徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:もり著、『屋根裏部屋の公爵夫人』全3巻(KADOKAWA)

2022年10月19日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行

おすすめとして上がってきて、面白そうなので3冊まとめ買いした上に、一気読みしてしまいました。
政略結婚のすえ公爵夫人となったオパールは、社交界デビューしたばかりの時にやらかしてしまった失敗のため、いわれのない不名誉な噂が立ち、それを真に受けていた公爵およびその使用人たちに剥き出しの敵意を向けられ、邪魔者扱いされたため、拗ねて屋根裏部屋にこもってしまいます。
そこからの逆転劇が語られます。
オパールは伯爵令嬢で、持参金以外にも自分の資産を持っており、子どもの頃から領地の管理人に様々なことを教わっていたので、その知識を生かして、借金にあえぐ公爵家の領地の再建に乗り出そうとしますが、公爵に相手にしてもらえなかったので、法務官の叔父の手を借りて公爵家の領地を自分名義に書き換え、名ばかりの夫に宣戦布告し、公爵領に向かい領地改革に乗り出します。
その仕打ちのせいで自分の甘さを自覚した公爵は、領地を買い戻すために努力を重ねます。

これで、夫婦としての愛情も芽生えてハッピーエンドなのかと思いきや、そうはならないところが捻りがあって面白いです。


2巻では、行方不明になっていた幼馴染のクロードが隣国の侯爵の地位を受け継いで帰国し、離婚したオパールにプロポーズします。かくして二人は隣国に向かいますが、国王はクロードを重用し、オパールを歓迎するものの、他の貴族たちはそれが面白くなく、二人を歓迎しません。
また、反国王派の動きも活発になり、クロードは国王の命を受けてその対処に当たり、オパールは新たに受領した公爵領の改革に乗り出すものの、誘拐・軟禁されてしまいます。
3巻でオパールの救出と反乱軍の逮捕および裁判等の事後処理が描かれます。様々な伏線が回収され、ようやく平穏が訪れるというハッピーエンドです。

身分と資産があり、伯爵令嬢・公爵夫人にあるまじき商才と管理能力と闘争心を持つオパールのキャラクターが面白いですね。
金儲けのことしか考えてなさそうなオパールの父も、実は感情表現が不器用なだけで、情に厚いキャラクターもなかなかいいです。
国王とクロード、それからオパールの兄のキャラもなかなか面白いのですが、もう少し深掘りされていてもよさそうな印象を受けました。