「ねぇ~見た。フィギュア、見た」
「ああ、見た、見た」
「キム・ヨナの点数、絶対に変だよね」
「うん、変だよね。真央ちゃんの方が難しい技決めていたのに、キム・ヨナの色気むんむんの演技が高く評価されるなんて変だよ」
「そう、そう、キム・ヨナの演技って色気を前面に出して、嫌らしいよ。フィギュア・スケートは、スポーツでしょう。スポーツで何で、あんなに色気が評価されるの」
「ふふ、審判は、男が多いんじゃないの」
「ははは、そうとしか思えないよね」
私は、陸上競技場の正面スタンドの下で、二人の女子学生の会話を聞きながら『全く、その通り、スポーツになんで色気が必要何だ』と心の内で、相槌を打った。準備運動を終えた二人の女子学生は、照明の燈っているグラウンドに飛び出して行った。
『 スミレ咲く 路地の細道 夕間暮れ 』
= 結 局 あ の 人 は =
浮かれた黄昏の街。
皆、勝手に、てんでばらばらに歩いている。
結局、あの人の美しさも、私にとっては、何の意味もなかったのだ。
畜生、勝手にするさ。
拗ねた顔して、肩で風切れば、私は、もう、一端のやくざ者だ。
しかし、愚かな私には、何とも似合いの役所だ。
人生は、狂言仕立ての回り舞台さ。
あっと、言う間どんでん返し。
泣いちゃいけない。
これは、喜劇だ。
石 兎
「ああ、見た、見た」
「キム・ヨナの点数、絶対に変だよね」
「うん、変だよね。真央ちゃんの方が難しい技決めていたのに、キム・ヨナの色気むんむんの演技が高く評価されるなんて変だよ」
「そう、そう、キム・ヨナの演技って色気を前面に出して、嫌らしいよ。フィギュア・スケートは、スポーツでしょう。スポーツで何で、あんなに色気が評価されるの」
「ふふ、審判は、男が多いんじゃないの」
「ははは、そうとしか思えないよね」
私は、陸上競技場の正面スタンドの下で、二人の女子学生の会話を聞きながら『全く、その通り、スポーツになんで色気が必要何だ』と心の内で、相槌を打った。準備運動を終えた二人の女子学生は、照明の燈っているグラウンドに飛び出して行った。
『 スミレ咲く 路地の細道 夕間暮れ 』
= 結 局 あ の 人 は =
浮かれた黄昏の街。
皆、勝手に、てんでばらばらに歩いている。
結局、あの人の美しさも、私にとっては、何の意味もなかったのだ。
畜生、勝手にするさ。
拗ねた顔して、肩で風切れば、私は、もう、一端のやくざ者だ。
しかし、愚かな私には、何とも似合いの役所だ。
人生は、狂言仕立ての回り舞台さ。
あっと、言う間どんでん返し。
泣いちゃいけない。
これは、喜劇だ。
石 兎