栞子と大輔の娘・扉子が活躍するシリーズ第2弾『ビブリア古書堂の事件手帖II ~扉子と空白の時~』は、ますます母の栞子にそっくりになって来る扉子が急に祖母に呼び出され、父・大輔の付けていた事件手帖のうち、2012年と2021年の横溝正史の『雪割草』に関わるものを持って来て欲しいと頼まれ、それを持って馴染みのブックカフェに行くところから始まります。
本編の第一話~第三話はその事件手帖に書かれている内容で、扉子が祖母・篠川千恵子を待ちつつそれを読んでいる設定です。
プロローグ
第一話 横溝正史『雪割草』I
第二話 横溝正史『獄門島』
第三話 横溝正史『雪割草』II
エピローグ
第一話の時は2012年。まるで横溝正史の金田一耕助シリーズに出てきそうな元華族の上島家で、横溝正史の幻の作品と言われる『雪割草』が盗まれたと身内の中で騒ぎになり、縁故のあった書店を通じてビブリア古書堂に事件解決の相談が持ち込まれます。
ここで、盗まれた本自体は戻ってきますが、そこに挟まれていたという付録は行方不明のまま事件は終了します。
それが第三話への前振りになっており、2部構成で以前の事件を解決するという横溝正史の『病院坂の首縊りの家』に似せています。
間に挟まれた第二話の『獄門島』は扉子が小学生の時の話で、読書感想文を書くための本にどういうわけか『獄門島』を選んで先生を心配させ、買い置きしていた古本を取りに行くために父・大輔と出かけて行ったら、目的の本がなくなっていたという事件を描きます。
これは、第三話の事件解決のための1つの鍵の役割を果たしています。
『獄門島』と『雪割草』の関係は、最後の最後に明かされますので、ここでは言及を控えさせていただきますが、とにかくなくなった「付録」は正当な持ち主の元に戻ってきます。
そして、エピローグで、千恵子の予備他紙の目的が実は扉子にその事件手帖を読ませることだったことが明かされます。
そこで手帖に書いていない真実に気付いた扉子が、千恵子に質問をしますが、それに応えないまま去っていく彼女は相変わらず謎めいた恐ろしげな人でした。