カナダのシンガーソングライター、ニール・ヤングの5thアルバム。
有名な邦題『渚にて』と名付けられている作品。
ジャンル:ロック/ブルース・ロック
オススメ度:★★★★★
前作『Harvest』の大ヒットによってミュージックビジネスの中に放り込まれたニール・ヤング。
真面目で偏屈的なニール・ヤングは大勢の観客の前で歌うことが、まるで自分の歌がビジネスのようでありとても苦痛に感じていました。
この時期はニール・ヤングは小さなクラブで演奏することを望んでおり、お客さんの顔が見える場所でお客さんのために歌うことを望んでいました。特に大きなコンサートで音楽ビジネスを批判する歌を歌うことは、相当彼にとって苦痛であったと思います。
それでも大きなコンサートで歌い続けるうちに心情の変化があったのでしょう。ロックとビジネスの狭間で葛藤しつつも、自己の感情を隠さずに歌うことを受け入れ新しく踏み出そうとしている彼の姿を『On the Beach』で見ることができます。
全曲味わい深いですが"歩いて行け"と前向きに歌う「Walk On」、革命気分を批判する「Revolution Blues」、音楽業界を批判するカントリー調の「For the Turnstiles」、ニール・ヤングの孤独が歌われた「On the Beach」、シニカルだけど前向きな気持ちも歌われた「Motion Pictures」と「Ambulance Blues」などがハイライトです。
総評としてニール・ヤングの孤独や憂鬱を表現しつつも、自己の再生を込めて放った名盤であると言えます。
【トラックリスト】
1 Walk On
2 See the Sky About to Rain
3 Revolution Blues
4 For the Turnstiles
5 Vampire Blues
6 On the Beach
7 Motion Pictures
8 Ambulance Blues
On the Beach
【和訳】
世の中は回っているけど
俺は背を向けたくはないんだ
世の中は回っているけど
俺は背を向けたくはないんだ
昨日壁にかけた
写真が全部落ちている
世の中は回っているけど
俺は背を向けたくはないんだ
俺には大勢の人たち(観客)が必要だけど、毎日顔をあわせることはできないんだ
俺には大勢の人たち(観客)が必要だけど、毎日顔をあわせることはできないんだ
俺の悩みなんて無意味だけど
それでもどこかに行って去ってくれない
大勢の人たち(観客)が必要だけど、毎日顔をあわせることはできない
ラジオのインタビューに行ったけど
結局、マイクの前にひとりになってしまった
ラジオのインタビューに行ったけど
結局、マイクの前にひとりになってしまった
今、海岸で暮らしているけど
カモメは未だに手の届かないところにいる
ラジオのインタビューに行ったけど
結局、マイクの前にひとりになってしまった
町から出る
町から出ようと思う
町から出る
町から出ようと思う
友人と一緒に俺のバスの操縦桿に向かう
道なりに進む、どこで終わるか分からないけど
町から出る、町から出る
町から出ようと思う
なぜなら世の中は回っているから
そして俺は背を向けたくはないから
聞くのが追い付かないアーテーストです。
ほぼ毎年のようにオリジナルをリリースしていて本当に凄いアーティストです。
ニール・ヤングにとって歌うこと・ギターを引くことは生きる意味なんだろうなぁと思います。