植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

メダカを増やすのは得意だが 金は増えない

2021年06月06日 | メダカ
 週に一二度、朝メダカプールですくって、近所の花屋さんにメダカを届けております。今シーズンは今日納品したので9回目であります。一回10パックで80匹これで700匹以上がワタシのもとを旅立っていったことになりますね。100パック届けてもワタシには12,500円しか入らないので商売としては成り立ちませんが、花屋さんは労せずしてその3倍の売り上げになるので喜ばれております。勿論お客さんも市価の半額以下のメダカが手に入るので結構入荷日を楽しみにしていると聞きます。

 通常メダカは春から秋まで不定期に何度も産卵いたします。一回10個から30個ほどでしょうか。水温が18°Cくらいになって日当たりが良ければどんどん繁殖し始めます。春先に孵化したメダカも夏には抱卵し立派に子孫を残すようになります。水温・日照以外にも食べているエサで成長や繁殖の様子が違ってきます。

 エサは、極端に言えば日当たりのいい屋外に、面積が広いメダカプールを置いていれば給餌しなくても生きています。自然界ではエサはやりませんね。お日様のおかげで水中に藻類が繁殖しますし、風に飛ばされた塵埃や水中に落ちてくる小昆虫などもエサになるのです。しかし、それだとやはり繁殖に入るだけの充実した個体にはなかなかなりません。100均などの安物のエサなどは何が入っているかわかりませんし(おそらく中国製)、栄養価が低いのでワタシは使いません。

 市販されているメダカ用のエサは稚魚用と成魚用に分かれていますが、値段の高いものにはラメ入り・ミユキ系・赤メダカ用など専用に発色を鮮明にする成分が含まれてたり、繁殖目的でカロリーが高いものもあります。うちのメダカちゃんたちは、飼い主と違ってセレブ扱いなのです。

 熱帯魚・観賞魚用に売られている「テトラミン」のフレークタイプ のエサをまとめてネットで買います。栄養バランスがいい高カロリー食材で、数ミリから1㎝ちかいフレーク状の人工飼料ですが、これをミルで細かく粉砕するのです。これに浮遊性が高い(水面に浮いたまま)の粗い粉末状のえさ、メダカ繁殖用のちょっと高いもの、メダカ養殖家オリジナルの植物・魚粉を混ぜたもの、乾燥イトミミズなどを単用または混用いたしております。人間と一緒で、いろんな食材・成分を高カロリーでバランスよく沢山食べさせる、産婦人科さんの食事を考えればいいのです。

 ワタシの繁殖方法はといえば、数百匹入っている平民プール(もともとミックスの親の集団)は適当に産卵床を投入し、2週間ぐらいに一回プールそのものの交換をするときに採卵いたします。大きなざるに、汚れてきたプールの水を通し、ざるに引っかかる産卵床や卵をそのまま小さな繁殖用水槽に移すだけです。この時、稚魚は一匹も見つかりません。親と一緒のプールで孵化したらその日のうちに全部親が食べてしまうのです。

 オロチメダカ、ミユキ系、ダルマ、楊貴妃などのブランドメダカは原則として平民メダカとは分けてそれぞれ別の水槽に入れてあります。そのうちの何匹かはわざと相互に混ぜておきます。ブランドメダカ同士の混血、つまり珍しい新種狙いであります。こちらはココヤシの繊維を産卵床にして1週間をめどに引き上げます。

 きれいな水道水に投入しておくと、もうその数時間後から稚魚が孵化してきます。だいたいそれから10日間で孵化するのですが、非常に弱い赤ちゃんなので、大体半分が大きくなる前に死んでしまいます。特にブランドメダカは歩留まりが悪いのです。もともとはこの世界に存在しなかった、奇形・変異で生まれた同系統の個体同士を数世代掛け合わせているので、雑種と違って弱いのです。

 同じ時期に産卵したものは平民だろうがブランドだろうが構わず同じ孵化用プールに入れます。区別するのはもっと大きくなってから、より分けるのも楽しみなんです。それより優先するのは、産卵床を引き上げた時期によって小分けのプールに変えて入れていくという作業です。同じものにひと月近く産卵がずれたものを一緒にすると、先に生まれた稚魚が大きくなり、生まれたてのメダカを捕食するようになるからです。そうでなくても、同時期に孵化した稚魚は成長の個体差が大きく、あっという間に2センチほどになるものから1㎝程度で生長不良になるものまで様々です。

 ワタシの観察では、同じ時期に産卵した稚魚で、ある程度の大きさから急速に長く太く育つものがあります。これは、食欲旺盛で、他の兄弟メダカに先んじて生長した結果、いち早く生餌を食べているからに違いありません。そう、2か月にも満たない段階で弟メダカを捕食して育ってるのです。食べないまでも追いかけるので、小さなメダカは弱ってしまいます。

 稚魚の中でもそうした大きなメダカを見つけたら、掬って親メダカに移します。そんなちまちました作業を毎日行って、すでに今年生まれの新生児たちは2千匹ほどおります。数えていませんからあくまで推計ですが。

 オロチメダカもだいぶ増えてきて、百匹以上の稚魚がいます。(赤ちゃんの時から色が明らかに黒いのですぐわかります)これに三色錦という黒赤が混ざったものミユキ系メダカも、数多く生まれております。秋口にはマイガーデンのそばでメダカ掬いとブランドメダカ販売をやれば、と家内がけしかけております。

 
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反省の秋風が吹く

2020年09月30日 | メダカ
今朝は、寒さで目が覚めました。涼しさから寒さへ、季節の移ろいは肌で感じるものですね。こんなとき風邪をひきやすいので用心せねば。

 最近、枯れた鉢の始末が増えました。多くはこの1,2年で集めた洋ランです。一時は大きく区分された洋ランを一通り揃え、一人洋ラン愛好家を決め込んでいたのですが、段々、洋ランの世話がおざなりになり、葉が落ち、ネームタグはどこかに無くなり、何の品種か分からないまま枯らすようになりました。
 洋蘭は、日照や温度、水遣りなど種類によって千差万別なので、一律(適当)にそこらに置いて水遣りしていると、根腐れや水切れになります。葉っぱが萎れると水が足りないとかに気づきますが、蘭は変化が緩やかなので、徐々に弱まりいつの間にかダメになるのです。

 こうなった原因は、「手を広げ過ぎた」ことに尽きます。個体数・種類が増えて管理すべき項目や、日々の世話のバリエーションが増したのに、ワタシは、段々と集中力や体力が衰え園芸全般に投じる精力が落ちているのです。
 
 加えて、書道とメダカ、これが殊の外面白くなっていて興味や費やす時間がこっちにウエートが移ってきたのです。

 メダカは、最初13匹から飼い始めて、3年、死なない程度に餌をやり、水を変え、増えるに任せていたのです。それが、1年前ふと気まぐれに買い求めた「ミユキメダカ(ラメ入り)を迎えたのが転機になりました。これは、白い肌に背中が発色してキラキラと光る品種で10年ほど前から大ブレイクしたそうです。こうした高級ブランドメダカは、一匹数万円で取引されたようですが、今は普及し値段もお手頃になりました。
 
 そんなこととはつゆ知らず、一匹800円から900円で売られていたのを、4匹投資したのです。いわば、それまで、ユニクロのやすい洋服で間に合っていてのが、都会の高級ファッションを知ってはまったような状況です。
   泳ぐ姿が優雅で美しいのであります。繁殖・子作りだけは得意なので、すぐさま産卵孵化させ、すぐに100匹ほどになりました。それまでのメダカは、完全にミックスで、黒いのやら赤いのやらにダルマ系も少しいて、千匹以上になっていました。
 餌代も馬鹿にならず、増えすぎたので、カナちゃんの花屋で売ってもらうことにしたのですが、これがとても安いせいでポンポン売れたのです。

 ここで、ワタシは一気にメダカブリーダーモードに突入いたしました。更にヤフオクで、楊貴妃系メダカ・オロチ系黒メダカ・三色錦など人気のブランドメダカの卵を次々に入手し、孵化させているのです。こうなると、託児・幼小中一貫の私立学校の教頭先生みたいになりました。卵から稚魚・成魚に至るまで様々な段階で今までと比べ格段に手間がかかり、神経を使うようになりました。
 また、販売を前提にしているので、孵化させた幼魚稚魚もみるみる増え、3千匹ほど(あくまで推計ですが)になっています。プールの数も大小20個を超えました。売ると言っても、パックの容器代しか貰っていないので大赤字ではありますが。とにかく、朝昼晩と、目が離せないのです。

 それから、書道は丸4年になりますが、書くほどに魅力が増し、練習するほどにそれなりに上達するので、段々虜になるのですね。これを業界ではカリグラフィー・ハイ(calligraphy-high)と呼びます。・・・嘘です、いま考え付きました。 そして、もはや手が空けばすぐに筆を握るという習慣になりました。

 話は戻ります。園芸にかける時間が削られてきたのです。誰しも一日に使える時間は上限があります。他に用件や所用がはいることも少なくありません。まして、段々、疲れやすく動きがのろまになる歳回りでもあります。

 欲を張ったらいかんのです。自分の分をわきまえ、出来る範囲にしか手を出さず、責任感をもってことを為す。何か始めたら、何かを終えるようにしないと際限なくなるのですね。

 今も、ブランドメダカ「ヒレ長オロチ」「魔王改」の稚魚が十数匹孵化したばかりであります。また扶養家族が増えました。

 反省しきりの秋であります。
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夢の途中

2020年08月25日 | メダカ
 メダカの世話をし、一緒の時間を過ごしていると、憂き世の悩みやコロナ・ストレスを忘れてしまいますな。

 そういえば、メダカ組というのを思い出しました。薬師丸ひろ子のブレーク作「セーラー服と機関銃」で薬師丸演じる星泉ちゃんが組長になったのが「目高組」でした。もう40年も前の映画なんですね。ひろ子ちゃん、ちょっと短足気味のセーラー服姿が眩しいくらい可愛かったなぁ。この映画の後主題歌の「夢の途中」は大ヒットしました。ワタシ達もこの歌はよくカラオケで歌いましたが、必ず曲名は「セーラー服と一晩中」と読み替えていました。今時セーラー服を「持ち帰り」して一晩すごしたらえらいことになります。そんな人は居ないでしょうが(笑)。
(^^♪ 今を嘆いても胸を痛めてもほんの夢の途中 🎶

 先日来、様子がおかしかったダルマメダカの稚魚が相次いで死にました。4匹、一日中お腹が上になる「転覆病」で、この猛暑でしたから仕方がありません。誕生してからわずかひと月ほどで儚い生涯を閉じたので、不憫でなりません。餌を少なめにして室内の安定した温度の中で育てた方がよかったかもしれません。生き物を飼育するのは、常にその生死に直面します。

 メダカプールの水面に映る自分の姿も、やがてこの子たちと同様、いずれ消えてなくなるのだ、と思うと不思議な思いにとらわれます。今生きている自分も実は夢の中にいるのではないか、と。諸行無常、すべてのものは変化しうつろい、やがて無になります。
 メダカは、今を懸命に生きるだけであります。ワタシがぱったり倒れたり「育魚放棄」したら間もなく命が潰えるでしょう。ワタシの姿を見てパシャパシャと寄って来るのも、掌が水の中に入って来ると、なんの警戒もなく乗って来るというのも、ワタシに命を預けているとわかっているのでしょうか。


 昨夜、「満月美人」が開花いたしました。月下美人の近種で、年に一度甘く柔らかな香りを漂わせる花を咲かせます。
前々日の蕾がこれ

夜9時ころには強い香りを放っていました
闇夜の中にまさに夢のようぽっかりと咲いております。朝を迎えると、まもなく萎れておしまいです。

郷里の誉れ、南こうせつが歌う「夢一夜」に『一夜限りに咲く花のよう匂いたつ』という1節があります。儚さゆえに一瞬の輝きが素晴らしいのでしょうか。

 歳のせいでしょうか、目覚めてもいまだ夢見心地であります。

 

 
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