人間はめったに他者の幸福を望まない
振り返って気づくことは、人間はめったに、友人として接している恰好になっている他者の幸福すら、むしろそれだからこそ、望まず、かえって、その幸福な状態を毀損する方向に言動する、ということだ。それで、全く一面識も無い未知の他者たちの幸福のほうが、その極度の漠然さのゆえに、望みやすいくらいなのだ。その他者たちの具体的な容貌がすこしでも感知できるようになるに応じて、その幸福を望む気持は消えてゆくだろう。
愛によって接していないかぎり、すべては蜃気楼である。情には、じぶんより相手は幸福であってはならないという条件がある。施しの地位にじぶんはあるべきなのだ。
まあ、人間の実体はおどろくべきものだ。自足していない生き方をしているかぎり。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます