390『自然と人間の歴史・世界篇』アメリカ資本の中南米への進出拡大(19世紀後半~20世紀初頭)
いつ頃から、アメリカにとって中南米のあたりが「庭」のように見なされるようになったのであろうか。それこそは、アメリカの資本がこの地域に経済的進出を拡大し、そこそこで富を生み、権益が増していったのと軌を一つにする。その一大画期となったのが、19世紀後半を前史として、20世紀の20年代からの出来事であったという。その経緯については、例えば、こう説明されている。
「一方、砂糖生産においても、19世紀後期から米国人が投資を拡大していたが、砂糖ブームと戦後の不況、1920も年代のブームの再来と30年代諸島の世界大恐慌による不況という大きな景気変動のなかで、地元資本は淘汰され、米国資本による寡占的支配が拡大した。
第一次世界大戦までは、中央アメリカ・カリブ海地域への域外からの投資は、イギリス、ドイツなどのヨーロッパ資本の比率がいぜんとして高かった。1897年の米国資本の対外直接投資の総額は、6億8500万ドルで、このうち、カリブ海地域への投資は4900万ドル、割合にして7%だったが、第一次世界大戦の始まる1914年には、米国資本の大害直接投資総額、35億ドルのうちで、カリブ海地域への投資は3億3600万ドルで総額の10%に増加し、イギリス資本をぬいて最大の投資国となった。また中央アメリカへの投資は1897年の2100万ドルから1914年には9300万ドルへ増加した。」(「南アメリカの歴史」山川出版社、277ページ)
これにあるように、中南米においては、19世紀末から主にアメリカの食品資本がコーヒー、バナナ、砂糖などのプランテーションを拡大してきた。中南米諸国からすれば、そのことで「農業大国」になっていくという理解が生まれることにはならなかった。
(続く)
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆