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今回が最終巻です。
この漫画は、北海道の十勝地方にある農業高校に入学した札幌出身の男の子の話です。
高校3年間の軌跡が中心で、この最終巻ではその後進学した農業大学での後日談が半分くらいありました。
私は普通科高校に進学したので農業高校の授業や雰囲気は全然知らなかったのでとても衝撃的でした。
私が住む神奈川県にも農業高校はありますが、少なくとも私の周りで県立農業高校に進学した人はいませんでした。
川崎市に住んでいると県立農業高校には通いにくい立地であることと、私の父くらいの世代(70代後半)では都立園芸高校に進学する人がたまにいたくらいと聞いたことがあります。
それにしても主人公の同級生は、高校生ながら就職や起業という視点に限るととても視野が広くて将来を語る姿が眩しいです。
私は高校時代には何も考えてなくて、ボーッと生きていたことを思い知ります。
漫画の連載当初は、農業大学を舞台にした「もやしもん」もあり、今、農業が熱いな、と思ったモノです。
※「もやしもん」は農業もいうよりも細菌や発酵等が中心、「銀の匙」は酪農と6次産業が中心。
「銀の匙」にはかなり影響を受けるとともに、私も農家の子時代を過ごしていましたが、地域差をとても大きく感じました。
本作品の舞台である北海道は、私の実家がある周辺とはまったく営農方法が違います。
まず、国の政策からして全然違います。
北海道と本州以南では基本的な土地の単位が違っていて、北海道はだいたい本州以南の10倍単位で政策が取り組まれます。
MIFさんのご先祖様は北海道の屯田兵でしたから、そのご先祖様に関してまとめた資料(MIFさんのご親戚がまとめた本)でも、土地の単位がなんだかだだっ広いのです。
昨年放送された朝ドラ「なつぞら」でも、十勝地方の農地がだだっ広い印象でしたが、少なくとも神奈川県では、広大な農地なんてもう見られない風景です。
さて本作品の結末は思っていた通りでした。
でも主人公の同級生(ただし高校1年で中退)の結末は意外でした。
私は通信制か定時制高校に進学して、起業するかと思っていました。
高校生活は将来への夢を繋げる希望に満ちあふた時代なのだと改めて思わされた作品でした。
私のような人間には、眩しくて直視できないくらいです。
それと荒川弘先生、とても楽しい作品を有難うございました。
連載中の「百姓貴族」も楽しく読んでいます。
そして次回作も楽しみにしています。