天地人２～春日山に登る

群雄割拠する戦国時代。土地を奪い、土地を守る。そのために命を賭した時代を好きだという人が多い。時代劇の人気が下降線を辿る中で、戦国時代をドラマ化すると視聴率が高いそうだ。今が平和だからこそ、明日をもしれない戦いに明け暮れる時代、個性豊かな人物がしのぎを削った時代に、興味が惹かれるのだろう。
織田信長、豊臣秀吉、徳川家康は、必ずといっていいほど対比される存在だが、「歴女」が跋扈する今日では、松永弾正とか、片倉小十郎など実にマニアックなファンまで登場しているのには恐れ入る。上杉謙信や武田信玄はもちろん、伊達政宗、真田幸村がいいなどといえば、これ見よがしに凡人扱いである。それにしても「義」を重んじた上杉謙信とは何者なんだろう。
謙信はもともと長尾を称している。長尾氏は、横浜市栄区の長尾台辺りを領地とする鎌倉氏の一族で、関東管領・上杉氏の家宰や守護代をつとめ、上杉氏とは婚姻などにより姻戚関係を重ね、謙信の時代に上杉氏の名跡を譲られるに及んで、上杉を名乗った。その居城・春日山城は、山ひとつの地形を利用した城で、頸城平野を一望できる。巨大な山城だったから、主だった家臣の住居を要所に配置し、自然の地形を利用した難攻不落の城といわれる。写真は本丸から眺めた市街地。謙信が眺めた景色を、時空を超えて見渡してみると一層感慨深い。