散歩の閑人:メタ坊っちゃまのYOASOBI?

若気の至りが過ぎてメタボでも、世遊びは辞められない。

FLOWERS-フラワーズ-

2010年06月13日 | ☆たまに娯楽
6大女優が夢の競演。
そんなキャッチフレーズで映画の宣伝をしている。
そのためかどうか、イメージ的な宣伝ばかり流れているから、きっと綺麗に撮って、それそれの時代背景の化粧品でメークアップするシーンでも出てくるのだろうという先入観で映画館に入った。
どちらかというと、女性の美に貢献する資生堂のCMを務める6人の女優=蒼井優(凛・りん)、鈴木京香(奏・かな)、竹内結子(薫・かおる)、田中麗奈(翠・みどり)、仲間由紀恵(慧・さと)、広末涼子(佳・けい)が映画で共演したといった感じで、それぞれの持つキャラクターが演ずる役どころにマッチしているのか、彼女らが演じているからそう見えるのか、いつの間にかスクリーンを見入っていた。

満開の桜、するとカラーからモノクロ映像に変わる。
昭和11年、蒼井さん演ずる凛が親の決めた結婚に反発するところからはじまり、カラー映像に戻ると、平成の都会、雨の中、人の流れをすり抜けながら、颯爽と歩いていく鈴木さん演ずる奏にオーバーラップしていく。
昭和11年といえば、二・二六事件のあった年だが、この映画の中で「戦争」は扱わないし、首相がころころ変わる「政治」の片鱗も見せない。
ただこの映画を観るにあたり、凛が薫・翠・慧の3人の娘を産み、慧の産んだ娘が奏と佳で、その相関図を頭に入れておきたい。
凛は、家長制の厳しい時代にもかかわらず、親の決めた結婚を「父に服従する母のようになりたくない」という理由で拒否するが、母から「お父さんと結婚したから、3人の子どもに恵まれ、凛がどこに嫁いでも恥ずかしくない立派な娘に育ったので幸せ・・・お父さんは家族思い」と聞き、嫁ぎ先で初めて会った夫から「大事にする」と聞いて、笑顔を漏らす。
薫は、恋愛結婚をするが、最愛の夫を交通事故で亡くし、新婚旅行の思い出が忘れられない。
翠は、男社会の出版社に務める、当時の先端をいくキャリアウーマンで、男と対等に渡り合おうとするものの、自分自身の持つ矛盾に悩む。
慧は、団地に住む平凡な主婦だが、二人目の子を宿し、虚弱な故に無理と知りつつも「今度生まれてくる子にも、奏と同じようにいろいろな世界を見せてあげたい」と出産に臨む。
奏は、ピアニストとして都会へ出るも恵まれず、出産年齢を意識して年下男性の子を宿し、実家で出産に備える。
佳は、「お前が生まれてこなければ、母・慧が死ぬことはなかった」という回りからの言葉に耐えながら、母の分まで幸せに生きることを自分に課し、結婚して夫と息子と幸せに暮らす。

それぞれの人生の一コマがオムニバスで紡がれていく。
「日本中の女性を元気にしたい」というメッセージが、この6人の女性の生き方にこめられているのだが、ただ一つだけ、この女系家族の物語に「子を産んで命をつなげていくのは女性にしかできない」という意味が強く感じられること・・・その1歩が結婚であり、出産であるということも、また、女性の美しさは、着飾ったり、メイクアップしたりということではなく、女性の持つ可能性を、自らが決めて生きる姿が美しいといいたいのだと思われる。
ただし、結婚も出産も絶対条件でないことは、結婚せずにシングルマザーとなった奏、再婚の話を断って、夫の思い出と共に生きようとする薫に表現されていることも忘れてはいけない。

6大女優の競演。
その中でも、慧と佳の生き方に共感してしまうのは、3人の子を持つ親として、出産から子育てに至る、様々な喜怒哀楽を経験しているからだろう。
玄関を開くたびにチリンチリンと鈴の鳴る音がスクリーンに響く、それが時代を超越した物語をつなぐ合図だと気づいたのは私だけかな?
ぜひ、ハンカチを持って、映画館にお出かけください。

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