散歩の閑人:メタ坊っちゃまのYOASOBI?

若気の至りが過ぎてメタボでも、世遊びは辞められない。

東京家族

2013年01月19日 | ☆たまに娯楽

見る側の立場で、登場人物の1人に自分を投影することができる。
それほどまでに、現在の家族の関係を、何気ない日常の風景とともに入念に描かれている。

物語は、瀬戸内海の島に住む両親が、長男家族を訪ねて上京してくるところから始まる。
子どもは、長男、長女、次男の3人が東京に住んでいる。
長男は東急田園都市線、長女は小田急線、次男は荒川線だ。
ついつい映画のロケーションばかりが気になる。
面白いのは、次男に連れられて東京見物の途中、柴又帝釈天に寄って、川千家で鰻重を食べる。
さすが、山田洋次監督だ。

さて、映画のストーリーは見てのお楽しみとして、映画の重要な舞台として横浜が登場するので、そのことを取り上げたい。


年老いた両親に東京見物をさせるのは世の常で、長男がドライブコースとして「レインボーブリッジからお台場に行き、驚くほど変貌をとげた横浜港を見せて、中華街で食事をすればいい」と言っていたが、急用でドライブが中止となる。
そこで、今度は、次男が、はとバスに乗って東京見物をさせる。
次に、長女が家に泊められないからと、横浜のホテル(ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル)に宿泊させ、レストラン・アジュールでフランス料理のコースを食べさせる。
シティービューのダブルルームに2泊3日の宿泊予定だ。
ホテルの客室に入った両親は、夕食によそ行きの服装で行かなければならないからと、着替えもせず部屋の中でただ景色を見て時間をつぶす。
夕食が終わるとベッドに入るが、やわらかい布団と枕では寝つかれないと嘆いて、結局、1泊で帰ってきてしまう。
「東京家族」の“横浜”は、こんな感じなのだけれど、老齢の両親にとっての横浜観光が正直に描かれていると思う。

そして、東京への一極集中、過疎化する地方、震災と原発、塾、就職難、一人暮らし老人など、現在、日本の抱える諸問題は「間違った日本の姿」として、多くの示唆を含ませて描く。
親が悪いのでもなく、子が悪いのでもない、ただ「あなたはいい人だ」「あなたはいい子だ」と、慈しむかのようにつぶやくシーンが印象的だ。

このブログをお読みの方には、ぜひご覧になっていただきたい映画です。

公式ホームページは、こちらをクリック→

日本大通りと富士山を被写体として、定点観測中です。


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