年11月の段階で、新興市場が16年に持ち直すと正確に予測していた。
トリベディ氏は「韓国ウォンやタイ・バーツ、台湾ドル、人民元、リンギットを中心とするアジア通貨は、ショートにするには良い水準にある。アジアの新興市場通貨は、人民元相場の動きから極めて直接的な影響を受ける。これらの通貨のさらなる下落をわれわれは予想している」と説明した。
ゴールドマンは、今後1年で円相場がドルに対して14%下げ、1ドル=130円と02年以来の安値水準を付けると予測。人民元は7.6%下落し、1ドル=7元と08年5月以来の安値になると見込んでいる。
ゴールドマンの円と人民元の見通しは大半の予測に比べて弱気だ。ブルームバーグ調査の予想中央値によると、17年3月末時点の円相場は対ドルで118円、人民元はドルに対して6.7元と見込まれている。
原題:Goldman Says Sell Asia Currencies After Best Rally Since ’08 (1)(抜粋)
ブルームバーグ5月3日付 :米ゴールドマン・サックス・グループは、円安の予想を撤回し、日本銀行が追加の景気刺激措置を打ち出すか示唆するまでは円が対ドルで上昇するとの見通しに転じた。チーフ通貨ストラテジストのロビン・ブルックス氏らアナリストが2日のリポートで新たな見通しを示した。4月24日には今後数カ月に円が下落すると予想していた。 ブルックス氏はリポートで、黒田東彦総裁が「日銀のバランスシートに関する市場の懸念に真っ向から立ち向かうまでは、ドルの対円相場にとって抵抗のない道筋は下落だ。ドルは最終的には円に対して大きく上昇するだろうが、短期的にはそうはならない」と書いている。
同氏に2日、電子メールや電話でコメントを求めたが応答は得られていない。
最新のリポートでは円相場の具体的な予想水準は示さなかったが、4月と3月には1年以内に1ドル=130円まで下落すると予想していた。
チーフ通貨ストラテジストのロビン・ブルックス氏らはリポートで、「円についてとても弱気だ」としている。「日銀がリフレを追求するための道筋は一つしかない。ハト派政策で市場を驚かすことだ」という。
ブルックス氏らは円が8月までに1ドル=115円、11月までに120円、今から1年後には125円に下落すると予想。133円付近が適正と示唆するコンピューターモデルにも触れている。133円なら2002年4月以来の円安水準になる。
ロンドン時間25日朝の相場は109円98銭。年初来では9.3%上昇し、先進国・地域の10通貨中で最大の上げとなっている。
原題:Goldman Stays ‘Very Bearish’ on Yen Amid Its World-Beating Rally(抜粋)
ドル/円 ユーロ/ドル ポンド/ドル・円*1
バークレイズ 92 0.99 1.27
(9月末)*2 (100) (1.07) (1.50)
UBS*3 101-104-107 1.08-1.10-1.10 1.32-1.32-1.35
(3-6-12カ月) (105-105-110) (1.1-1.14-1.16) (1.46-1.52-1.56)
ゴールドマン・サックス 115-120-125 弱含み据置 1.32-1.34-1.35
(3-6-12カ月) (122-125-130) (1.12-1.10-1.05) (1.47-1.48-1.50)
JPモルガン・チェース 103-103 据置 1.29-1.30
(9月末-12月末) (106-103) (1.13-1.15) (1.51-1.52)
HSBC 95 1.1 1.2
(年末) (115) (1.2) (1.6)
メリルリンチ日本証券 105 1.05 1.30
(年末) (110) (1.08) (1.59)
三菱東京UFJ銀行 *4 95-107 1.04-1.16 1.25-1.43
(年内) (103-113) (1.04-1.18) (1.42-1.56)
みずほ銀行 *4 95-103 1.05-1.14 -
(年内) (105-120) (1.09-1.18)
三井住友銀行 *4 95-105 弱含み据置 1.2-1.35
(年内) (105-115) (1.07-1.15) (1.5)*2
野村証券 104 据置 - *5
(年末) (122) (1.05) (183)
大和証券 100-110 据置 135-160
(年内) (110-120) (1.08-1.15) (150-165)
*1 野村証券と大和証券はポンド/円。*2 カッコ内は英残留ケースの予想。*3 UBSはUBSウェルス・マネジメントの予想。*4
三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行(市場営業統括部調査グループ)は暫定値。*5 改訂作業中。