懲りずに、珍しい種類の石、美しい印材を求めて「ヤフオク」を物色しております。先に、「斉白石印章」のようなもの、を見つけ大変面白くもあり勉強になる日々を送ったのです。
しばらく大人しくするつもりでしたが、お宝めいたものに遭遇すると「ムズムズ」して放って居られなくなるのです。それでも原則として1万円の壁を越えないように努めているので、大きく小遣いを減らすことも回避できる代わりに、本物のお宝を入手するのは至難の業でもあります。
篆刻に夢中になり、石を彫ってその印材を集めるうちにどうやら、同じヨウロウ石(石印材の原石)でもピンキリで、大変美しい貴重な石があることを知りました。それからというもの、ただ彫っていればいいという印材から、手にとって愉しむという高尚な趣味(笑)にも傾いていったのです。
印材の種類に関して言えば、どうしても手に入れたいものは、超高級の貴重な石「田黄石」と幻の石「艾葉緑」であります。中国三寶と言われる印材の最高峰が「田黄・鶏血石・芙蓉石」です。田黄は人工石・偽物や田黄と紛らわしい石・新田黄と言われる類似品は腐るほど出回っておりますが、金と同じ価格で取引された、といわれる本物の田黄にはとうてい1万円では入手できるはずも無いのです。
鶏血石・芙蓉石はかなり品質に差があり、見分けがつきにくい紛らわしいものもあるのです。狭義の真正の鶏血石は別にして、新鶏血といわれる手に入りやすい石が出回っているおかげで、手元に40本ほど集まりました。どれも、せいぜい数千円程度の凡庸な石で、自慢するようなものではありません。芙蓉石も似たようなもの、数万円以上するような銘石には縁が無いのです。(但し、それらしき石は数十あり、もしかすると値打ちものが紛れこんでいるかもしれませんが)
田黄石は、大変小さなもの数個があって、ひょっとすると本物かと思いますがこれも自信が無いのです。ヤフオクで、本物と確信を持てる石で、派手な紐や薄意・側款などが無いもの、2級品でいいから地味目の田黄が出品されたらば、なんとか数万円を投じても是非入手しようと虎視眈々と狙っております。そのうち、人生何度も無い大勝負!という局面になるかもしれませんが、その時は本ブログで大々的に扱おうと思います💦。
さてそこで、今日のお題「艾葉緑」です。本ブログで何回か紹介していますが、すでに遠い昔にその珍石の鉱脈は彫り尽くされ、新たに出土することが無いと言われる、希少石の筆頭格なのです。なにせ、数十年前に発行されている「墨スペシャル・石印材(山内秀夫著)」など数種の書物にもすでに「専門家さえ真正のものを観たことが無いので鑑定出来ない」という位のものです。しかし、異口同音に田黄石以上に珍重され、印材の中では第一級と称されるのであります。
その特徴は、①月尾渓辺で産出された ②深緑透明にして温潤、気品がある ③艾葉緑の偽物はほとんど出回らない(類似している石が少ない)等となります。出回ることが無い幻の石なので「広東緑」と一緒に分類されてしまうこともあるのです。広東緑石も、中国では、翡翠など緑の石が珍重されることもあり、決してお安くない高級石ではありますが、よく調べればその違いは歴然なのです。
緑色の本物の印材は、種類も限られています。まだ印材集めの初期には、10個ほどの緑石をヤフオクで落札し、知り合いの篆刻家さんに全部「人造石」と一笑に付されたのでした。さほど高い勉強料ではありませんでしたが。
艾葉緑以外には、広東緑石、雅安緑あたり、それ以外は青田石の青みがかった青田凍石、月尾緑・老嶺凍などがあるといわれますが、これはほとんど産出されることは無いと思われ、ネットでもヒットしません。普通に印刃が使える印材で緑色は、ほとんどが広東緑・雅安緑と考えていいのです。この2種類に共通するものは、ガラス質が混じっているためガリガリとした彫り心地、そして透明度が低い事が挙げられます。
下の写真のほとんどが広東緑、下段左の4つは雅安緑です。これらの石でも、買えば大体5千円前後はするのです。流通品ながら緑石はお値打ちなのであります。ただし品薄でほとんどネットでも品切れになっています。
次の写真は、透明度があり美しく、広東緑凍石でも上級品だと思われます。
更に次は「艾葉緑」として出品されていた紐付きで、一応「秋堂」さんという一流の紐作家名が入っています。これはたしか15千円くらいでしたか。検索しても滅多にヒットしない為、偽物かとは思いつつ、ダメもとで落札してしまいました。
そうして、ワタシがこれこそ艾葉緑に近い逸品だと思っているのがこの二つであります。
木の台座付きなのがなんとなく本物ぽいでしょう? 当然にして自然石か否か、そして広東緑などとの硬さの比較は致しました。いずれも天然の石で、透明度も高く、専用の艶出し布で磨くと大変味わいのある艶が出て来るのです。目立たない所に刃を当てましたが、適度な柔らかさと円滑な刃ざわりは広東緑とは全く異なるものでありました。
石集めはやめられません(笑)
自分ではほぼ艾葉緑のようなものである、と思い込んでおります。密かに愛玩するに、本物と思えば楽しさは倍増であります。