徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:しきみ彰著、『後宮妃の管理人 七 ~寵臣夫婦は出迎える』(富士見L文庫)

2022年12月18日 | 書評ー小説:作者サ・タ・ナ行

今年の3月末に全6巻まとめ買いして一気読みし、物語がまだ完結していなかったことに悶絶した『後宮妃の管理人』。11月半ばに発売された7巻を読んだら、登場人物たちの背景情報をすでに若干忘れていたので、また最初から読み返してしまいました。ラノベだからできる芸当ですね。

さて、黎暉大国は初夏。首都は耐えがたい暑さとなるため、優蘭たち健美省は、皇帝の勅命のもと、妃嬪たちの避暑地行きを催すことになり、後宮は朗報に湧きますが、ただ一人、普段は模範的で目立たない充媛の藍珠がなぜか避暑地行きを拒みます。どうしたものかと優蘭が夫の右丞相の皓月に相談しに行くと、そこではそれどころではない騒ぎになっていた。敵国とも言っていい杏津帝国の外交使節団がやって来るのだという。しかも、使節団代表は過激なタカ派の王弟とのことで、どんな意図があるのか議論になっていたが、受け入れないという選択肢はないため、妃嬪たちが向かうことになっていた避暑地で使節団を迎え入れることになる。このため、それが嫌だという妃は後宮に残っていいことになったが、なぜか藍珠がやっぱり避暑地に行くという。一体彼女にはどんな謎があるのか?過去の因縁から彼女が起こす行動とは?
この伏線はこの巻では大した事件には発展していませんが、後を引きそうな予感を残しています。
一方、皓月の双子の妹・蕭麗月もだんだんと後宮に馴染み、実は踊りがうまいことなど、自分を出すようになってきて、双子であるがゆえに殺される代わりに養子に出された彼女の複雑な生い立ちが明らかになってきます。

寵臣夫婦も相変わらず次々と起こる問題の対処に追われてますが、いつものことなのでさほど新鮮味はありません。

次巻はまた杏津帝国との絡みなのかな、という終わり方でした。