海に囲まれ、山林が多い日本では「水と空気はタダ」と思っている人が多数である、と何事につけても、よく引き合いに出される。
実際、蛇口をひねれば、勢いよくジャージャー水が出るし、用を足してスイッチを押せば、これまたジャ~って流れる水洗便所の水だって、飲める水を流している。
にもかかわらず、その水道水を飲まずに、ペットボトルに入った水を買って飲んでいるのも不思議だし、飲み終えた空のペットボトルを「資源ゴミ」という美辞麗句のもと、キャップ、包装、本体と分別して回収ボックスに投げ込むのも妙だ。
一日中遊び回ってカラカラになったノドに、蛇口をひねって一瞬ぬるくなった水道水をガブガブ飲んだ子どもの頃を思うと、なんと贅沢が当たり前になったんだろう。
横浜公園に「水の広場」という場所がある。
噴水のことでもなく、鯉が泳ぎ回る池のことでもない。
横浜公園を通りすぎるときに見える、あのゴツゴツした感じの石造りの舞台のようなところが「水の広場」なのだ。
昭和62年10月に、横浜水道100周年を記念して造られた。
トチノキの根元には、水の妖精が座った壷が横倒しになり、水源をあらわしていると由来が書いてある。
横浜港の方向を向いたイルカ
馬車道の方向を向いた馬
中華街の方向を向いた龍
そして、横浜市役所の方向を向いた獅子(見出し写真)がいて、
獅子の胸には市章「ハマ」のマークのペンダントがあるのがシャレている。
この4体の彫像の前に立つと、口から水がはき出されるようになっているようだが、試しにひとつひとつ立ってみると、イルカだけは一定のリズムで水がはき出されている。
口からバシャバシャっと出るからか、誰もその水に触れようともしないが、実はこの水は飲料水・・・つまり飲める水だ。
この石舞台の下に60立方mの貯水タンクが埋め込まれていて、災害時の飲料水を常時確保している。
関東大震災の際に、横浜公園地下の大水道管が破れ、あふれ出した水が、迫り来る火炎から避難してきた多くの市民を助けたことを思い起こさせる。
ほんの1か月前、トチノキはやっと色づきはじめたところだったが、
今は、すでに赤味を帯びて、散るばかりに冬支度の真っ最中だ。
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