徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:細谷功著、『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」』(東洋経済新報社)

2020年08月04日 | 書評ーその他



細谷功著、『地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」』は、audiobook.jp の聴き放題プランで、聴き放題対象となっていたので聴いてみました。

本書では、地頭力を「結論から」「全体から」「単純に」考える3つの思考力と定義し、それを鍛えることで問題解決能力を高められるという仮定の元に、特にビジネスパーソン向けに「フェルミ推定」の基本を説明し、どのように日常の様々なシーンで問題解決の手がかりとして具体的に応用できるかという方法を提示しています。

ある敬愛する方から自分の視野の狭さや自己認識の甘さなどが指摘されていたので、これも参考になるかもと聴いてみたわけですが、実際役に立ちました。
かといっていきなり「フェルミ推定」という方法論を用いて、パズルのような
例題1:シカゴにピアノ調律師は何人いるか?
例題2:日本全国に電柱は何本あるか?
例題3:世界中で1日に食べられるピザは何枚か? 
といった例題をパッと解けるようになるとは思いませんが、「とりあえず情報を集めようとせず、ゴールまたは結論から考えて必要なものを特定する」、「今ある情報だけで仮説を立てる」、「全体の俯瞰をしてから切り口を選択して分類・分解していく」、「抽象化する(モデル化、枝葉末節の切り捨て、アナロジー適用)」という基本的な姿勢は非常に重要で、自分がどこでどつぼにはまっていたのか明確になりました。
本来ならば、プロジェクトマネジメントプロフェッショナルの資格を持つ身として少なくともゴール・全体から考えるという思考法は身についているはずなのですが、そういう方法論を仕事の世界のみに限定的に使っていて、日常生活や自分自身の人生や将来といったことには応用していなかったことに気づかされ愕然としてしまいました。これは自分のことになると客観的になれないという心理現象の典型例とも言えるのでしょうね。
タスクやプロジェクトだと思えば、その距離感から結構客観的にタイムラインや合目的性などを検証・考慮することができるのに、自分ごとになるとこうも視点が低くなってしまうものなのですね。


書評:メンタリストDaigo著、『超客観力 ムダに悩まない理想の自分になれる』(repicbook)

2020年08月04日 | 書評ーその他



最近、メンタリストDaigoの動画にはまっています。YouTubeの方で見た動画が大変興味深く、どうしても続きが見たかったのでニコニコ動画の方で有料会員登録したのです。月550円だけなので、いろんな論文や本の内容をまとめて分かりやすく解説してもらえ、かつ見ているものが実際に使えるような方法やトレーニングに落とし込んでもらえるので、何冊も自分で本を買って読む時間と手間、そして読んだ後にまとめたり、実践の可能性を考える手間を考えると、月550円は安すぎるくらいに思えてきます。

その彼の動画の中で勧められていたので、本書『超客観力 ムダに悩まない理想の自分になれる』(repicbook)を読んでみました。
ちょうど自分の人生最大の変節期のようなものを迎え、とある敬愛している方から自分の視野の狭さなどを指摘され、その示唆するところが今一つ理解できずに思い悩んでいたので、まずは自己省察からだと思ってこの本を手に取ったわけです。
内容的には動画の中ですでに話されていたものもありましたが、さらに深掘りされているトピックや、テスト、トレーニング方法などがあり、大変参考になりました。

目次
  • 第1章 客観性に関する3つの思い込み
  • 第2章 自分を知る6つの質問と価値観リスト
  • 第3章 「自分はどんな人間か」?を掘り下げまくる「内観」の技術
  • 第4章 自己省察スキルを高めるトラッキングテクニック
  • 第5章 客観力の最大の敵「反すう思考」に立ち向かう方法
  • 第6章 Googleが最重要視! 最強の判断力を手に入れる方法【知的謙遜】
  • 第7章 知的謙遜が身につく10のエクササイズ
  • 第8章 他者の知的謙遜を育てるための「ソクラテス式問答」
【商品説明】
限界を知ることで成長し、自己を知ることで迷いをなくし、素晴らしい意思決定ができる人生最強の能力「客観力」。自分と向き合うことで自分の本質を見極め、理想の自分になるためのテクニックを多数紹介する。【「TRC MARC」の商品解説】

ミドルエイジ・クライシスなどの問題が叫ばれる現代社会では、職場や学校、対人関係や恋愛など、ストレスや悩みは年齢を問わず人生の大きな負担として襲いかかってきます。

本書には、自分を見つめることで、理想の自分、本質の自分を見極め、憂鬱な毎日を克服するためのテクニックが多数紹介されています。

自分は何を求めているのか、どんなキャラクターで、どのような人生を歩みたいのか、本当は何をやっているときが楽しくて、何をしたいと思っているのかなど、自分のことを正しく理解している人間ほど、人生の満足度が高いことが科学的に知られています。幸せな人生を送るためには、本当の自分を客観的に知る『自己省察』のスキルが必要になるのです。

また、人生で成功している人、ビジネスで大きな成果を出す人になるには、『知的謙遜』スキルが必要になります。『知的謙遜』とは、簡単にいうと自分の能力を客観的に見つめる能力のことで、いまや世界のトップ企業が重要視しており、成功するためには必要不可欠な能力とされています。

本書では、『自己省察』と『知的謙遜』を詳しく解説することで、自分の知識レベルや足りないものを正しく理解し、それを補うことで成長し続けることができるようになるだけでなく、自分が望んだ方向にだけ舵をきることができるテクニックを身に付けることができます。

また、この二つのスキルをマスターすることで、勉強や仕事でも良い成果が出せるようになり、仕事で何がしたいか分からない、せっかく就職してもこんなはずではなかったなど、自分が求めているものを正しく理解していないことから起こる人生の様々なミスや悩みもなくすことができるようになります。

ぜひあなたも『自己省察』と『知的謙遜』という二つのスキルを身につけて、人生を大きく変えてみましょう。

本書で語られている『超客観力』とは、自分の能力の限界を知ることで成長し、本当の自分を知ることで迷いをなくし、素晴らしい意思決定をすることができるようになる人生最強の能力のことです。【商品解説】

上記の商品解説の通り、自己省察と知的謙遜というスキルを向上させる具体的なテクニックが解説されており、簡単にできるものは私も読みながら随時やってみました。
自分の価値観や自分がどんな人間なのかといったところでは特に新しい洞察を得られたわけではありませんが、知的謙遜の面では全体的には伸びしろのある「平均点」であるものの、知識や情報と自分のエゴの分離や自分の知識や考えに対する自信という観点では平均以下で改善の余地が大きいと判明したことが、目から鱗が落ちたようでしたね。
知的謙遜を阻害する代表的な思い込みとして挙げられているレイク・ウォビゴン効果(他人と比べたら自分は平均以上と考えてしまう心理現象)、ダニング=クルーガー効果(能力不足の人ほどそれに気づかず「できもしないのに自信だけはある」状態に陥ってしまう、または逆に能力の高い人ほど自らのレベルを低く評価する傾向)、正常性バイアス(「自分だけは大丈夫」、「今回は問題ない」などと思い込む心理現象)もなるほどと納得できました。
また、客観性・知的謙遜を養う方法として、目的や情報、推論の流れ、概念・前提・結論・視点を確かめる質問が細かく紹介されており、自分が普段問題を大して掘り下げて考えていないことが見えてきたのもよかったです。
最後の「ソクラテス式問答」も基本的には自分の客観性を高めるための自問自答にも使えるので、勉強になりました。

最重要な点は、自分は客観的でないという自覚を常に持ち続けること、様々なことを確かめる・検証するという姿勢ですね。これによって「知ったような・分かったような気になってるだけ」のことを粉砕し、より客観的な洞察が得られるようになるわけですね。