昨年12月に続く桂冠名誉指揮者飯守泰次郎のシューマン交響曲チクルス第二弾完結編である。演目は交響曲第3番変ホ長調「ライン」作品97と第4番ニ短調作品120の二曲。飯守は足の具合が悪化したようでコンマスに支えられながらの登場。しかし音楽の方は驚くほど若々しく、淀の一切ない実に闊達な流れをシティ・フィルから引き出していた。朗々と鳴り渡る絶好調のホルン群、輝かしいトランペット、まろやかなトロンボーンの支え、ニュアンス豊かな木管群、そして瑞々しい弦楽合奏と、最近絶好調のこのオケの強みが全て発揮された好演だった。マエストロの動きは小さく、腕も高くは上がらなくなってしまっているのだが、それだけにオケには緊張感がみなぎり緻密な音楽が生まれた。休憩後の4番ではマエストロの老練な解釈が更に加わり熟達の音楽が満ち溢れた。重厚にして決して鈍重でない「ドイツ的」で鮮やかな捌きは、今や世界中を探してもそう滅多に聞くことのできない至芸の域に達していたのではないか。名演を讃える大きな拍手がタケミツメモリアルホールに鳴り渡り、マエストロは舞台に登場するのも難儀そうな様子だったが、ソロアンコールにも応えてくれた。
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