昭和の文豪・大佛次郎をご存知だろうか?
「大佛」と書いて「だいぶつ」ではなく「おさらぎ」と読む。
実際、鎌倉・長谷の大仏のある高徳院の裏手に住んでいたことから、創作したペンネームといわれている。
執筆には横浜のホテルニューグランドを常宿としていたので、作品中にはよく横浜を舞台としたものが多い。
自宅は、鎌倉・雪の下にあり、細い路地を隔てた前には、日本庭園・数寄屋造りの邸宅を借りて、執筆のための蔵書などを茶箱に詰め保管していた。邸宅は現在「大佛茶寮」として、整備され、予約制のティールームとして公開されている。
その蔵書を搬出するに際し、縁あって大佛邸にお邪魔したことがある。
大佛さん夫妻には、子どもがいらっしゃらなかったので、随筆の中にも何度か登場する猫たちが家の中で何匹も飼われていた。
昔からお守り代わりに、カメラを首に下げて、どこにでも出没する。
そんな私だったから、おもしろがられて、猫を撮影することを許してもらった。
飼われている猫は当時、8匹。随筆にあるとおり、毎日、猫の食事のご用聞きに魚屋さんがやってくるというだけに、外からの通いの猫も何匹かいた。
気むずかしいのもいるし、のんびりしたのも、太って動きが鈍いのも、太くても塀の上をひょいっと走り抜けるのも、それぞれ性格が違っているのがファインダーから見えた。
この黒猫ちゃんは素早かった。
シャッター音で眠りから覚めたカゴ猫に睨まれた。
塀から庇へ。重そうだけど身軽に走り、飛び移った。
外来猫に身構える。
なんとかならないか?思案顔。
私が誰だかわからないけど、おねだりポーズをしてみせた。
この猫はいつもこうやって餌をねだるんだろうか?
思い思いの場所で、いろいろな表情を見せる猫たちをお楽しみください。
押入から出てきたネガフィルムに写っていた猫たちは、今から30年前のもの。
きっと天国で、大佛夫妻とともに優雅に暮らしていることだろう。
横浜・山手の港の見える丘公園にある「大佛次郎記念館」には、かなりの数の猫たちが、ブロンズ像やライトや手あぶり火鉢、クリスタルにと、そこここにあしらわれている。
猫好きを標榜する方でこれを見ていないとなると、モグリといわれてしまうかもしれません。
冬のイルミネーションに彩られる横浜を散策する立ち寄り場所に組み込んでみてはいかが。
大佛さんゆかりの方が併設するティールームでも、あなたを待っています。
すごいじゃないですか!
猫ファンのみならず大佛ファンにとってもお宝ですね。
展覧会でもやったらどうですか。
今度は一緒に住んでいる妻の父が亡くなったので、再び整理し直しているんですが、さすがに3度目となると捨てるのが惜しくて、時間を見つけてはデータとしてパソコンに取り込んでいます。
人間、人生の節目に身辺は整理したくなるもんです。
世を忍ぶ仮の□□□。
長く生きて□□□に入る仕事や趣味の多かったことを感謝しています。
お互いまだまだ□□□を無理せずボチボチと呆けるまで増やしていきたいものですね。