登坂不動産のエース営業マン・永瀬財地は嘘を厭わぬ口八丁で売り上げNO.1を叩き出す凄腕だったのですが、とある地鎮祭で石碑を壊して以来、嘘がつけなくなってしまうという奇妙な設定なのですが、この珍〈正直者〉が千三つ(千の言葉に三つの真実)と言われる海千山千の不動産業界の裏側を暴露しながらストーリーが進行します。
この業界曝露がこの作品の一番の魅力で勉強になるところですが、巻が進むにつれてライバルが増えて展開するドラマが面白いです。あんまり面白くて、全11巻大人買いして一気読みしたばかりでなく、二度読みまでしてしまいました。
また、登坂不動産の社長も一見悪人面なのですが、なかなか懐の深い人情家でいい味出してます。他のキャラも味わい深いです。
11巻完結ではなく、ライバル社が登坂不動産と永瀬を潰すために、永瀬の過去に悪徳商法で売った物件を利用してちょっかい出してきてるところなので、それをどうやって乗り切るのか気になって仕方がないです。
巻末にはエッセイや不動産関係者との対談が掲載されており、本編で扱われたテーマ(例えば「地面師」「建築条件付土地売買」「瑕疵担保責任」「告知義務」「あんこ業者」等々)が改めて説明されているので、そちらも大変勉強になります。
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海外在住の場合、Amazon Kindle版は著作権の関係で購入できませんが、Hontoでは購入できます。