はじめのことば
一足飛びに頂上へ上がるも
一歩一歩としっかり登ってゆくのも、結局は同じことになる
山本周五郎「長い坂」
コロナ騒動の結果
2023年10月度の全国企業倒産は、件数が793件(前年同月比33.0%増)、負債総額は3080億円1000万円(同254.0%増)だった。
東京商工リサーチ
“緊急事態宣言“懐かしいことばになりました。しかし、コロナウイルスに犯された人間社会、そして経済は後遺症に悩まされてます。一番の影響を受けたのが、旅行業と飲食業、不要不急以外外出禁止、“ステイホーム“の風潮のもと、お客様相手の企業は壊滅打撃を受けました。その救済対策として、“ゼロゼロ融資“が実施されました。お客様が来ないのだから、売上ゼロです。しかし、固定費はかかります。売上がないので持ち出しになります。余力がある大企業は持ちこたえられますが、中小企業は倒産という末路になります。それを防ぐために、ゼロゼロ融資が登場しました。倒産の危険性を考えれば、みな飛びついて借り入れをします。目先のこと優先、コロナさえ収束すれば、売上も戻り、返済可能になる、そんな希望をもっていました。しかし、世の中思い通りにはいきません。企業経営に大切なのは「ひと·もの·かね」です。人を介する業態は、人手不足になり、思うように営業ができなくなり、その結果、倒産する会社が出てきました。去年より今年、そして来年、もっと淘汰されていきます。見通しは暗い、明るい未来はやってくるのかどうかはわかりません。そんな思いを抱かせるきょうの記事でした。
ゼロゼロ融資の状況
決算書なし、甘い融資チェック 「ゼロゼロ融資」
朝日新聞デジタル 2023年11月8日 5時00分
「ゼロゼロ融資」の状況
政府系金融機関のゼロゼロ融資をめぐり、多額の焦げ付きが明らかになった。コロナ対策として多くの事業者が救済された一方で、融資先の財務状況のチェックはおろそかになり、「不良債権」が膨らんだ面もある。▼1面参照
会計検査院によると、日本政策金融公庫が貸し付けて返済不能や回収困難になった債権のうち353件(約36億円)を調べたところ、59件(約5億円)で貸付先の最新の決算書がないなど、状況が十分に確認できなかった。2千万円を貸し、半年で倒産した事業者について、日本公庫が審査時の1年以上前の決算書しか持っていない事例もあった。
■電話2回だけ
「融資の審査はともかく、その後の確認が甘い」。東京都文京区の会計事務所を経営する60代男性はこう話す。
男性は2020年6月に日本公庫からゼロゼロ融資で1千万円の融資を受けた。当時はどれだけ顧客や仕事が減るのかがわからず、先行きが不安だった。融資は「万が一の備え」のつもりで「まとまったお金が手元にあると安心できた」という。
コロナを乗り越えて今は収入は安定し、融資してもらったお金は手つかずで残っている。この間、日本公庫の担当者からは2回電話でヒアリングがあっただけ。決算などの財務状況のチェックなどはなく、2回目のヒアリングの際は返済してもいいと伝えたが、「まだ結構です」とも言われたという。
知り合いの経営者や証券会社員から「融資金を使って経営難の飲食店を買いたたき、休業給付金をもらった後にその店を転売した」「株やFX取引につぎこんだ」といった話も耳にした。「コロナ対策の趣旨からかけ離れて悪用されているケースもあるのでは」と眉をひそめる。
■「選別の時期」
東京商工リサーチの友田信男常務は「当時は一刻を争うということで、どんなところにでも金融機関は簡単にお金を貸した」。同社によると21年度の倒産件数(5980件)が57年ぶりの少なさとなるなど、一定の効果は見られた。友田氏は「必要な制度だったと思うが、返済能力以上のお金を借りた事業者も多い。経済が回復に向かう中、事業が成り立つのか見極めながら、必要な融資なのかどうかを選別する時期に来ている」と話す。(座小田英史、花野雄太)
◆キーワード
<ゼロゼロ融資> 新型コロナウイルスの影響で売り上げが減った中小企業や個人事業者向けに、国が利子補給を行い実質無利子・無担保で融資する制度。2020年3月にはじまり、当初は日本政策金融公庫などの政府系金融機関が実施。その後、民間金融機関にも拡大し、総額43兆円が貸し付けられた。返済が滞っても元本の8割か全額を国の財源を裏付けに信用保証協会が肩代わりする。
きょうはこれでお仕舞です。ご訪問くださいましてありがとうございました。
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