訳・古賀弥生創元推理文庫2009年11月 初版2013年4月 6版433頁イギリスの片田舎に暮らす11歳の化学大好き、特に毒物に詳しい少女、フレーヴィア・ド・ルース元気がよくて自由奔放、思い立ったらどこにでも行きます自分でも認めるほどの嘘の名人、それでいて心根はとても優しい彼女は、切手収集に没頭する父、仲がいいとはいえない二人の姉、亡き母の思い出とともにバックショー荘と呼ばれている屋敷で暮らしてい . . . 本文を読む
訳・山田和子ちくま文庫2019年7月 第1刷発行解説・皆川博子211頁出口なしの閉塞感と絶対の孤独、謎と不条理に満ちた世界を先鋭的なスタイルで描き、作家アンナ・カヴァンの誕生を告げた最初の傑作幼い頃から母親にネグレクトされ、14歳の時に精神的な拠所であった父親が自殺不安定な精神状態のもとで生きてきたカヴァン思春期のほとんどをアメリカやヨーロッパ各地の寄宿学校で過ごし、社会との関りもないままに19歳 . . . 本文を読む
訳・土屋政雄ハヤカワepi文庫2017年10月 発行解説・江南亜美子481頁舞台は4~5世紀頃、アーサー王亡き後のブリテン島遠い地で暮らす息子に会うため、長年暮らした村をあとにした老夫婦は一夜の宿を求めた村で少年を託され、若い戦士を加えた4人で旅路を行きます竜退治を唱える老騎士、高徳の修道僧ら、様々な人に出会い、時には命の危機にさらされながらも老夫婦は互いを気遣い進んでいきますファンタジーの要素が . . . 本文を読む
訳・務台夏子創元推理文庫2018年 2月 初版2018年12月 7版解説・三橋暁ロンドン、ヒースロー空港のビジネスクラス専用のラウンジで、ボストン行きの直行便を待つ実業家のテッド・セヴァーソンは見知らぬ美女リリー・キントナーに話しかけられますマティーニのグラスを傾ける二人はたちまち打ち解け、テッドは酔った勢いで妻・ミランダの浮気を知ったことを話し「妻を殺したい」と言ってしまいますリリーはミランダは . . . 本文を読む
訳・三角和代ハヤカワミステリ文庫2017年3月 発行581頁エーランド島四部作の第二作3→1→2の順に読んでいますが登場人物のリンクはごく薄く、さほど困ることはありませんでしたストックホルムからウナギ岬の古い屋敷に引っ越してきて間もなく妻が海に落ちて溺死するという悲劇に見舞われた工芸教師ヨアキムとその家族が、毎夜不可思議な出来事を体験する話を本筋に、三人組の若者がスウェーデン本 . . . 本文を読む
訳・鈴木恵ハヤカワ・ミステリ2018年8月 発行264頁ノルウェー北部の少数民族サーミ人が暮らす町にオスロから大金と銃を持ってやってきた一人の男ウルフと名乗って素性を隠し、最果ての白夜の中、狩猟者として過ごす日々自分もまた狩りたてられた獲物であることに怯えながらも教会の守堂の母子としだいに心を通わせていきます北欧ミステリに外れなし、の中では若干期待外れでしたつまらないわけではありませんが、もう少し . . . 本文を読む
訳・加賀山卓朗ハヤカワミステリ2018年7月 発行458頁ある五月の火曜日、三十五歳のレイチェルは夫を撃ち殺した驚きの一文で始まるプロローグⅠ 鏡のなかのレイチェル 1979年―2010年Ⅱ ブライアン 2011年―2014年Ⅲ 世界のなかのレイチェル 2014年冒頭の場面はかなり後になってから出てきましたマサチューセッツ州で生まれたレイチェル父を知らず性格破綻の母の手で育てられた彼女は母の死後に . . . 本文を読む
訳・山川紘矢+山川亜希子角川文庫1997年2月 初版発行2018年7月 69版発行196頁羊飼いの少年サンチャゴが夢に従ってスペイン南部のアンダルシアからエジプトのピラミッドに向けて旅に出て、錬金術師の導きと旅のさまざまな出会いと別れのなかで、前兆に従い夢を諦めず長い時間と苦労を重ねて旅を続け、人生の知恵を学んでいくという童話風の物語です自分はこれまで『前兆』に気づくことがあったのかしらもっと若い . . . 本文を読む
訳・加賀山卓朗集英社文庫2003年12月 第1刷2011年11月 第8刷上巻 390頁下巻 353頁レイフ・ファインズ&レイチェル・ワイズ出演の映画を観て興味を持ちましたナイロビの英国高等弁務事務所に勤める外交官ジャスティンはガーデニングをこよなく愛する中年男性で礼儀正しく誠実な人柄でも知られていますそんな彼のもとに突然、若くて美しい最愛の妻テッサが何者かに襲われ殺害されたという知らせが飛び込んで . . . 本文を読む
原題 STONE BRUISES訳・坂本あおいハヤカワミステリ2015年 7月 印刷361頁舞台はフランスの田舎町イギリス・ロンドンに暮らしていたショーンは血の付いた車に乗って何かから逃げているようです逃げているうちに罠を踏んで重傷を負ったショーンは、それを仕掛けた主が所有する農場で看病を受けますしかし、屋根裏部屋で幽閉されているような状態の毎日一体自分はどうなるのか、不安はありますが逃亡者である . . . 本文を読む
訳・田久保麻里白水社2005年7月 発行141頁草むらの中にひらかれた小さな町で父と暮らしている少年プリモ彼は、広い草むらの中に何度も往復して作ったトンネルを歩くのを日課にしていて、歩きながら色々なことを考え空想し、日々の悲しみや寂しさを紛らわせています父は以前、町にあるコンプレッサー工場で働いていましたがなぜか解雇されてしまいますその後、知り合いの農園の手伝いをして収入を得ていましたが農園の収穫 . . . 本文を読む
訳・柴田元幸白水ブックス2002年8月発行幻想の航海、盤上ゲーム、魔術、博物館『不思議の国のアリス』や『千夜一夜物語』を下敷きに、あるいはポーに敬意を表しつつ想像力の赴くままに幻想と現実のモザイク模様に紡ぎだされた表題作を含む10の物語「シンドバッド第八の航海」「ロバート・ヘレンディーンの発明」「アリスは、落ちながら」「青いカーテンの向こうで」「探偵ゲーム」「セピア色の絵葉書」「バーナム博物館」「 . . . 本文を読む
訳・高山誠太郎晶文社1984年3月 発行322頁ゴードン・コムストック、29歳独身コムストック家の末っ子で、広告会社での安定した仕事を辞め、小さな本屋で働きながらギリギリの生活費を稼ぎ創作活動を続ける貧乏な詩人ですしかし、あまりに厳しい生活に頭の中は常に財布の中身とタバコの残り本数ばかり創作意欲は落ちる、社交は苦手で恋人はいるけれどいつもお金のかからない道端で会うだけ一度だけ出版した詩集は本屋で埃 . . . 本文を読む
訳・小野寺健ハヤカワepi文庫2001年9月 発行2019年1月 22刷解説・池澤夏樹261頁英国に住む悦子は長女の自殺に直面し、喪失感の中で自らの来し方に思いを馳せます戦後間もない長崎で長女を妊娠中に出会ったある母娘戦後、180度変わってしまった価値観についていけないでいる義父戦前は上流階級に属していたものの戦後は没落、うどん屋で生計を立てている初老の女性誰もが傷つき何とか立ち上がろうと懸命だっ . . . 本文を読む
訳・齋藤可津子早川書房解説・高崎順子239頁三大陸の三人の女性かけ離れた境遇に生きる彼女たちに共通するのは、女性に押し付けられる困難と差別に立ち向かっていることインドに暮らす最下層身分、不可触民(ダリット)のスミタは娘の教育のためイタリア・シチリアに暮らす毛髪加工会社経営者の娘ジュリアは倒産寸前の会社と従業員たちを守るためカナダ・モントリオールに暮らすシングルマザーの弁護士サラは自らの病と夢のため . . . 本文を読む