898『自然と人間の歴史・世界篇』世界人口100億人時代へ
まずは、過去から現在にいたるまでの人口の推移をみたい。古代に向かうほど、推測の幅が増し、信頼度も低下するのは、仕方があるまい。
①として、200万年前には12万5000人、②として、30万年前には100万人、③として、5万年前には200万人(ここまで、(湯浅赳男『文明の人口史』新評論、1999による)。そして④としての1万年前(農耕の開始)には数百万~1000万人であったと推測されている(ここからは、「まもなくやってくる100億人時代ー「食糧」「エネルギー」「長寿命化」」:雑誌『ニュートン』2012年6月号)。
ここで注目したいのは、人口増の速度が年を下るにつれて急速な上昇になる。①から②への人口の8倍化に必要とされた時間は170万年、ところが、③から④への人口5倍化に要した時間はわずか4万年と短縮されている。
西暦1年には1~3億人であった。その頃の平均寿命は20歳前後と推測されるところ。1000年には2~4億人、その頃の平均寿命は20歳代前半であったであろうか。14世紀のペスト流行によって、3~4億人から2割ほど減少か。1800年頃には10億人、1960年には30億人、1974年には40億人、1987年には50億人、1999年には60億人、そして2011年に70億人(同、ただし1950年以降のデータは国連による推計に基づく)。なお、「平均寿命」というのは、その年に生まれた子供が平均であと何年生きられるか(0歳時の平均余命)を示したものだ。
つぎには、これからどうなっていくかを考えたい。世界人口はこれからも増え続け、現在から80余年後の2100年には101.5億人と、100億人の大台に届くものと見られる(同)。その内訳である、2011年時点での世界人口の国別では、1位の中国が13億4757万人、2位のインドが12億4149万人、3位のアメリカが3億1309万人、4位のインドネシアが2億4233万人、5位のブラジルが1億9666万人、6位のパキスタンが1億7675万人、7位のナイジェリアが1億6247万人。2011年の大陸別によると、アジアが42億人で60.7%、アフリカが10億人で14.5%(出典は「国連中位予測)であった。
それが2100年の予測になると、次のようになるという。1位のインドが15億5000万人、2位の中国が9億4100万人、3位のナイジェリアが7億3000万人、4位のアメリカが4億7800万人、5位のタンザニアが3億1600万人、6位のパキスタンが2億6100万人、7位のインドネシアが2億5400万人。2100年の大陸別では、アジアが46億人で45.3%、次にアフリカが36億人で35.5%などとされる(出典は同)。
もちろん、ここでの世界人口予測は、現在の人口変動の傾向を引き伸ばしたもので、あくまでも現時点で考えられるシナリオ(仮説)に基づく。
(続く)
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