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見出し写真の「46」というナンバープレートが、門柱に貼られている。
だれでもが、住所を表すものとして、当たり前のことだと思いがちだ。
しかし、ここ“横浜市中区山手町”では、番号表示をしている建物は、歴史的建造物と思われる洋館か、賃貸、集合住宅を表している。
「46」表示の建物は、横浜市保存建造物・山手町46番館で、BBスタジオ横浜HILLという撮影用の貸しスタジオになっている。
実際の住所は「横浜市中区山手町46番地1」が正しい。
日本で住所をあらわす場合、住居表示に関する法律というのがあって、日本全国どこもかしこも、「住居表示」で表していると思っている人が多く、( )丁目が付くと、住居表示に基づく( )番( )号という表示をするものだと勘違いしている。
住居表示を実施した区域では、街区符号(番)と住居番号(号)又は道路の名称と住居番号を用いる義務があるが、それ以外の場所では、地番(地番号+支番号)を用いるものとされている。
地番号+支番号とは、不動産登記法で表示されている番号で、「46番地1」の「46」が地番号で「1」が支番号だ。
しかし、登記簿を見ると土地は「46番1」という表示であるから、ややこしい。
明治政府が、地租制度を確立するために土地に番号を付けたことから地番は始まる。
区画整理や土地改良などで地番変更が行われていない限り、明治時代に付けた地番を今も使っている。
山手・山下の歴史は古く、外国人居留地として、私権設定を認めていなかったため、先に屋敷番号を付け、のちにそれを地番号に用いるようになったと聞いたことがある。
それが「( )番館」と表示する所以だろう。
土地表示44番1にあるカトリック山手教会の隣にある信徒会館は45番1で、その隣の司教館別館は45番2となっている。
支番が1とか2とかになるのは、45番という土地の登記を分けたことで、支番号が生じたことによる。
その前にあるフェリス女学院は、フェリスホールのある音楽学部が52番、1号館が178番、正門が49番、本部事務室が48番、2号館が211番にあり、次第に敷地を広げていったことと、地番が複雑であることを示している。
そのホームページでは、山手町37番地を山手キャンパスの代表所在地(所有地の内、一番若い番号だからか?)としている。
場所は、カトリック山手教会の裏手となる。
同じホームページに「明治8(1785)年に山手178番に校舎・寄宿舎落成」と記述がある。
178番は、そのときに山を造成して番号が新設されたのではないかと推測される。
それを示すかのように、178番地には、土地分割を示す支番号が唯一あらわれていない土地である。
このことからも、女子教育のために居留地(山下町)39番にあったヘボン塾から分離して設立した草創期のフェリス女学院があったことがわかる。
では、なぜ、代表番地を178番地にしないのかというと、土地の管理上、合筆という手続を行うと、その中の一番若い番号の表示になってしまうからといわれている。
しかし、町丁界、字界を跨いで隣り合った土地は合筆できないから、48番地になったにしても、所有地すべてを37番地にすることはできない。
すると、電信柱に「山手町32」という見慣れない表示があった。
住居表示地区では、法律上、設置が義務づけられている街区表示板といわれるものだが、山手町ばかりか中区の中心部では非常に珍しい。
というのも、中区で住居表示が実施されているのは、新港、新山下、そして米軍本牧住宅が返還された地区周辺だけしかない。
物騒な世の中になり、表札を出していない家が多いことにお気づきだろうか?
住居表示実施地区は、住居表示板を表示する義務があるから、狭い区画に家屋が密集しない限り、表札を出さなくても不便はない。
一方、地番で表すところ、特に住宅地では、番地表示とともにフルネームでの表札を出したほうがわかりやすい。
地番は、分筆するたびに新しい支番がつけられるため、支番が並ばず、飛び飛びになってしまうからなおさらだ。
特に地番自体が飛んでいる山手町にあっては、地番にフルネームを表示しても、住宅地図なしに見つけることが困難な家もある。
実際、気にしながら歩いてみると、ただ単純に番地表示無しのフルネームで表札を出している家が多いことに気づかされる。
そのいずれもが、大邸宅である。
いかにも「この家は、私の持ち物なんですよ」と主張しているかのようだ。
これを、細かに分割された新興住宅地で表示されてしまうと、まったく表示がないよりマシだけど、郵便・宅配泣かせとなる。
よく電話などで「私だけど・・・」と、名乗らずに話し出す、自称・著名人がいたりするのと同じだとすると、横浜でも一番の高級住宅街といわれる土地柄だとされるのもうなずける。
(横浜市土地宝典・中区之部)
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