エジプトのトト神の神官ラーモセは時空を超えて存在し続ける賢者にして魔法使いで、彼の時を超えて出会ってきた人たちの人生・役割が揺蕩い悠久のナイル川の流れのように語られていきます。アクナトン、ツゥト・アンク・アメン、モーセ、クレオパトラ、イエス、ヘロドトスなどの歴史上の重要人物が現れては消え、最後にラーモセ自身の物語が明かされ、彼が「捉えられていた」時の循環から解放されるというストーリーです。
非常に壮大なファンタジーですが、歴史的な背景と哲学的・宗教的な問いが含まれた深みのある作品です。
一つ一つのエピソードは関連があったり、まったく関係がなかったりして【ストーリー展開】と呼べるような大きな流れは、ラーモセがまだただの人間で王子であった頃に話がいたって初めて少し見えてきます。
実に興味深いコンセプトの作品だと思いました。