コロナ禍で暫くの間ご無沙汰していた大晦日の定番演奏会に久しぶりで出かけた。まずは初回から出場しているベテランの「古典四重奏団」によるラズモフスキーの3曲である。この作品群は力に満ち溢れる中期の傑作だが、この団体の演奏で聞くと落ち着いた、ときには禁欲的な風情を漂わせ、後期に通じるものをも感じるから不思議だ。しかし同時にこのあたりの曲だと第一バイオリン主導のスタイルが際立ち、立体感が遠のいて一面的な印象を禁じ得なかった。続いては作品127, 130,そして作品133の大フーガだ。こちらは前回登場して話題をさらったし俊英、「クアルテット・インテグラ」が担当した。私は初めて接したのだが、そのしなやかな流動性の中に若々しい閃きを感じさせる演奏は秀逸だと感じた。換言すれば、ベートーヴェン後期の作品の中に潜んだ新たな魅力を発見したとも言えるだろう。第二バイオリンの菊野凛太郎が時に第一につき、時にビオラ&チェロにつき、ベートーヴェン後期のスタイルを見事に体現して秀でたリードを示していたのがとりわけ印象的だった。これからがとても楽しみな団体だ。最後は16回目の出場になる「クアルテット・エクセルシオ」による作品131, 132, 135だ。今回の「インテグラ」のように眩しく楽壇に登場したこの団体も、良くも悪くももうすっかり落ちつて貫禄がつき、チェロが少し前に出た最良のバランスの中で安心のアンサンブルが繰り広げられた。
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