3『世界と人間の歴史・世界篇』銀河系外の別の銀河そして銀河団
さて、私たちの住んでいる銀河の外側にある別の銀河ということでは、いろいろあろう。中でも、肉眼で垣間見ることのできる銀河に、アンドロメダ銀河(M31銀河)がある。この銀河の特徴として、私たちの天の川銀河系と同じような渦巻き状をしていることがある。
もう一つの特徴というか、一般人にとっても何かしらの注意をひくこととして、実はアンドロメダ星雲は銀河系に近づきつつあると説明されている。例えば、物理学者の谷口義明氏の説明に、こうある。
「ここでハッブルの法則に単位をつけて表すと次のようになる。
v(km/s)=HD(Mpc)
したがって、ハッブル定数Hの単位はkm/s/Mpcとなる。
ハッブル定数の値は、H=70km/s/Mpcである。
ハッブル定数の値は、宇宙の膨張率そのものなので、この値は次のことを意味する。「宇宙の膨張率はMpc当たり70km/sである。」
ここで銀河系とアンドロメダ銀河の関係を見てみよう。両者の距離は、250万光年なので、宇宙膨張の影響は(70km/s)×(250/326)=54km/sの相対速度を持つはずである。もちろん、プラスの値だ。
しかし、アンドロメダ銀河の視線速度を測定すると、マイナス300km/sなのだ。つまり、遠ざかるのではなく、近づいてきているのだ。それは、両者の重力の影響が宇宙膨張の影響に勝っているため、両者は近づいてきているのである。」(谷口義明「天の川が消える日」日本評論社、2018)
なお、ここに「pc」(パーセク)というのは、三角測量を応用した距離の単位で、天文学での距離を測る場合に用いる。1パーセクpcは、3.26光年。また、Mは10の6乗のことで、百万倍に当たる。
これにあるように、アンドロメダ銀河は、私たちの銀河系から約250万光年の彼方にある。それは、銀河系の約2倍の大きさで、秒速300キロメートルの速さで銀河系に近づいている。このままいくと、およそ50億年後には銀河系の方がアンドロメダ星雲の中に吸収され、両者は合併するのではないか。
ところが、物理学者が予言する「そのとき」はかなり違うのだという。同教授の講義では、こういう。
「でも、もし君たちが生きていたとしても、その衝突には気づかないだろう。銀河はほとんど空っぽの空間だから、ぶつかっても星々はお互いの間をすり抜ける。ほとんどの星はぶつかることのないまま二つの銀河は合体して、渦巻き銀河ではなくなり、倍の規模の楕円形の銀河を形成する。でも、もしきみがその中の星の一つにいたとしても、数十億年もかかる合体のプロセスに気づくことはないだろう。」(クラウス教授の講義・宇宙白熱教室第一回「現代宇宙論」二〇一四年六月二〇日NHK放送より)
かえすがえすも、人類には、未来へ向かって某かの予測を行うという能力があろう。その能力を拠り所に、今ではまだ全体の幾分さえもが見えていない、遠い未来を創造してみることが出来るのだ。
(続く)
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