相変わらず松岡圭祐の著作スピードは驚異的です。VIが出てから4か月ですでに続刊発売。ストーリーを忘れないでいられるので、多読者としてはありがたいです。
さて、この巻では杉浦李奈が作家としての「有名税」とも言える嫌がらせ行為を受けることから始まります。Amazonの作品評価に唐突に星1つの投稿が並んだり、自分の名前で身に覚えのない官能小説が出版社に送られていたり、自宅の住所が公開されたり等々。
しかし、警察に届けると作家のファンが離れてしまうリスクが大きいので李奈が有効な対抗策を取れないままでいると、いきなり出版社にいる李奈を呼び出す内線電話がかかってきて、会いに行くと、様々な嫌がらせをやらせた本人と思われる大企業の社長が現れ、明治に500部ほど発行されたという幻の丸善版新約聖書を探し、詳細な研究論文を執筆してほしいと李奈に強要します。
李奈は抵抗を試みますが、結局のところくだんの聖書を手に入れ、これを欲しがる理由を究明する以外にないと決意し、調査を始めます。翻訳聖書の話だと思いきや調査の過程で話は徳川慶喜と勝海舟に確執にまで及び、意外な展開を見せます。
万能鑑定士Qの凛田莉子改め小笠原莉子も再登場し、李奈に協力する作品越えコラボもあり、ファンとしては嬉しい限りです。
この巻で莉子は、大した売れ行きではなくても世に名前を出して作品を発表することの責任とリスクについて自覚し、作家としてもまた成長するところも魅力です。
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