『陰陽師 第１１巻 天鼓ノ巻』には蝉丸法師が頻繁に登場します。蝉丸の琵琶に合わせて博雅が笛を吹くという晴明が絶賛する風雅を是非とも聞いてみたいと思ってYouTubeで雅楽を探してしまいました。いろいろヒットしましたが、琵琶と笛だけの組み合わせはなかなか見つかりませんでした。残念。
この巻の収録作品は、「瓶博士」、「器」、「紛い菩薩」、「炎情観音」、「霹靂神（はたたがみ）」、「逆髪の女」、「ものまね博雅」、「鏡童子」の８編。
「瓶博士」は見てはならぬといわれたものの中味を好奇心に負けて見てしまいひどい目に合うという典型的なパターンで、その後始末を晴明が請け負うというもの。
「器」は悲しみのあまり心を失ってしまった人たちの話。蝉丸の琵琶で慰められます。晴明の術で悲しみの元が見つけられます。最後に「よかったね」と思えるお話。
「紛い菩薩」は、屋敷に蛇があまりにも多く出るのに困り果てて、池のほとりにある観音様にお祈りしたら何か出てきて娘を嫁にすることを要求するというどこか知っているような話。
「炎情観音」は、女の嫉妬は怖いというお話ですね。
「霹靂神（はたたがみ）」では蝉丸の琵琶と博雅の笛につられて人外のものがいきなり現れて「てんててん」と鞨鼓（かつこ）を叩くというお話。楽しそうで何より。思わずふふっと笑ってしまいました。
ちなみに鞨鼓は下の写真のような楽器。
「逆髪の女」では蝉丸法師の過去が明かされます。なぜ盲目になったのか。女に取りつかれているのはなぜなのか。恐ろしいけど悲しい女の話。
「ものまね博雅」では博雅がいきなりダブルで登場。葛城山の一言主神社に参拝し、笛を奉納したら翌朝博雅が一人増えていた？！というわけで晴明が事態を収拾します。博雅の笛は人騒がせというか神騒がせですね。
「鏡童子」も博雅の話です。鏡の中の世界に迷い込んでしまい、何もわからない「童子」となってよくわからない者たちに「こっちに来い」と誘われ惑わされる話。晴明の術と蝉丸法師の琵琶が道標となって助かります。どっかで聞いたような話の類型ではありますね。
