『秘密保護法は何をねらうか 何が秘密?それは秘密です』は、2013年12月に発行された、清水雅彦・日本体育大学憲法学准教授、臺宏士・毎日新聞記者、半田滋・東京新聞論説兼編集委員の共著です。
すでに法律は成立してしまっていますが、だからといって悪法であることには変わりなく、政権交代が叶うなら可及的速やかに廃止すべきです。その意味で、本書は法案の歴史を振り返り、だれがどういう思惑で働きかけ、何をどう言ったかというような歴史的記録としての価値があると思います。
目次
はじめに
「知る権利」「報道の自由」を“圧殺”する秘密保護法制 - 臺宏士・毎日新聞記者
「情報統制」が真の狙いかー防衛省・自衛隊取材の現場から - 半田滋・東京新聞論説兼編集委員
憲法の諸原理を否定する秘密保護法 - 清水雅彦・日本体育大学憲法学准教授
おわりに
【資料編】
- 秘密保護に関する現行法の罰則規定比較一覧
- 秘密保護法案(2013年10月25日閣議決定)
- 国家公務員法
- 自衛隊法
- 自衛隊法施行令
- 日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法
- 日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法施行令
- 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法
- 防衛秘密にかかわるスパイ行為等の防止に関する法律案(1986年自民党公表「国家秘密にかかわるスパイ行為等の防止に関する法律案」修正案)
明らかなのは、この秘密保護法が米国の要請に基づいていることです。
おかしいと思いませんか?安倍首相は一方では日本国憲法が「米国からの押し付けだから変えるべき」と改憲に意欲を見せ(その他の国内問題は放置)、日米地位協定を始めとする様々な米国の要請による既存の法律には黙認するばかりか、進んで新しい法案をそれこそ数の力で強引に通してきました。これほど「従米」意識の強い政権は今までになかったくらいです。それなのに憲法だけは「米国からの押し付けだから変える」とは矛盾以外の何ものでもありません。
もちろん憲法の成立過程をきちんと検証すれば「押しつけ」でないことは明らかになりますが、それを置いておくとしても、現行の憲法は現在の米国の要請に合致しないということが本当の改憲の動機なのではないでしょうか。これならば少なくとも「従米」という論理の一貫性・整合性があります。安倍首相の言う「愛国」は「売国」に等しいということですね。米国の言い値でいくらでも武器を買い、どれほどの財政赤字であろうと在日米軍のための「思いやり予算」は削らずにその額は米国同盟諸国で最大、在日米軍関係者の「治外法権」を他の同盟国と比べても異常なくらい広範に認め続けています。その犠牲となっているのは日本国民です。